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3章

3章41話(251話)

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「ジーンはアル兄様とよく話しているようだけれど……」
「アルフレッド様と……ああ、少し、仕事のことで」
「仕事?」

 こくり、と小さくうなずくジーン。
 マクラグレン侯爵は各国からいろいろな輸入品を集めて、それを売るという事業をしているらしい。元々、商売がしたかった人らしく、人脈をいかしてどんどんとお店を大きくしていったらしい。
 そして、その輸入品の中には、魔力が宿ったものが増えてきたらしく、それらをどうしようかと考えていたところに、アル兄様が声を掛けてきたらしい。
 これも巫子の力なのかしら?

「アルフレッド様は特別な力をお持ちでしょう? どうやら、どんな魔力が宿っているのかもわかるみたいで、危険なものは取り除いてもらっていたの」
「……全然知らなかった……」
「でしょうね。そうするようになったのは、私がエリザベスと出会ってからだもの」

 私とジーンが出会って二年くらい。その間にジーンとアル兄様も顔を合わせることもあったのかしら……?

「これもエリザベスの導きかしらね?」

 ジーンが悪戯っぽく微笑む。私が自分を指差すと、「そうよ」と肯定された。

「だってエリザベスがいなければ、アルフレッド様と出会うこともなかったと思うから。あなたという存在が、私たちを繋げてくれているのよ」

 ――その言葉を聞いて、私はきっと目を丸くしたと思う。
 あれだけさげすまれて生きていた十年間。
 アル兄様に助けられて、『家族』と『友人』が出来た二年間。
 私の人生は今、とても幸せだと言える。断言できる。
 だからこそ、周りの人たちにも幸せでいて欲しい。そう思うのは私のエゴだと思っている。
 ――それでも、こんな風に当たり前のように『私』という存在を受け入れてくれている。

「……そうだと、嬉しいな……」

 人との出会いって不思議だわ。
 誰かと知りあって、その知り合いの方と意気投合したりして、そうやって輪が広がっていく。

「そうよ、きっとディアもそう思っているわよ?」
「……ディアはすごいわよね。たったひとりでこの国に来て……」
「あら、わたくしのお話し?」

 お風呂から上がったディアが近付いてきた。そして、自分の名を耳にしたからか、軽く小首を傾げて尋ねてきた。

「ディアの行動力がすごいなって思っていたの」

 私はにこりと微笑みながら言葉を紡ぐ。
 ディアは目を丸くして、「行動力がすごい?」と聞き返してきた。
 小さくうなずくと、ディアが「……?」と頬に手を添えて不思議そうな顔をした。

「たったひとりでこの国に来て、アカデミーに入学して、こうして舞姫として建国祭にも参加して……」

 そう言っていると、ディアが緩やかに首を横に振った。
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