ヤンデレ王子とだけは結婚したくない

小倉みち

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第1章

パーティ

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 私は、王妃陛下の主催するパーティに参加することになった。


 それは「プレデビュー」と言われるもので。

 まだ社交界デビューする年齢じゃない子どもたちが、その練習をするために集う会みたいなものだった。


 社交界デビューの練習とは聞こえは良いものの、実際は「相手探し」である。


 参加する子どもたちの年齢は、10歳前後。

 そろそろ婚約の相手を見つける時期だった。


 マクシミリアン殿下の婚約者は、相手との相性やらなんやらというよりも、完全に政略的なもの。

 私の家が彼の後ろ盾に相応しいと考えられて、非常に残念なことに、私はマクシミリアン殿下の婚約者に任命された。


 しかし、通常の貴族の子息子女は、そんなふうにガチガチの政略ではない。

 今回のプレデビューで、自分の子どもは一体誰と仲良くなれるのか。


 相性や、その子の立場――長男か次男かなどで、婚約させても良いのではないかと話がまとまり始める。


 その相手がちょうど、自分たちがもともと仲良くしたいと思っていた家の子どもであれば、とてもラッキー。


 そんな感じの、緩い婚約だ。


 どうせこの場で婚約者が決まっても、残りの約10年ほどで何人かは破局する。

 その際は、余った者同士でくっつけば、問題はない。


 そのパーティでの私たちの仕事は、その子どもたちを交流させることだった。


 彼らは、初めて会う子どもたちばかりで緊張するはず。

 まず会話をさせるために、私たちがうまく彼らのフォローする。


 つまり私たちは、恋のキューピッドという役回りを与えられたわけだ。

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