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第一章 辺境の町
第196話 薬屋
しおりを挟むあれから早々に町へ戻り、まずは久々に魔力切れを起こしたリノ用に、回復アイテムを買うことにした。
今日は新パーティーを組んでから初の活動日で、彼女の身体の限界を見極めるため支援魔法も休憩も減らして動いていた。
その上、森は奥へ行くほど徐々に瘴気が増し魔力や体力を奪う特性があるから、早くバテてしまったと言うのもあるんだけどね。
不安要素は早めに把握して、減らしていった方がいいから有意義な時間だった。
今回はポーションで回復したけど、出来れば常時発動する魔道具も身につけておきたい。回復方法は、幾通りもあった方がより安全だから。
リノだけじゃなく、魔法中心に戦う私にも必要なアイテムだしいつかは買いたいと思っていたし、良いのがあるといいな。
冒険者ギルドで今日の成果を精算して貰った後に、この町に一軒しかない魔道具屋さんへとやって来た。
早速、店主のマールさんに、聖魔水晶と残りの魔石を全部買い取ってもらう。
結構いい値がついて、冒険者ギルドの分と合わせて三等分すると一人当たりの稼ぎは996シクルになった。すごいっ。
一日の活動時間としては短かったはずなのに、パーティーに熟練の戦士が一人いるだけでこんなにも収入額が違うんだ……。
これだけあるならリノも私も「MP全回復+1上昇」のやつが買えそう。魔道具型のネックレスになっていて、お値段は1000シクルだった。
一応、専門家の意見も聞きたいのでマールさんにも相談してみた。すると、その効果が私達のパーティーにとっては微妙な事が判明した。
何でも、「MP全回復+1上昇」は支援魔法のレベル1と同程度の効果しかないらしい。
う~ん、それだと私の負担は減るけど、彼女は今までと同じで回復が追い付かないかもしれない。
皆で話し合って購入は見送り、「MP全回復+2上昇」以上が買えるお金が貯まるまでは、即効性のあるポーションを買うことにした。
ポーションは薬屋で売っているらしい。
この近くにあるというので、ラグナードに案内して貰ったそこは、十人も入ればいっぱいになってしまうような小さな店舗だった。
ショーケース付きのカウンターには小瓶に入ったポーション類が並べられ、その後ろにある壁には一面に大きな棚があって、粉薬や丸薬の他に薬草類がきれいに瓶に入れられて収まっており、独特の匂いがしていた。
私は大丈夫だけど、『嗅覚強化』スキルのレベルが高い二人にはちょっときついかもね。
ここのショーケースにもスライム素材が使われているみたい。『鑑定』スキルが無ければガラスケースとの見分けがつかないほど、透明度が高くて綺麗だ。
そこにはあの時彼がリノに渡してくれたパワーポーションと言う、黄色い液体の入った小瓶もあった。
あれってよく効いたし、相当高価だったんじゃないかな?
ドキドキしながらお値段を見てみると、一本600シクルとなってたっ。うわぁっ、日本円にすると六万円ですよ、とってもお高い!
HP・MP回復効果のある下級ポーションだったみたいで、彼女と一緒に一本100シクルと格安で譲って貰ったんだけど良かったんだろうか……。
ゆっくり時間を掛けて回復していく魔道具と違ってポーションは即効性が売りだから、安全に冒険するためにも常備しておきたいアイテムだよね。
でも、このお値段を見てると躊躇してしまうなぁ。お金のない冒険者にとってはすっごく高額なんだもん。
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