178 / 197
番を持ってるΩです
何が変わった?
しおりを挟む
少し疲れた顔で教室に入ってきた新を出迎えに行くと、途端に目を輝かせてトロリと嬉しげに微笑む新に胸がドキドキする。俺がこんなに新にデレデレしてしまうのは、やっぱり番になったせいなんだろうか。
新はそんな俺を一番後ろの自分の机の方へ引っ張っていくと、ドカリと椅子に座って俺を膝に座らせた。流石にそれはちょっと恥ずかしい。クラスメイトもどうして良いか分からずチラチラ見て見ぬフリをしている。
後ろから俺の腰に手を回して首筋に鼻先を押し付けながら新はため息をついた。
「…あー、マジ癒される。流石に日の出前から修行させられるとか疲れる…。跡取りになるとか言ったの早まったかもしれないぜ。」
そんな愚痴を聞きながら、俺は身体の前に組まれた大きな手を上から握って言った。
「朝からお疲れ様。起きたの何時だった?何となく新が出て行った気配は感じたんだけど、時間まで見なかったから。」
新は4時前だと言うと、小さく欠伸をした。受験勉強しながら陰陽道の修行とか少し無理があるんじゃないだろうか。そんな心配を感じたのか、新は耳元で甘える様に言った。
「今修行やっとかないと、東京へ出てからしょっちゅう帰らないといけなくなるからな。今ここに居るうちに、知っておくべき事は身につけておく方が効率的だろう?それにその事で少しでも岳と離れるのは嫌だし。」
俺は新にキスしたくなったけど、ハッとここは教室だと思い直して渋々新から抜け出して耳元で囁いた。
「帰ったらいっぱい甘やかしてやるから。」
途端に歯を食いしばる新に俺は目を見開いた。新はギリギリと俺だけに聞こえる様な低い声を漏らした。
『マジでお預け辛いんだけど…。クソっ、岳が凶悪化してる!』
俺は背中に刺さる新の視線を感じながら慌てて自分の席に戻ると、相川が俺の後方を見つめて言った。
「おはよ、東。‥なんかヤバいオーラ出してて高井が怖いんだけど。あれ、何とかしたら?」
俺は頷きながら俯いて思わず緩む口元を隠しながら、これ以上俺が新を構ったら絶対教室から連れ出されるからそれは無理なんだよって心の中で相川に答えた。
相川の良いところは直ぐに興味を失くすところで、言いたい事だけ言うとさっさと前を向いて俺に構わなくなった。本当俺はこいつのこんな所に随分助けられてるんだ。そんな事を思いながら、ポケットのスマホが震えるのに気づいた。
[おはよう、岳。今朝の調子はどう?寝起きの岳は色っぽかっただろうね。明日の午後にはそっちに帰れるから、楽しみにしてるよ。またお昼ごろ連絡する。愛してるよ。誠]
誠がこっちに居ない時は毎日5回以上のメッセージが届くので、俺は日に日にメッセージをチェックして返信するのが気にならなくなった。元々は既読スルーを得意としてて、随分叶斗にごねられたものだったけど。俺も変われば変わるものだ。
[おはよ。今朝は二度寝して寝坊する所だった。色っぽい暇も無かったと思うよ。誠が側に居たら無理矢理色っぽくなるかもしれないけどね?俺も愛してる。仕事頑張って。]
自分で書いたメッセージは読み直ししない事にしてるので、打ち込んだら直ぐに送った。読み直したら二度と送れない。俺は明日は誠が帰ってくるのかと心持ち気分が上がって、担任が教室に入って来るのを見てスマホをしまい込んだ。
そんな俺を新がじっと見てる事には気づかなかった。まぁ、気づいていてもどうしようもなかったけど。
新はそんな俺を一番後ろの自分の机の方へ引っ張っていくと、ドカリと椅子に座って俺を膝に座らせた。流石にそれはちょっと恥ずかしい。クラスメイトもどうして良いか分からずチラチラ見て見ぬフリをしている。
後ろから俺の腰に手を回して首筋に鼻先を押し付けながら新はため息をついた。
「…あー、マジ癒される。流石に日の出前から修行させられるとか疲れる…。跡取りになるとか言ったの早まったかもしれないぜ。」
そんな愚痴を聞きながら、俺は身体の前に組まれた大きな手を上から握って言った。
「朝からお疲れ様。起きたの何時だった?何となく新が出て行った気配は感じたんだけど、時間まで見なかったから。」
新は4時前だと言うと、小さく欠伸をした。受験勉強しながら陰陽道の修行とか少し無理があるんじゃないだろうか。そんな心配を感じたのか、新は耳元で甘える様に言った。
「今修行やっとかないと、東京へ出てからしょっちゅう帰らないといけなくなるからな。今ここに居るうちに、知っておくべき事は身につけておく方が効率的だろう?それにその事で少しでも岳と離れるのは嫌だし。」
俺は新にキスしたくなったけど、ハッとここは教室だと思い直して渋々新から抜け出して耳元で囁いた。
「帰ったらいっぱい甘やかしてやるから。」
途端に歯を食いしばる新に俺は目を見開いた。新はギリギリと俺だけに聞こえる様な低い声を漏らした。
『マジでお預け辛いんだけど…。クソっ、岳が凶悪化してる!』
俺は背中に刺さる新の視線を感じながら慌てて自分の席に戻ると、相川が俺の後方を見つめて言った。
「おはよ、東。‥なんかヤバいオーラ出してて高井が怖いんだけど。あれ、何とかしたら?」
俺は頷きながら俯いて思わず緩む口元を隠しながら、これ以上俺が新を構ったら絶対教室から連れ出されるからそれは無理なんだよって心の中で相川に答えた。
相川の良いところは直ぐに興味を失くすところで、言いたい事だけ言うとさっさと前を向いて俺に構わなくなった。本当俺はこいつのこんな所に随分助けられてるんだ。そんな事を思いながら、ポケットのスマホが震えるのに気づいた。
[おはよう、岳。今朝の調子はどう?寝起きの岳は色っぽかっただろうね。明日の午後にはそっちに帰れるから、楽しみにしてるよ。またお昼ごろ連絡する。愛してるよ。誠]
誠がこっちに居ない時は毎日5回以上のメッセージが届くので、俺は日に日にメッセージをチェックして返信するのが気にならなくなった。元々は既読スルーを得意としてて、随分叶斗にごねられたものだったけど。俺も変われば変わるものだ。
[おはよ。今朝は二度寝して寝坊する所だった。色っぽい暇も無かったと思うよ。誠が側に居たら無理矢理色っぽくなるかもしれないけどね?俺も愛してる。仕事頑張って。]
自分で書いたメッセージは読み直ししない事にしてるので、打ち込んだら直ぐに送った。読み直したら二度と送れない。俺は明日は誠が帰ってくるのかと心持ち気分が上がって、担任が教室に入って来るのを見てスマホをしまい込んだ。
そんな俺を新がじっと見てる事には気づかなかった。まぁ、気づいていてもどうしようもなかったけど。
50
あなたにおすすめの小説
メビウスの輪を超えて 【カフェのマスター・アルファ×全てを失った少年・オメガ。 君の心を、私は温めてあげられるんだろうか】
大波小波
BL
梅ヶ谷 早紀(うめがや さき)は、18歳のオメガ少年だ。
愛らしい抜群のルックスに加え、素直で朗らか。
大人に背伸びしたがる、ちょっぴり生意気な一面も持っている。
裕福な家庭に生まれ、なに不自由なく育った彼は、学園の人気者だった。
ある日、早紀は友人たちと気まぐれに入った『カフェ・メビウス』で、マスターの弓月 衛(ゆづき まもる)と出会う。
32歳と、早紀より一回り以上も年上の衛は、落ち着いた雰囲気を持つ大人のアルファ男性だ。
どこかミステリアスな彼をもっと知りたい早紀は、それから毎日のようにメビウスに通うようになった。
ところが早紀の父・紀明(のりあき)が、重役たちの背信により取締役の座から降ろされてしまう。
高額の借金まで背負わされた父は、借金取りの手から早紀を隠すため、彼を衛に託した。
『私は、早紀を信頼のおける人間に、預けたいのです。隠しておきたいのです』
『再びお会いした時には、早紀くんの淹れたコーヒーが出せるようにしておきます』
あの笑顔を、失くしたくない。
伸びやかなあの心を、壊したくない。
衛は、その一心で覚悟を決めたのだ。
ひとつ屋根の下に住むことになった、アルファの衛とオメガの早紀。
波乱含みの同棲生活が、有無を言わさず始まった……!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
すれ違い夫夫は発情期にしか素直になれない
和泉臨音
BL
とある事件をきっかけに大好きなユーグリッドと結婚したレオンだったが、番になった日以来、発情期ですらベッドを共にすることはなかった。ユーグリッドに避けられるのは寂しいが不満はなく、これ以上重荷にならないよう、レオンは受けた恩を返すべく日々の仕事に邁進する。一方、レオンに軽蔑され嫌われていると思っているユーグリッドはなるべくレオンの視界に、記憶に残らないようにレオンを避け続けているのだった。
お互いに嫌われていると誤解して、すれ違う番の話。
===================
美形侯爵長男α×平凡平民Ω。本編24話完結。それ以降は番外編です。
オメガバース設定ですが独自設定もあるのでこの世界のオメガバースはそうなんだな、と思っていただければ。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
【完結】後宮に舞うオメガは華より甘い蜜で誘う
亜沙美多郎
BL
後宮で針房として働いている青蝶(チンディエ)は、発情期の度に背中全体に牡丹の華の絵が現れる。それは一見美しいが、実は精気を吸収する「百花瘴気」という難病であった。背中に華が咲き乱れる代わりに、顔の肌は枯れ、痣が広がったように見えている。
見た目の醜さから、後宮の隠れた殿舎に幽居させられている青蝶だが、実は別の顔がある。それは祭祀で舞を披露する踊り子だ。
踊っている青蝶に熱い視線を送るのは皇太子・飛龍(ヒェイロン)。一目見た時から青蝶が運命の番だと確信していた。
しかしどんなに探しても、青蝶に辿り着けない飛龍。やっとの思いで青蝶を探し当てたが、そこから次々と隠されていた事実が明らかになる。
⭐︎オメガバースの独自設定があります。
⭐︎登場する設定は全て史実とは異なります。
⭐︎作者のご都合主義作品ですので、ご了承ください。
☆ホットランキング入り!ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる