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小さな嵐はやがて⋯⋯
15.園遊会──国王に挨拶を
しおりを挟む「システィアーナ・リリアベル・アレナルハウディス=ハルヴァルヴィア侯爵令嬢とその付添人エルネスト・J・ニールセントルフィオ=サラディナヴィオ公爵子息。
二人ともよく来たね。ああ、衣装を揃えて、まるで一対のウェディング・ドールのようだね。薄紅の髪がよく映えて、いつにも増して綺麗だよ、システィアーナ。今日は客人としてゆっくり楽しんでくれたまえ」
「ありがたく承りました。本日はお招きに預かりまして陛下のご威光に浴し恐悦至極、益々の国の繁栄と陛下のご健勝を祈り申し上げます」
手本のように綺麗なカーテシーを決め、恭しく臣下の礼をとるシスティアーナ。
エスタヴィオは目を細め、娘とも息子とも親しくしているシスティアーナを見つめ、次いでエルネストに目を移す。
「いつも、フレキシヴァルトを助けてくれてありがとう。出来ればそのまま、あれの支えになってやってくれると嬉しいのだがね」
以前、叔父でもある宰相ロイエルドにも言われた事を、エスタヴィオからも言われ、本当に望まれているのかと思うと僅かに身が震える。
「もったいなきお言葉、痛み入ります」
「そう畏まらないで、今日は、王族の裔として『王の客人』を堪能して行きなさい」
貴賓席の近くに設えた大型の円形テーブルに二人で座る。
「やあ、システィアーナ、今日は可愛らしいドレスなんだね、似合ってるよ」
「ありがとうございます。ユーヴェ従兄さまも、素敵ですわ」
「この子は、父方の従妹で、カロライン。ナーベル侯爵令嬢だ」
「初めまして。システィアーナ・リリアベル・アレナルハウディス=ハルヴァルヴィア侯爵令嬢ですわ。あまりお茶会に出ないので直接お話しするのは初めてですね。確か、ハーブを育てるのがお好きだと。レース編みもお得意なのですわよね」
テーブルには、先にユーヴェルフィオと親戚の少女が座っていた。
ユーヴェに紹介されて、少女が令嬢らしい笑みと綺麗な所作で立ち上がり、挨拶をする。
「薄紅の姫君に知っていただいていたなんて、身に余る光栄ですわ。カロライン・フローリア・ジステイン=ナーベル侯爵令嬢にございます」
王家と対当に近い扱いを受け、王女らと共に行動し、慈善事業や公共事業なども手掛ける才女として、令嬢達の間でもシスティアーナの名は通っていた。
エスタヴィオに挨拶を終えたファヴィアンが、父公爵と別れ、システィアーナ達と同席する。
王城の高級女官が全員にファーストティーを淹れていく。
少し話していると、隣の貴賓席に、ツンとしてあまり機嫌のよくなさそうなマリアンナとその次兄ユーンフェルトが座る。
マリアンナは、システィアーナを意識しているのかこちらを見もしなかったが、ユーンフェルトは軽く手を挙げ、システィアーナ達も会釈した。
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