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誤解
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モリオ――じゃなかった。
モーリス公爵子息との婚約破棄を両親に申し出、彼らはそれを了承した。
これで晴れて、不確定要素の多い不幸な未来ともどもお別れだ。
面倒なことに巻き込まれることもなく、いつも通りに睡眠に時間を費やすことが出来る。
モーリスもモーリスで大好きなアビゲイルとかいうご令嬢と末永く幸せに暮らしていけるんだし、両方に利点のある素晴らしい解決案だ。
一件落着。
――そう思っていた。
だが。
話はまだ、終わらなかった。
両親に話をして数日が経ったころ。
いつものように教室に入って眠る準備をしていた私に、モーリスがやってきてこう言った。
「誤解だ」
「……は?」
睡眠不足で機嫌が悪い私は、モーリスを思い切り睨んだ。
「何?」
モーリスは一瞬怯えたような顔をしたが、すぐに表情を取り繕い、もう一度言った。
「誤解なんだ」
「はい?」
私は小首を傾げる。
視界の端に、あわあわと困った顔をしているクラスメイトたちの姿が見えた。
「なんの話です?」
こんな朝っぱらから、元婚約者と話なんてしたくないのに。
私はため息交じりに尋ねた。
「例の件だ」
モーリスは口早に言った。
「誤解なんだ。アビゲイルとは何もない。ただの友人だ。先日も言っただろう」
「はあ」
「だから、婚約破棄はしない」
私は、その言葉を聞いて正直びっくりした。
だって、アビゲイルとモーリスの恋愛関係は、もはや公然の秘密。
知らない者を探す方が難しいというくらい、2人は公然の場でイチャついていた。
それに、私とモーリスの関係は破綻しているというか、そもそも関係性が成り立っていない。
向こうだって、そんな私よりも大切なアビゲイル嬢とお付き合いし続けていれば良いはずなのに。
一体この男は、何を考えているのだろうか。
モーリス公爵子息との婚約破棄を両親に申し出、彼らはそれを了承した。
これで晴れて、不確定要素の多い不幸な未来ともどもお別れだ。
面倒なことに巻き込まれることもなく、いつも通りに睡眠に時間を費やすことが出来る。
モーリスもモーリスで大好きなアビゲイルとかいうご令嬢と末永く幸せに暮らしていけるんだし、両方に利点のある素晴らしい解決案だ。
一件落着。
――そう思っていた。
だが。
話はまだ、終わらなかった。
両親に話をして数日が経ったころ。
いつものように教室に入って眠る準備をしていた私に、モーリスがやってきてこう言った。
「誤解だ」
「……は?」
睡眠不足で機嫌が悪い私は、モーリスを思い切り睨んだ。
「何?」
モーリスは一瞬怯えたような顔をしたが、すぐに表情を取り繕い、もう一度言った。
「誤解なんだ」
「はい?」
私は小首を傾げる。
視界の端に、あわあわと困った顔をしているクラスメイトたちの姿が見えた。
「なんの話です?」
こんな朝っぱらから、元婚約者と話なんてしたくないのに。
私はため息交じりに尋ねた。
「例の件だ」
モーリスは口早に言った。
「誤解なんだ。アビゲイルとは何もない。ただの友人だ。先日も言っただろう」
「はあ」
「だから、婚約破棄はしない」
私は、その言葉を聞いて正直びっくりした。
だって、アビゲイルとモーリスの恋愛関係は、もはや公然の秘密。
知らない者を探す方が難しいというくらい、2人は公然の場でイチャついていた。
それに、私とモーリスの関係は破綻しているというか、そもそも関係性が成り立っていない。
向こうだって、そんな私よりも大切なアビゲイル嬢とお付き合いし続けていれば良いはずなのに。
一体この男は、何を考えているのだろうか。
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