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本章 ――魔導騎士団の見習い団員――
17-4
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耳をすませば崖の途中から少女の泣き声の様なものが聞こえてくる。瑠璃色の目が真剣にスピカに訴えかける。星獣の姫であるセレナに懇願されてしまえばスピカは感情では反発したくとも"否"とは言えないのだ。手の平サイズの小さな乙女は、しぶしぶだが頷いた。
『そのかわり、トーラを呼びましょう』
「わかった それなら絶対崖に落ちたりしないねっ」
スピカの提案にセレナはにっこりと微笑んだ。その人選ならば、セレナを支えてくれる植物の蔓の先は安全が保証された様なものだ。
『姫っ……ダメだと思ったら引き返してっ トーラなら引き上げてくれるからっ』
「大丈夫だよっ スピカ」
セレナが降りると言った崖のせり出した部分はそれなりの深さにある。スピカに言われた通り金牛宮おうし座のトーラを呼び植物の蔓の先を持たせた。
トーラの金色の髪が風に揺れ、夜空色の目がご機嫌に笑っている。
『スピカ、行きなっ』
『姫を、お願いねっトーラ』
「もーっ あたしは、大丈夫だってばっ」
魔導騎士団の詰所へ連絡を終え、戻ってきたルイスが既に探しているかもしれない。セレナは、それも心配だった。単独行動を怒られるのもあるが、行き違いになってはせっかく見つけたかもしれない2人の救出が遅れてしまうかもしれないのだ。
「スピカ、なるべく早くルーを連れて来てっ」
『わかったわ……姫、無茶はしないで』
心配するスピカを説き伏せセレナは植物の蔓を腰に巻いた。その先を握るトーラは余裕の笑みを浮かべている。
『絶対手を離さないから、安心しなっ』
セレナとトーラを残しスピカは宙に舞った。ルイスの気配を探っているのだろう。
蔦に捕まりながら崖を降りていくセレナの視界に、崖からせり出した岩が見えた。そこに横たわる群青色の髪の青年とそのすぐ脇で静かに泣く少女の姿もだ。
「だれかぁ……たすけてぇ ひっく お兄ちゃんがっ ひっく」
少女の小さな声が、セレナに届く。気が急くが、今は焦らず慎重に蔦を伝い降りていくしかない。
少女と青年はまだセレナに気が付いてい無いようだ。というか青年の方は意識が無いのかもしれない。セレナの手に汗がにじむ。
――どこか怪我してるのね…
――意識が無いなら、やばいかもしれない…
――胸が上下しているから、息はある
――間に合わせるっ!
上から覗くと倒れ込む青年の服の端を、すすり泣く少女が震えているであろう手で握っている。少女のすすり泣く声が近くなった。もう少女の方からも見上げればセレナの姿をはっきりと確認できる近さだ。
「今、助けるからっ」
その声を受けて、少女がセレナを見上げた。その目には涙が滲んでいる。今にも崩れそうな断崖からせり出した岩からセレナを見上げた少女が声をあげて泣き出した時、その岩が揺れた。
「や――――!!」
少女は倒れている青年にしがみついた。それに揺れる勢いが増し、岩がずり落ちていく。その時セレナの頬をよく知る気配の風が吹き抜けた。
「エリアスっ!!」
『ボクに任せろっ』
岩に乗ったまま落ちていく青年と子供のわきを風がすり抜け、谷底から強い風が吹き上がってくる。岩ごと持ち上げそうな強風を受けた失速した岩に向かってセレナが臆することなく飛び込んだ。セレナ自身も風の力を借り勢いをつけそこに追い付いた。
『無茶はしない約束でしょっ』
風を操る水瓶座の星獣エリアスに連れられ戻ってきたのか、セレナの肩にスピカが戻ってきていた。小さな瞳が責める様にセレナに視線を向けている。
――ルー早くっ!!
『スピカっやるよっ』
『オッケーっ』
肩に乗ったスピカを手で庇いながらセレナは崖の壁を蹴り、2人を乗せた岩の下側に回り込んだ。両手で崖の壁に触れ叫ぶ。
「『プランタッ!!』」
セレナを中心に銀色の光があふれた。瞬間、崖から植物が延びてくる。落下していた2人を乗せた岩ごと植物の蔓が捕まえた。岩の重さに蔓が撓るが、そこに下から木が伸びてくる。先程まで崖壁からせり出していた岩場は、蔓に絡まれ、大木の上乗っかっている状態になった。
一連の衝撃に、気を失っていた青年の眉間にしわが寄り薄目が開いたようだ。
「ぐっ……」
「っ……ふぇっ」
セレナは、宙に身を投げ出されていた。自身で出した蔓を身に巻きつけ加速していた勢いを殺したのだが、そのまま絡まったらしかった。そこへ岩場を受け止めていたエアリスの風がセレナの軽い体を岩場よりも上空に飛ばしている。蔓に絡まり無防備に宙に投げ出されているセレナの様子を目に、泣き出した少女。少女を抱き抱いた青年も目を見開いている。
そこへ、崖上から声がふってくる。
「リーナっ!! 無茶すんなっつったよなぁっ」
「ルー……遅いよもぉ…ありがとっ」
絡まった蔓を風の刃が経ち切り、熱く暖かい風が吹き抜けた。セレナの身体は直ぐに暖かい体温に包まれた。
「焦ったっ」
「っ…ごめんてっ」
朱色の髪の青年が、セレナを横抱きに宙に浮かび上がった。ルイスが片手を振ると、再び暖かい風が流れた。
少女と少女を抱えた獣人の青年はいつの間にか、ルイスと一緒に駆けつけてくれたシリウスの背にのせられている。
ルイスの腕の中から、セレナは下を見た。あと数メートルで薄い水しか流れていない小川に飛び込むところだった。
――もしかして危機一髪!?
――う~ん だって、そこにルーの気配もうそばにあったし…
――ハハハッ
ルイスに連れられてセレナはシリウスの背に乗る2人の元へ降り立った。治癒は眩しいからと群青色の髪の青年とおさげの少女の目を覆い隠し、オフィを呼びだした。オフィは姿を消している為他の者には見えないのだが、念の為だ。
獣人の青年は治癒を施してもらうと、体から力が抜け再び気を失ったようだ。ホッとしたのだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
リーナ=セリーナ=セレナ=レナ
焦ってつい、呼び馴れた方で呼んじゃったルイスでしたw
―――――――――――――――――――――――――――――――
そしてシリウスごと、魔導騎士団に戻るのかな?…つづく…(笑)
『そのかわり、トーラを呼びましょう』
「わかった それなら絶対崖に落ちたりしないねっ」
スピカの提案にセレナはにっこりと微笑んだ。その人選ならば、セレナを支えてくれる植物の蔓の先は安全が保証された様なものだ。
『姫っ……ダメだと思ったら引き返してっ トーラなら引き上げてくれるからっ』
「大丈夫だよっ スピカ」
セレナが降りると言った崖のせり出した部分はそれなりの深さにある。スピカに言われた通り金牛宮おうし座のトーラを呼び植物の蔓の先を持たせた。
トーラの金色の髪が風に揺れ、夜空色の目がご機嫌に笑っている。
『スピカ、行きなっ』
『姫を、お願いねっトーラ』
「もーっ あたしは、大丈夫だってばっ」
魔導騎士団の詰所へ連絡を終え、戻ってきたルイスが既に探しているかもしれない。セレナは、それも心配だった。単独行動を怒られるのもあるが、行き違いになってはせっかく見つけたかもしれない2人の救出が遅れてしまうかもしれないのだ。
「スピカ、なるべく早くルーを連れて来てっ」
『わかったわ……姫、無茶はしないで』
心配するスピカを説き伏せセレナは植物の蔓を腰に巻いた。その先を握るトーラは余裕の笑みを浮かべている。
『絶対手を離さないから、安心しなっ』
セレナとトーラを残しスピカは宙に舞った。ルイスの気配を探っているのだろう。
蔦に捕まりながら崖を降りていくセレナの視界に、崖からせり出した岩が見えた。そこに横たわる群青色の髪の青年とそのすぐ脇で静かに泣く少女の姿もだ。
「だれかぁ……たすけてぇ ひっく お兄ちゃんがっ ひっく」
少女の小さな声が、セレナに届く。気が急くが、今は焦らず慎重に蔦を伝い降りていくしかない。
少女と青年はまだセレナに気が付いてい無いようだ。というか青年の方は意識が無いのかもしれない。セレナの手に汗がにじむ。
――どこか怪我してるのね…
――意識が無いなら、やばいかもしれない…
――胸が上下しているから、息はある
――間に合わせるっ!
上から覗くと倒れ込む青年の服の端を、すすり泣く少女が震えているであろう手で握っている。少女のすすり泣く声が近くなった。もう少女の方からも見上げればセレナの姿をはっきりと確認できる近さだ。
「今、助けるからっ」
その声を受けて、少女がセレナを見上げた。その目には涙が滲んでいる。今にも崩れそうな断崖からせり出した岩からセレナを見上げた少女が声をあげて泣き出した時、その岩が揺れた。
「や――――!!」
少女は倒れている青年にしがみついた。それに揺れる勢いが増し、岩がずり落ちていく。その時セレナの頬をよく知る気配の風が吹き抜けた。
「エリアスっ!!」
『ボクに任せろっ』
岩に乗ったまま落ちていく青年と子供のわきを風がすり抜け、谷底から強い風が吹き上がってくる。岩ごと持ち上げそうな強風を受けた失速した岩に向かってセレナが臆することなく飛び込んだ。セレナ自身も風の力を借り勢いをつけそこに追い付いた。
『無茶はしない約束でしょっ』
風を操る水瓶座の星獣エリアスに連れられ戻ってきたのか、セレナの肩にスピカが戻ってきていた。小さな瞳が責める様にセレナに視線を向けている。
――ルー早くっ!!
『スピカっやるよっ』
『オッケーっ』
肩に乗ったスピカを手で庇いながらセレナは崖の壁を蹴り、2人を乗せた岩の下側に回り込んだ。両手で崖の壁に触れ叫ぶ。
「『プランタッ!!』」
セレナを中心に銀色の光があふれた。瞬間、崖から植物が延びてくる。落下していた2人を乗せた岩ごと植物の蔓が捕まえた。岩の重さに蔓が撓るが、そこに下から木が伸びてくる。先程まで崖壁からせり出していた岩場は、蔓に絡まれ、大木の上乗っかっている状態になった。
一連の衝撃に、気を失っていた青年の眉間にしわが寄り薄目が開いたようだ。
「ぐっ……」
「っ……ふぇっ」
セレナは、宙に身を投げ出されていた。自身で出した蔓を身に巻きつけ加速していた勢いを殺したのだが、そのまま絡まったらしかった。そこへ岩場を受け止めていたエアリスの風がセレナの軽い体を岩場よりも上空に飛ばしている。蔓に絡まり無防備に宙に投げ出されているセレナの様子を目に、泣き出した少女。少女を抱き抱いた青年も目を見開いている。
そこへ、崖上から声がふってくる。
「リーナっ!! 無茶すんなっつったよなぁっ」
「ルー……遅いよもぉ…ありがとっ」
絡まった蔓を風の刃が経ち切り、熱く暖かい風が吹き抜けた。セレナの身体は直ぐに暖かい体温に包まれた。
「焦ったっ」
「っ…ごめんてっ」
朱色の髪の青年が、セレナを横抱きに宙に浮かび上がった。ルイスが片手を振ると、再び暖かい風が流れた。
少女と少女を抱えた獣人の青年はいつの間にか、ルイスと一緒に駆けつけてくれたシリウスの背にのせられている。
ルイスの腕の中から、セレナは下を見た。あと数メートルで薄い水しか流れていない小川に飛び込むところだった。
――もしかして危機一髪!?
――う~ん だって、そこにルーの気配もうそばにあったし…
――ハハハッ
ルイスに連れられてセレナはシリウスの背に乗る2人の元へ降り立った。治癒は眩しいからと群青色の髪の青年とおさげの少女の目を覆い隠し、オフィを呼びだした。オフィは姿を消している為他の者には見えないのだが、念の為だ。
獣人の青年は治癒を施してもらうと、体から力が抜け再び気を失ったようだ。ホッとしたのだろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――
リーナ=セリーナ=セレナ=レナ
焦ってつい、呼び馴れた方で呼んじゃったルイスでしたw
―――――――――――――――――――――――――――――――
そしてシリウスごと、魔導騎士団に戻るのかな?…つづく…(笑)
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