キッドナッパー

TERRA

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Day.3

24

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少年の足がぬかるみに沈み、バランスを失った瞬間。

「危ない!」
青年は反射的に腕を伸ばし、少年の手を掴んだ。

雨に濡れた肌が冷たく、力を込めても指が滑りそうになる。
少年の呼吸が乱れ、膝を泥に沈めながら必死に体勢を立て直そうとする。

「立てるか?」
青年が声をかける。
少年は歯を食いしばりながら頷き、泥まみれの靴を踏み込んだ。

ぐっと引き上げられる感触とともに、ようやく姿勢を戻す。
「……ごめん。」
少年の声は小さかった。

青年は一度だけ少年の肩を叩き、視線を前へ向ける。
しかし、その先に広がっていたのは……。

細く続く崖沿いの道。
雨で緩んだ土が不気味なほどぐらつき、両側を覆う霧が視界を遮る。

青年は足を止めた。
少年も、その景色を見て息をのむ。
「ここ、本当に通れるの?」

少年の声に、不安が滲んでいた。
青年は険しい表情のまま周囲を確認し、答える。
「他に道はないみたいだ。慎重に進むしかないか。」

二人はゆっくりと足を進める。しかし、少年の足が再び不安定になる。
次の瞬間、岩の端に踏み込んでしまった足元が、ぐらりと傾く。

「……っ!」
青年は反射的に少年を抱えるように支える。

しかし、その瞬間。
青年の足元も不安定になり、地面がずるりと崩れ始める。

「……逃げろ!」
青年は少年を押し出すように突き飛ばした。

次の瞬間、崖の縁が崩れ、青年の体がふわりと宙へ投げ出された。
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