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第4章

売り上げ

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 結論から言うと、本は売れた。

 想像していた以上に。


 我がベアトリーチェ先生は、

「良かったわ。元が取れた」

 と、至極嬉しそうだった。


 作品としての出来栄えは、正直言って微妙だ。

 小説もろくに書いたことのない素人が、片手間に書いた話。


 そんなものが、この国のプロが書いた作品と一緒に店頭に並んでいること自体がおかしい。


 しかし不思議なことに、世の中の経済は、良いものが売れる、悪いものは売れないという単純明快な公式で成り立っていない。


 その商品に付加価値があるかどうか――有名人の誰それが気に入っているだの、みんなが使っているだので、売り上げに天と地ほどの差が生まれる。


 つまり、私の作品には付加価値がついていた。


 それは、異世界出身者の書いた作品であるということ。


 どうやら私の知らない間に、私はこの国でそれなりの有名人にまで格上げされてしまったらしい。


 一体どういう経路で私の存在が知られたのかは知らないけれど。


 庶民の間では、「聖女様とともに召喚された、この国を救ってくれる異世界人」であると、もっぱらの評判らしい。


 実際は、あのロリコンジジイが勝手にやった召喚に巻き込まれた被害者なんだけど。


 そんな、私の意思に反して凄まじく増大した過剰な評価も相まって、私の本は売れた。


 なんかこう、ヤバい気がする。


 そんな文章力もないエセ有名人が、調子に乗って小説売り出したみたいな、そんな危うさを感じる。


 ヤバいかも。

 これもしかすると、今世紀最大の黒歴史になりそう。

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