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・Day1/chapter3 主の味

12.

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「な、なにをっ」
 吐いたあとの青年のペニスを握ると男は彼の先端をもう片方の手でこすり始めた。
 果てたばかりで敏感なそこをいじられて想像以上の感覚が青年を襲う。
「いやだ、ァ、ァ、や」
 抵抗しようにも後ろ手で縛られている状態では為す術もない。男は、幹を握っていた手を離した。青年のペニスは再び立ち上がってきて、もう支える必要がなかった。
「ひぎっ!」
 男の空いた手は青年の後ろの穴に指を突き立てた。それは抵抗なくするりと男を迎え入れた。
「だいぶ熟れているじゃないか」
 男の声に青年はカッと赤面する。男の指は中の具合を確かめるように、うごめいた。
「アッ……」
 男の指の動きに青年は身体をよじる。
「ここに来たばかりのころは痛がってばかりだったな。もうすっかり味を覚えたらしい。いやらしい穴だ」
 くちゅくちゅといやらしい水音を立てながらかき混ぜていた男の指が、急に、すぽんと尻から出ていき、青年は思わず縋るように穴を締めた。
「物欲しそうだな」
 男の声に自分の状況がひやりと肌に巻き付く。けれど、内側の熱はいっこうに冷めず、じりじりと青年を焼いている。
 その時、青年は男のそれの高まりを視界の隅に捉えた。
「いやだ……やめて……」
 青年のかぼそい懇願をあざ笑いながら、男は高ぶったそれを青年のそこに充てがう。
「お前がさきほど、上の口で味わったものだ」
 青年は男のそれを咥え込んだときのことを思い出した。それだけで感じてしまい穴がきゅっと引き締まる。
 ただ触れているだけなのに、伝わってくる脈動と、圧倒的質量、熱。脳みそが危険だと信号を発してくる。雄の雄たるそれを今、ここに突き入れられてじったら――。
「ひっ、いや、だ……」
「そう緊張するな、緩めろ」
 男の低い声に思わず従ってしまう青年。しまった、と思ったのも一瞬。肉壁を押しのけるように侵入してきた怒張に、青年は仰け反った。
「ンアァッ!」
 身体が勝手に震える。ゆっくりと内側を犯されていく感覚に、気が狂いそうになる。やだやだと首を振るたびに、パサパサと髪が舞う。
「は、やっだぁ、んぁッ、アッ、あっ、ああっ」
 高い声が響く。抑えきれず泣き喚く青年に男が笑う。
「いい顔になってきたじゃないか」
 彼のことばどおり、男の怒張に犯されている青年は、頬を興奮の薔薇色に染めながらも、愉悦に染まりきったメスの顔をしていた。
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