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2章

2章21話(122話)

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 イヴォンは別の授業に向かい、私たちは魔法基礎の教室へ向かう。向かっている途中にアル兄様たちを発見して、私たちはちょっと足を早めてアル兄様たちへ声を掛けた。

「おはようございます、アル兄様、ヴィニー殿下」
「あ、おはよう、リザ。ジーン嬢にクラウディア王女も」
「お、おはようございます……」

 私たちに気付くと、こっちを向いてふわりと優しく微 笑んだ。ヴィニー殿下も。ディアはびくっと身体を震わせながらも頭を下げた。……そこまで緊張しなくても……と思いつつ、やっぱり慣れていない国だし、緊張するのが当然なのかもしれない。

「昨日は大変だったね」
「い、いえ……、皆さんにご迷惑をおかけしまして、申し訳ございません……」
「いや、君のせいじゃないでしょ。昨日の騒ぎは……」

 肩をすくめるアル兄様に、うんうんとうなずく私たち。ディアはちょっと安堵したかのように胸元に手を置いて息を吐いた。
 教室に足を踏み入れると、この授業を取った人たちが既に座っていた。カタン、と誰かが立ち上がった音がした。そして、こちらへ向かって来る。……ジェリーだ。
 彼女は私の元に来ると、ばっと頭を下げてきた。びっくりして思わず身体を硬直させるとジェリーは頭を下げたまま言葉を紡ぐ。

「昨日は本当にごめんなさい。変な言いがかりをつけてしまったようで……! 同室の子に聞いて、絶対に謝ろうと思って……!」
「……? 覚えていないの?」
「薄っすらと記憶はあるんですけど……、私が私じゃないみたいな感覚で……。本当にごめんなさい、気をつけます」

 私はじっと彼女を見た。――魔力の流れを感じる。そしてそれは不思議なことに、二つ、動いているのが見えた。私が息を飲むと、ヴィニー殿下が目元を細める。そして、こほん、とアル兄様がわざとらしく咳払いをして、パンパンと手を叩いた。

「リザ、昨日のこと気にしている?」
「……いいえ、アル兄様。私と言う者を知ってもらうのに良いチャンスだったと思います。……なので、気になさらないで」
「ありがとうございます、エリザベス様が心優しい方で良かった!」

 顔を上げて微笑む姿はジュリーにそっくりだ。……ジュリーより邪気はないけどね。それよりも気になるのは、彼女がふたつの魔力を宿していることだ。私のように二つの属性を持っているのかもしれない。
 私に宿っている太陽と月の属性。契約した精霊も太陽と月の属性だ。

「あ、友人が呼んでいるので、これで。それでは!」
「……あ、はい……」

 ジェリーは自分が呼ばれていることに気付くと、ぺこりと頭を下げて座っていた席へと戻って行った。……こんな風にドキドキするのって、良いのか悪いのか……。とりあえず、謝罪は受け取ったし……これで良いんだよね、きっと。
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