結婚させられたくないので魔導騎士団に入団しますっ!

モー子

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閑話①

閑話ーちいさなヒーロー①ー

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「そろそろ、我々の姫様はヒーローと合流できたのでしょうか…」

 クラーワ王国の東ガーランド公爵領のまた東、スペンサー男爵領の港町である“アルガ”その町はずれにある屋敷の中で、溜息と共に呟いたのは黒と白の執事服に身を包んだスペンサー男爵家の執事長を任されている――星獣のいっかくじゅう座のユニコーン――ユニ。
 柔らかい物腰でその落ち着きぶりは壮年のようであり、見た目の若々しさはまだ青年のようでもある。パリッと糊のきいた執事服は彼によく似合っている。ユニは、白い雲が流れる蒼空を見あげた。

「 昔から彼は、姫様のヒーローであったからな……」











「まだ、見つからないのか!?」
「もう1度手分けしてよく探すんだっ」
「セリーナ様~どこですか~ご飯のお時間ですよ~」

 スペンサー男爵家の広い邸の中をパタパタと何人もの使用人が慌てて走り回っている。まだ年端もいかないこの邸の姫であるセリーナお嬢様がもうかれこれ数時間姿を見せていないのだ。

 ――全くタイミングが悪い…
 ――今日に限ってヒューイ坊ちゃまの外出に捜索が得意な者を付けてしまっている…
 ――帰りは3日後だったな…

 この日はたまたま屋敷に仕えている星獣の内、鼻の利くものがセリーナの兄ヒューバートの供で出払っていた。

 ――姫様と共にいる星獣仲間は、何をやっているんだっ

 内心イライラしながら表面は冷静を装いユニは使用人を仕切っていく。

 ――平気そうな顔をしていたって……まだ赤子に毛の生えた程度の幼子だというのに…

 苛立ちは、不甲斐ない自分に向いている。各自の捜索場所を確認した使用人が己の元へ集まってくると、ユニはその使用人たちの顔をしっかりと見渡した。使用人たちは家具の隙間や、ソファの下、大きな鍋の中などありえない場所まで探している。

 ――ここに、姫に危害を加える者はいない

「姫様の今日の予定を知っているものは?」
「最近の姫様のお気に入りの場所がどこだ 知っている者はいないかっ」
「姫様~ いたずらでどこかに隠れているんだったら、もう出てきてください~」

 どんなに呼びかけても返事は聞こえず姫様の姿は見当たらない。敷地の外に出た形跡はない。結界が張られているので、敷地から猫の子一匹出入りすればわかる様になっているのだ。屋敷の周り庭園や物置などを見回りに行っていた者も、何の収穫もなく戻ってきていた。

 ――……姫様、どちらに……っ
 ――クソッタレ……あぁいけない、いけない…ふぅ
 ――それもこれも、みんなあの気の廻らないバーナードのせいだな…
 ――ソフィア様がここを出られて1年…やっと……やっと、この生活になれてこようと言う時に…

 ――バーナードあの馬鹿者めっ!!

 先日、1通の手紙が届いた。宛名はセリーナの兄、ヒューバートであった。そしてその内容は、王都にある王立高等教育学園の案内と、入学までガーランド侯爵家で基礎の勉強をしてはどうかという内容の父親であるバーナードからの手紙であった。

 ヒューバートと一緒に手紙を読んでいたセリーナは、魂が抜けてしまったかの様に、ショックのあまりに、言葉を失ってしまったのだ。兄が、この邸を出て行ってしまうかもしれないと。、置いていかれてしまうのかと。
 セリーナの様子を心配し、手紙に憤慨したヒュ―バートは、直接断りを入れにガーランド侯爵家に向かっているのだった。2人とも、まだ両親に甘えていていい年頃の子供なのに。


 ――まったく……姫もヒューイ坊ちゃまも、気苦労が絶えませんね…どっかのバーナード馬鹿者のせいで…

 ――ソフィア様には、もっとしっかりと手綱を引いてもらわねばなりませんね
 ――どこかで膝を抱え、声も出さずに泣いているであろう小さな姫様を想うと……
 ――早く見つけ出して、皆で暖め……せめて声を出して泣いて良いのだ教えて差し上げたいと、皆思っております
 
「もうすぐ日が沈んでしまいます。どうしましょう……ユニ様」

 ヒューバートが出発する際、直ぐに帰ってくると説明していた。その時セリーナは、わかったという様に頷いたのだった。だがヒューバートの乗った馬車が見えなくなると、セリーナは黙って姿を消してしまったようだった。

 ――一緒に出発を見送ったのだ
 ――ヒューイ坊ちゃまの馬車に紛れ込んだという事は無いなはずだ

 使用人たちが揃って顔の色青くして、顔を突き合わせているとギィという小さな音を立て屋敷の大扉がゆっくりと押し開けられた。

 ――そう言えば先程挨拶だけと、先に来ておりましたね…





 そこにはまだ、大人の半分ほどの身長しかない子供が2人、長身の朱色の髪の青年に抱えられていた。
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