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僕の足元の沼地

愛しのマイケル

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僕の目の前に、幼い金髪の男の子が立っていた。ピコピコする耳と長い尻尾を揺らしてロービンの母君の後ろに隠れている。時々そっと僕達の方を覗き見る可愛さったらない。

僕はあまりしつこくしない様に、しゃがんで紫の瞳と目線を合わせると優しく呼びかけた。

「マイケル?僕はマモルだよ?マイケルがまだ小さな頃に一緒に遊んだんだ。覚えてないかな?」


マイケルはじっと考え込んでいるみたいだったけれど、僕の瞳を見ると、ハッとした様に口を開けて言った。

「…まもぅ?」

僕はその舌ったらずの言い方に胸を撃ち抜かれてしまった。少しはぁはぁと息を荒げながら、そっと片手を差し出してにっこり笑った。

「そう、まもるだよ?マイケルに会えて本当に嬉しいよ。ずいぶん大きくなったね。今日はいっぱい遊ぼうね?」


するとマイケルはよちよちと夫人の前へと歩いてきて僕の手を掴んで言った。

「あちょぶ。らっこ。」

マイケルの小さな手はさすがに獣人らしく、モチモチとしていて身体の大きさに比べると大きく感じた。僕は喜んでマイケルの脇に手を差し込むとさっと抱き上げた。

マイケルは勢いよく僕が抱き上げたものだから、きゃっきゃと笑ってご機嫌になった。


「相変わらずマイケルはマモルが大好きね?」

ロービンの母君は僕たちを見て笑った。僕はどうも獣人の子供たちにモテる気がする。今もマイケルが僕の首筋にスリスリと顔を擦り付けている。僕はマイケルのふわふわした髪のくすぐったさに身悶えした。

「ふふ、マイケルくすぐったいよ。」

そう言って笑っていると、ロービンがつかつかと寄ってきた。そしてマイケルを僕から引き剥がした。僕とマイケルは引き剥がされた悲しみで、二人でロービンを睨みつけた。


「ロービン、どうしてマイケルを取っちゃうのさ、もっと抱っこしたいのに。」

ロービンは少し狼狽えながら言った。

「いや、だってこいつマモルにマーキングしてるから、ありえないだろ?」

マーキングって何だ?獣人なら知ってて当たり前っぽいその響きに、僕はそれをロービンに聞く事は出来なかった。僕は渋るロービンを無視して、こちらに手を伸ばしているマイケルを抱き戻すと、キャッキャとご機嫌なマイケルと一緒にテラスの外に歩き出した。


僕はマイケルのふわふわの金髪から飛び出たモフモフの耳をなでて堪能した。この世界に来てから獣人の耳を撫でるのは初めてかもしれない。僕はマイケルに歌を歌ってあげながら、マイケルがくったりとするまで撫でてしまった。



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