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第一章 辺境の町
第200話 作戦通り
しおりを挟む『魔力感知』スキルを使うと、弱点である魔石の近くにある核の部分をはっきりと感じとれる。
私がその一点を狙い、彼はその他の迷いの魔樹に寄生した状態のスモールトレント達を相手に、広範囲を殲滅する威力をもつ魔法で討つ予定だ。
タイミングを合わせ、火魔法を放つっ。
『小爆発』!
『火炎噴射』!
よしっ、両方とも命中した!!
「「「オ゛オ゛オ゛ォォォォォ――――!!」」」
迷いの魔樹とスモールトレント達が、耳障りな断絶魔の絶叫を森に響かせるっ。
一気に炎に包まれて燃え上がり、一瞬だけ蠢いた木の洞のような顔も消え、すぐ声が聞こえなくなる。予定通りほぼ一撃で殲滅できたようだ。
残り数体のスモールトレントだけがその場から離れようともがいていたが、それも無傷ではない。
火傷を負ったり、魔法の衝撃で弾き飛ばされたりしているので、いつも以上に動きが鈍い。余裕をもって倒せた。
作戦通り、討ち漏らしなく短期間で討伐を終えたので、ほぼ一塊になって焼け焦げている状態だ。後始末の負担も少ない、一番いい結果を出せた。
二人で軽く拳を合わせて作戦の成功を称え合った後は、手分けして軽く片付ける。
聖魔法で『浄化』してから聖魔水晶を『魔力感知』で視て素早く回収すると、魔物が寄って来ない内にリノのいる樹まで戻ることができた。よかった。
スモールトレント付きの迷いの魔樹を討伐してリノと合流した後、ラグナードの『索敵』スキルで魔物を上手く避けながら、時間を掛けて森を抜けた。
薄暗い森の中から安全な街道沿いまで出てくると、いつもほっとする。太陽が眩しい。
時間を確認したところ、まだ十二時過ぎだったけど、リノの体力と私の魔力が落ちてきたと判断したラグナードは、この安全圏で少し休息を取ってから帰ると決めた。
狩ったばかりのホーンラビットを一体、三人で手分けして手早く処理し焼いていく。
火に炙られて徐々に油が染みだし、ジュウジュウ、パチパチと美味しそうな音をたてる。
お肉の焼けるいい匂いが食欲を刺激してくるから、焼き上がりが待ち遠しくてソワソワしちゃう。
何回かひっくり返して中まで火が通ったところで、出来立て熱々のお肉に齧りつく。
今回も味付けは香草塩を揉み混んだだけのシンプルなものだけど、歩き回ってお腹がペコペコだったので、いっぱい食べちゃった。
青空の下でパーティーメンバーと一緒に食事をすると、何でこんなに美味しいんだろ。満足です。
一体分のお肉はきれいになくなり、後始末をしてから少しだけ食休みを取った。
その後、まだ早い時間だけど帰ることにして、珍しく通った一台の馬車に追い抜かれながら、私達も街道を通って町へ戻っていった。
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