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4 困惑と動悸の日々
4‑1 衣装合わせ
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🩰
あまり艶の目立たない、落ち着いた淡い金色の生地シルクサティーンのマーメイドドレスと、薄く紅色がかったシャンパンゴールドのエンパイアドレス。
殿下は、こういったスレンダーなラインのドレスがお好きなのかしら?
しかも、上質なシルクサティーン生地の、落ち着いた色とはいえ殿下の髪の色に近い、ゴールド系。
デザインを合わせた宝飾品まで。
私の目の色に合わせた金緑石の滴型のイヤリング、涙型のペンダントトップの首飾り。
クリソベリルのものは、他にも幾つか用意されていて、組み合わせで幾通りか使いまわせそうだったけれど。
オーガンジーストールとストールを留める飾り留具が、アメシストとイエローダイヤモンドの太陽と月を象った物。
こ、これは⋯⋯
「⋯⋯済まない。女性に衣装や装身具を贈るのは初めてでちょっと燥ぎすぎた。デザイナーに勧められるといい意匠のような気がしてその場では受け容れてしまったが、出来上がって見れば、⋯⋯さすがに人前では使えないだろう。
ドレスの方は、わたしの宮廷服に近いけれど揃いではないように調整して仕立てているのでそのまま着て欲しいが、飾りは、こちらの無難な方を使ってくれ」
恥ずかしそうに謝罪し、代案なのか、花を模したアレキサンドライトのストール留めを差し出してくるエリオス殿下。
アレキサンドライトは、私の瞳の色に合わせてエリオス殿下が用意してくださった金緑石の仲間で、光の波長で色が変わる、稀少な宝石だ。
昼間は陽光で同じ緑色に、陽光以外の波長の光を受けると紅く見える。
そのアレキサンドライトの花のまわりに、小さな違う種類の花や葉を模した石もついているのだけれど、それがまた⋯⋯
カラーチェンジストーンのフローライトとスピネル、サファイアが散りばめられている。
「色が変わる宝石は稀少だし敢えて口にするのも憚られるがそれなりに高価だ。公爵家の当主や嫡子に相応しいとも言える。恋人や婚約者、夫婦間で贈られるのはタブーだが」
色が変わる花や宝石を贈ることは、移り気を意味したり、浮気を咎めたりする意味合いを含む事がある。なんとも遠回しでお金のかかる厭味だけれど。
それはともかく、私の瞳の色の薄い緑から変わるのが一般的な赤ではなく、藤色や黄色であること。
宝飾デザイナーは、殿下が女性に贈るものだというので、エリオス殿下の色が入ることを敢えて意識したのかもしれない。
「色変わりの宝石は、どれも新調した訳じゃない。元々、わたしが個人的に持っていたものだ。わたしの都合で付き合わせるのだから、気にすることはない、受け取ってくれ」
王太子殿下と違って、第二以下の王子達は、王太子殿下が即位して国王を代替わりした時、兄弟王子達は世襲制の低い新興公爵家として、臣籍降下される。
その際に王家直轄地のひとつを領地として、王子時代から授かる。領地管理業務を通して、将来の政務の勉強も兼ねているのかもしれない。
エリオス殿下は、王都より南西にある山林地域を担当され、魔法省の仕事、魔法士学校、王子としての公務の合間に管理している土地だ。
夏の貴族の避暑地としてよく利用される土地でもある。
そこの山々のひとつが、宝石が採れる鉱山であることは知っているので、恐らくそこから出た石達なのだろう。
自然豊かで光気や地精、魔素の豊富な土地ゆえに、魔石や変わり宝石がよく採れるらしい。
なにも私などに使わなくても⋯⋯
「わたしには交際のある女性も婚約者もいないから、これまで使い途がなかった。たまにはいいだろう」
「その時──必要になるまで取っておいても、なくなったり劣化したりするものでもないのに」
態々殿下が用意してくれた上、使う機会が近々あるというのに、頑なに固辞しても失礼だろうし、この先、同じようなことがあっても困る。
「では、今回はお言葉に甘えて、殿下との、会議や晩餐会に出席しなければならないような公務の時に使わせていただきますわ」
殿下は、私が受け取ると言ったので、ほっとして微笑んだ。
それでも、アメシストとイエローダイヤモンドの、太陽と月(星)の意匠のストール留めは、人前では使えないけれど。
あまり艶の目立たない、落ち着いた淡い金色の生地シルクサティーンのマーメイドドレスと、薄く紅色がかったシャンパンゴールドのエンパイアドレス。
殿下は、こういったスレンダーなラインのドレスがお好きなのかしら?
しかも、上質なシルクサティーン生地の、落ち着いた色とはいえ殿下の髪の色に近い、ゴールド系。
デザインを合わせた宝飾品まで。
私の目の色に合わせた金緑石の滴型のイヤリング、涙型のペンダントトップの首飾り。
クリソベリルのものは、他にも幾つか用意されていて、組み合わせで幾通りか使いまわせそうだったけれど。
オーガンジーストールとストールを留める飾り留具が、アメシストとイエローダイヤモンドの太陽と月を象った物。
こ、これは⋯⋯
「⋯⋯済まない。女性に衣装や装身具を贈るのは初めてでちょっと燥ぎすぎた。デザイナーに勧められるといい意匠のような気がしてその場では受け容れてしまったが、出来上がって見れば、⋯⋯さすがに人前では使えないだろう。
ドレスの方は、わたしの宮廷服に近いけれど揃いではないように調整して仕立てているのでそのまま着て欲しいが、飾りは、こちらの無難な方を使ってくれ」
恥ずかしそうに謝罪し、代案なのか、花を模したアレキサンドライトのストール留めを差し出してくるエリオス殿下。
アレキサンドライトは、私の瞳の色に合わせてエリオス殿下が用意してくださった金緑石の仲間で、光の波長で色が変わる、稀少な宝石だ。
昼間は陽光で同じ緑色に、陽光以外の波長の光を受けると紅く見える。
そのアレキサンドライトの花のまわりに、小さな違う種類の花や葉を模した石もついているのだけれど、それがまた⋯⋯
カラーチェンジストーンのフローライトとスピネル、サファイアが散りばめられている。
「色が変わる宝石は稀少だし敢えて口にするのも憚られるがそれなりに高価だ。公爵家の当主や嫡子に相応しいとも言える。恋人や婚約者、夫婦間で贈られるのはタブーだが」
色が変わる花や宝石を贈ることは、移り気を意味したり、浮気を咎めたりする意味合いを含む事がある。なんとも遠回しでお金のかかる厭味だけれど。
それはともかく、私の瞳の色の薄い緑から変わるのが一般的な赤ではなく、藤色や黄色であること。
宝飾デザイナーは、殿下が女性に贈るものだというので、エリオス殿下の色が入ることを敢えて意識したのかもしれない。
「色変わりの宝石は、どれも新調した訳じゃない。元々、わたしが個人的に持っていたものだ。わたしの都合で付き合わせるのだから、気にすることはない、受け取ってくれ」
王太子殿下と違って、第二以下の王子達は、王太子殿下が即位して国王を代替わりした時、兄弟王子達は世襲制の低い新興公爵家として、臣籍降下される。
その際に王家直轄地のひとつを領地として、王子時代から授かる。領地管理業務を通して、将来の政務の勉強も兼ねているのかもしれない。
エリオス殿下は、王都より南西にある山林地域を担当され、魔法省の仕事、魔法士学校、王子としての公務の合間に管理している土地だ。
夏の貴族の避暑地としてよく利用される土地でもある。
そこの山々のひとつが、宝石が採れる鉱山であることは知っているので、恐らくそこから出た石達なのだろう。
自然豊かで光気や地精、魔素の豊富な土地ゆえに、魔石や変わり宝石がよく採れるらしい。
なにも私などに使わなくても⋯⋯
「わたしには交際のある女性も婚約者もいないから、これまで使い途がなかった。たまにはいいだろう」
「その時──必要になるまで取っておいても、なくなったり劣化したりするものでもないのに」
態々殿下が用意してくれた上、使う機会が近々あるというのに、頑なに固辞しても失礼だろうし、この先、同じようなことがあっても困る。
「では、今回はお言葉に甘えて、殿下との、会議や晩餐会に出席しなければならないような公務の時に使わせていただきますわ」
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それでも、アメシストとイエローダイヤモンドの、太陽と月(星)の意匠のストール留めは、人前では使えないけれど。
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