このときをずっと待っていました ~あなたたちを全員ざまぁしてやりますわ~

小倉みち

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茶番

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「はあ」


 私は出来るだけ、信じられないというふうな表情で王子とマリーを見つめる。

「……一体、どういうことですの?」

「そのままの意味だ、このクソ女め!」


 ヘンリー王子は私を罵る。

「まあ、酷い」


 私は扇子で顔を覆った。

「酷いのはお姉様よ!」

 叫ぶマリー。


 一体私の何が「酷い」のか。


 私は向こうの作戦に乗り、話を聞いてあげることにした。

「私が酷いって……。一体どういうことですの? マリー」

「お姉様が私を散々虐めてきたのよ!」


 突然の茶番に、ざわつく人々。


「私が?」


 私はすっとぼけた。

「一体どんなふうに?」

「私がみんなに好かれているからって言って、私の物を取り上げたり殴ったりしてきたじゃない!」


 殴ってないし、物取ってきたのはお前だろ。


 と言いたいが、まだだ。

 私は我慢する。


「そうだ」

 ヘンリー王子が付け加える。

「お前は私の気持ちがマリーに向いているからと言って、彼女に醜くも嫉妬した。そして、マリーをいたく傷つけたのだ」


「素晴らしい」


 拍手する者が2人。


 振り返ると、思った通りの人物だった。

 恰幅の良い男女。

 マリーの両親、すなわち、私の両親でもある。


 彼らは事前に手を組んでいたのだろう。


「我が娘マリーを愛するその気持ち」

 母は歌うような抑揚のある声を発した。

「大変感服いたしましたわ、殿下」

「可愛い我が娘マリーを預けられるのは、貴殿だけだ」

 大きな声ではっきりとそう言う父親。

「それにくらべて」


 両親は冷たい視線を私に向ける。

「妹に嫉妬するとは、なんと醜い」

「それでも公爵令嬢なのか? ディーナよ」

「殿下、私たちは気にしません。どうかこの愚かなもう1人の娘を捌いてくださいませ!」


 完璧な流れだった。

 まるで、きちんと打ち合わせしたかのような、完璧な流れ。


 茶番としては、だけど。
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