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返事は

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「ルーク、それは本当なの……?」

「本気に決まっている。俺が君に嘘をついたことがあるか?」

  野暮なことを聞いてしまったと、私は恥じた。

  彼はほんとうに誠実な人間だ。少なくとも私に対しては、今までに一度も嘘をついたことがない。


  でも、


「あの、ルーク」

「辞めてくれ」

  私の言葉に察しが着いたのか、ルークは首を横に振る。

「返事は今しないでくれ。俺は君がずっと殿下だけを見続けていたことを知っている。それに君はまだ殿下と別れてすぐなんだ」

「じゃあどうして」


  どうして今私に告白したのか。


「君を誰かに取られたくなかったからだ」

  ルークは言う。

「取られるなんて、そんな」

「君は綺麗だからな。それに、性格も良い。君が殿下の婚約者じゃなくなってしまえば、自分たちにもチャンスがあると考える有象無象が増えるだろう」

  私は困惑した。

「でも、私は『傷物』なのよ。殿下に捨てられた女なの」

  ルークは静かに首を振る。

「その程度のことで君を評価する人間は、そこまでだったということだ」


  ルークは私を買い被りすぎだ。


  私は思った。


  私はそんなに、素敵な人間じゃない。


「なあ、ソフィア。返事はまだ良いんだ。ソフィアが俺のことを意識してくれれば、今はそれで良い。少し時間をくれないか?」

「時間?」

「俺が君を口説ける時間だ。君は長いこと殿下しか見ていなかったから、周囲の男をそういう対象として捉えていなかったろ? だから、俺は君が俺を見てくれるように、努力したい」

  ルークの鋭い眼差しに射抜かれ、私は無意識のうちに頷いた。

「わかったわ。ルーク、あなたがそこまで言うなら」

「良かった」

  ルークは、とびきりの笑顔を私に見せた。

「まだ放課後までには時間があるだろ? 良ければ、俺がこの辺を案内する」

  ルークは身軽に立ち上がり、私に手を差し伸べる。

「ありがとう」

  私はその手を取った。


  告白をされて、ルークは幼馴染としてしか見れない。

  ただ、何かが変わるかもしれない。

  私もいつかは、殿下じゃない違う人に想いを寄せる日がやって来るのだろうか。



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