黄泉ノ彼岸葬儀店

TERRA

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EP.2Memoria et Tea記憶と紅茶

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空気が歪み、光が揺らめいた。  

木漏れ日のティールームが消え去り、気がつけば、二人は静かな森の中に立っていた。  

薄曇りの空の下、鬱蒼と茂る木々。  
鳥のさえずりが遠く響き、乾いた葉が足元で微かに鳴る。  

棺はキョロキョロと周囲を見渡し、息を飲む。  
「……ここが、タイムカプセルを埋めた場所?」  

黄泉は小さくため息をつき、肩をすくめた。  
「って……目印でもつけといてくりゃいいのに。」  

目の前には広がる壮大な森。  
木々はどれも似たような形をしており、目印となるものは何一つない。  

「こんなの、探すのに何日かかるんだよ……。」  
黄泉は気怠そうに呟き、シャベルを肩に乗せた。  

棺はふと、小さく笑う。  
「でもさぁ、素敵だよね。初恋のラブレターが入ってるタイムカプセルを掘り返してほしい…なんて。」  

その瞬間、記憶の中の景色がにじむ。  
棺の頭の中に、透子の柔らかな微笑みがよみがえった。  

「その中には、初恋の人からのラブレターが入っているの。」  
「ふふ、こんなお婆さんにも初恋があっただなんて、不思議に思うかしら。」  

優しく照れながら、紅茶を口にしたあの瞬間。  

棺はその余韻に浸りながら、ふっと息を吐く。  
「……黄泉はさぁ、初恋……」  

問いかけた、その直後だった。  

黄泉が突然、言葉を遮った。  
「やめた。」  

「へ?」  
棺は目を瞬く。  

黄泉はシャベルを放り投げ、深く腰を下ろした。  
「こんな面倒くさいことしてらんねぇって。」  

棺は驚いて黄泉を見つめる。  
「でも、タイムカプセルを見つけないと、あの人は渡れないんだよ?」  

黄泉は無造作に手を振り、棺を見た。  
「だーかーらぁ、埋めたものを探すんじゃなく、埋める前に回収しちゃえばいいじゃん。」  

「へっ?」  
棺が目を丸くする。  

次の瞬間、黄泉は棺の腕を掴んだ。  
「ほら、行くぞ。」  

「ちょっ…えっ?」  

空気が歪む。  
景色がひび割れ、時空が崩れる。  

棺は驚きの声を上げる間もなく、黄泉の手に引かれて、世界の狭間へ吸い込まれた。
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