濡れ衣で死刑執行されましたが、妖精王の加護で復活しました ~私の代わりに、妖精王が怒ってくれるみたいです~

小倉みち

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障壁③ ~ライアン視点~

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「……どういうことだ?」


 俺は眉をひそめた。

「お前、それを誰に言っているのかわかってるのか? 相手は国王陛下だ。我が父を、殺せというのか? この第一王子である俺に?」

「すべては、殿下のためです」

 部下は言う。

「もしこの案が気に入らなければ、この場で斬り捨てていただいても構いません。私は、陛下暗殺を企てた奸臣ですから」


 自分の命を賭してまで、俺に向かって提案しようというのか。


 その心意気に圧倒され、俺は話を聞いてやることにした。


「計画は、簡単です。毒物を用意し、陛下の食事に混ぜます。それを侍女に運ばせ、陛下に食べさせます」

「それをどうやって、ヴィクトリアのせいにするんだ?」

「毒を、簡単に手に入らないものにするんです」

「例えば?」

「庶民が簡単に入手出来るような代物ではなく。もし、ヴィクトリア嬢が誰かに濡れ衣を着せようとしても、簡単にそれを否定出来るような、貴重な毒です」

「貴重な……」


 俺はしばし考えた。

「そう言えば、城の地下倉庫」

「はい」

「ここ数百年扉を開けていない場所がある。そこに毒を作るカビがあると、ヴィクトリアが言っていた」


 あのころは、まだナターシャを知らない俺だった。

 地下倉庫付近で勤務する者たちが次々倒れていくという事件があり、城の者は怯えていた。


 もともと、あの地下倉庫に閉じ込められて、そのまま死んでしまったという使用人がいたという噂話もあったかた。

 事件の真相はその使用人の祟りだなどと、非科学的なことをみんな信じ込んでいた。


 そんな中で、博識なヴィクトリアが真実を突き止めた。


 数百年閉ざされた中で生き続けた微生物たちが、独自の進化を遂げた。

 その中にいたカビが、月日の経過に伴って建つけの悪くなった倉庫から漏れ出し、人々の体調を悪くさせていたのだろうと。


 扉を開けると余計に大変なことになる。

 それでヴィクトリアの指導の下、地下倉庫の扉を上から鉄の板で覆い、事なきを得たというわけだ。


 その恐ろしいカビの話は、俺と国王しか聞いていない。


 カビの話を聞けば、さらに城の中で混乱が生じると踏んだためだ。


 つまりあの毒を使えば、犯人は自動的にヴィクトリアということになる。


「もし疑われても、問題はないでしょう」

 部下は続けた。

「陛下が倒れてしまえば、この国で一番偉いのはあなたということになる。あなたに歯向かう者など、誰もいなくなる――すべては、丸く収まるのです」
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