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24話 治験

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今日はユニーク魔法【治療ガラガラ】の真価がはっきりする日だ。

緑色の部屋に入った。

「やぁ、俺は神風宝。調子はどうだい?烏間ちゃん」

「は、はい!烏丸ハルナ7歳です!!・・・元気です///」

帽子をかぶり車いすに乗っているハルカちゃんは
元気よく自己紹介したのが恥ずかしかったのか元気ですの部分の声が小さくなり顔を赤くしている。相当緊張しているらしい。

ハルカちゃんのお母さん。もといい寺田さんの元直属の上司さんは俺が入ってきた瞬間に深く頭を下げ自己紹介を始めたハルカちゃんをドジっ子ねっと優し気に苦笑いしていた。

男女比1:1000だと身内に男がいなければ会う機会少ない。

しかも小さい子は理性的でいるのが難しい。思春期の子は禁欲の鍛錬が足りない。
という理由で小中高は共学の学校がないから、もしかしたら俺が初めて会う男なのかもしれない。

にしても・・・・7歳の子にお見合いをさせたい親バカとその子に病気なんて事情があったとは・・・

寺田さんも元上司が昇格してしばらく会わない内に傲慢なってしまったのか、単にストレスが溜まっているのだと思っていたようだ。

いくら寺田さんでも、暫く会っていない上司のお子さんがガンで長く生きれるか分からない状況で、よい思い出を作ってあげたかったがための無茶ぶり行動だったとは普通思いいたらないだろう。

「元気そうで良かった。確認だけど病気は白血病で良かったよね?」

ハルカちゃんの後ろに控えるお医者さんに尋ねた。

「はい、小児白血病で2日前は頭痛が酷かったそうですが今は安定しています。」

今いる場所は男性向けの大きな病院だ。
色んな設備が整っていて色んな検査・手術がその病院で済ませれる。

緊急時などは別として基本利用者は数の少ない男なので待ち時間も少ない。

今回はユニーク魔法という未知な部分の多い魔法を俺がハルカちゃんに使うと言う事でこの施設を使用することになった。

魔法を受け止めるハルカちゃんもすぐ診てもらえるようこの病院で事前実後の検査をしてもらえるように頼んでおいた。

「烏丸ちゃんは男の魔法を見たことはあるかな?」

「ぁ、ありません。」

「そうか、じゃあ簡単に一つ見せてあげよう。【クリーン】」

「・・わぁあ///キラキラ」

今ハルカちゃん体はキラキラした光に包まれている。
すぐ消える光だけど見て体験する魔法としては最適だろう。

それに、クリーンは初期魔法で適性があれば広範囲とか汚れが強すぎるとかじゃなきゃ疲れも少ない。

練度を上げるとキラキラも無しでクリーン出来るけど見栄えと消耗を少なくするためにやめた。

魔法は女性でも使える人はいるけど殆どは男性に適性がある。

「水・火・風・土の4大属性魔法の他に光と闇と無の3属性があって、今のは無属性の魔法だよ。面白いでしょ?」

「スゴイです!本当に!!」

ハルカちゃんとともに俺自身も緊張が少しほぐれてくれた。
男性耐性持ちじゃない女性に接するのは久しぶりだから実は緊張してたんだよね。初級魔法とはいえ使えて良かった。

「これから烏丸ちゃんに受けてもらう魔法は、ユニーク魔法と言われる凄く珍しい魔法なんだ。しかも詳しいことも分かってない。」

お母さんや、お医者さんから聞いてるかもしれないけど、
俺自身から口に出すのも大切な事だと思う。

「だから、魔法を受けてもらったら体が元気になったのかを確認するために色々検査しないといけないんだけど、具合が悪かったり違和感を感じたらちゃんと先生や看護師さんに伝えてね。」

これは人体実験だ。
同意書などそういう細かいことはもう済んでいるそうだが【治療ガラガラ】で出た球体をハルカちゃんに渡して思い通りに発動するか1回で完治するのかも不明だ。

光属性の代表とされ研究が進んでいる治癒魔法と違い詳しい事が分かっていないユニーク魔法なので仕方ない部分もあるが、もどかしい。

だから今日病院には通常より多くの医者・看護師がいるそうだ。ジッと観察している○○や施設長に俺の護衛の他にも魔女や女性魔法研究者などがいる。

研究用や医者やヒーラーが見る用で、俺の顔を写さない条件で撮影もしている。(俺の首から下が映っている感じになっているはずだ。)
記録に残る事だし、久しぶりに敬語を少し使う事にしよう。

「じゃ、始るので皆さん準備をお願いします。」

ここは病院建物から少しだけ離れた小さ目な別病棟の手術室。
男性向けの病院という事もあり魔法暴走とかの可能性の配慮として一部離れて作っているそうだ。何が起こるか分からないのでありがたい。

あと、実はハルカちゃんのお母さんも含めみんな手術服?髪の毛が落ちないように頭にかぶり物をしていたり手袋にマスクをしたりとスタンバってた。俺の姿も今そんな感じ。

意味はないかもしれないけど、意味が無いことが分かることも大事なので出来る事は何でもするのがユニーク魔法対策の基本なのだそうだ。

俺の掛け声で烏丸母や何人かは手術室を出て行き
ハルカちゃんが帽子を外し助けられながら車いすから手術ベッドへと移動する。

そしてハルカちゃんの体にペタペタと心電図検査で使うような機器部品を貼り付けた。良く分からないがおそらくこれでハルカちゃんの体の負担が無いかを調べるんだろう。

残りの人達は何かあった時に介入出来るように手術室の隅で待機している。

周りの準備が終わったのを確認しハルカちゃんの前に立った。

「【ガラガラ】・・・ちゃんと烏丸ちゃんの情報が載っている球体です。じゃあ今から烏丸ちゃんに球体を渡します。」

俺は出現させた球体がちゃんとハルカちゃんの物である事空中に出現するウィンドウで確認し、球体しか見えてない周りに分かるように説明した。

先日【治療ガラガラ】で抽選器を回して球体を出したが、手に持った球体を手離すと抽選器と球体の両方が消失した。
焦ったが【ガラガラ】と言うと球体が再出現する事を思い出し事なきを得た。

頭の中にザックリとした説明書あったにしても、抽選器と球体がいきなり消失するとは思ってなかったので驚いた。

説明書によれば球体をハルカちゃんに渡せば病気が治るはずだ。

変な事起こるなよ・・・

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