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・Day3 目覚めたら天井

31.

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 こ、ここは……。
 青年は目を覚ました。
 目の前には天井。その仄白い板。柔らかい感覚。――布団?
 起き上がろうとして、激しく傷んだ頭痛に、青年は再び、沈んだ。
 痛い。
 全身の、あちこちが。
 頭の奥が、じくじくと激しく痛む。喉がひりついたように乾き、全身の関節がギスギスする。
「目が覚めたのか」
 部屋に小さく響いた声に、青年は、その身を固くした。忘れもしない。その声を。その声の主を。
 藤滝。
 この屋敷の主の名を呼ぼうとして、青年は目を見開いた。声は枯れ、ただの吐息が喉を通過しただけだった。
「無理をするな」
 その声は抑揚なく淡々としていた。青年の目の前にその顔が現れる。倒れている青年を男が覗き込んだ。
 なんのつもりだ。
 気だるく重たい体をこわばらせて、青年は、男を凝視した。彼の一挙一動に集中する。どんな仕打ちに出るか、わかりゃしない。
 すると、男が動いた。
 手を伸ばすと青年の頬に触れる。冷たい。男の指先は青年の火照った肌を冷やした。もしかして、熱があるのかもしれない。
 男の指は、つぅーと軽く青年の肌を撫でるように動き、青年のまぶたに触れた。そして、ゆっくりとまぶたを下ろす。
 なんだ。
 わけがわからない。
 その仕草がやけに――優しく思える。おかしい。何故だ。そんなの、気の所為に決まっているのに。
 しかし、再び、強い疲労感と眠気が襲ってくる。抗おうとして、その波に飲まれた。近くにあの男がいるというのに。
 青年は意識を手放した。



 気がついたことがある。
 あんなにも散々、汚された身体がきれいになっていること。そして、ここはあの仕置を受けるための納屋ではないこと。おそらく本宅にある部屋のどこかなのだろう。
 畳に敷かれている布団の温かさ。部屋に差し込む光のすがすがしさ。
 ここ数日の負健康な行為の残滓はすべて洗い流されて、いまはただ健康的でそれこそ清浄な空気に満たされている。
 再び目を開いた青年は、思わず男の姿を探していまう。さきほどまで、ここにいたはずだと。
 そんな自分の行動に気がついて、カッと頬を染めた。
 ばかな。
 あいつがどうだと気にすることなどないのだ。
 頭痛はさきほどよりも痛みは引いた。しかし、全身の疲労感が残る。ぼーとする。頭が重い。やはり熱でもあるのだろうか。
「失礼します」
 襖が開けられて、そこに手をついて頭を下げているうら若い少年の姿があった。
「ご主人さまの言いつけのため、お薬をお持ちいましました。お加減はいかがでしょうか」
「なっ!?」
 青年は彼の発言に目をむいた。
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