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第一章 辺境の町

第204話 荷造り完了!

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 それはともかく、今度行くジニアの村は、ここより更に森が近く、今まで私達が出会ったことのない種類の魔物も多いらしいんだよね。

 いくらラグナード達がついていてくれても、危険が増えると思う。 聖魔法の『治療ヒール』で対応できないような、ひどい怪我をしないか心配なんだ。彼からお金を借りてまで色々揃えようと決心したのは、そのせいもある。

 借金の額にびびってしまって途中で尻込みしそうになったんだけどね。想定していたより増えたから。

 でも開拓村の状況や魔物のことを色々と教えてもらって、出来るだけ揃えておいた方がいいからと言う言葉が心に重く響いた。

 私もリノも幸い、稼ぎよりも安全第一に冒険してきたから、これまで骨折とか血が止まらないほどの裂傷とか、そういった大きな怪我はしたことないけど、そんな幸運がこれからもずっと続くとは思えないしね。

 リノにもそう言った説明をして、受け入れてもらった。

「わ、分かりました。じゃあ開拓村では茸狩り、頑張らないとですね!」

「うん。きっと私達の『幸運スキル』がいい仕事してくれるはずだから。大丈夫のはずっ」

「ですね! きっとすぐ借金も返せますよね!」

「多分ね!」

 今までも何とかなってきたしね!

 この世界に来てからお金が無いのはずっとなんだし、あんまり深刻に考えないようにしよう、うん。



 そうこうしているうちに、荷物も積め終わった。

「これでよしっ。しかしもう明日ですか。ラグさんと同じ狼人族の方にお会いするのは。急でしたからちょっと心の準備ができていないといいますか、ドキドキしてきました! どんな人、なんでしょうね?」

 リノが胸に手を当てて、照れくさそうにそう言った。

「私も前に一度、チラッと後ろ姿を見ただけだからねぇ。どんな人なのかはよく分かんないや。ラグナードも特に何も言ってなかったしね」

「そうですかぁ」

「でも会えるのはとっても楽しみ。それにさ、彼と同じ種族ってことはやっぱり強いんじゃないかな?」 

「ええ、きっとそうでしょうね。彼は村専属の冒険者さんなんでしょう?」

「うん、そう言ってた」

「専属になるためには冒険者ギルドの承認が必要なんですよ。準ギルド職員さんみたいな扱いになるので、等級は六級以上が必要ですね」

「へぇ、じゃあラグナードと同じくらいなのかなぁ。あっ、でも彼も狼人族さんだし、実際の実力は六級以上とかありそう」

「多分そうだと思います。ラグさんも色々とめんどくさいことに巻き込まれない為に、五級には昇級しないって言ってましたし」

「うんうん」

 確か、五級以上の冒険者になると免税とかで優遇されるかわりに、権力者や金持ち連中からのややこしい強制依頼も受けないといけないから大変になるって言ってたもんね。

 特に長寿種族は、一部の特殊な趣味を持つ、人族の権力者に狙われやすいというしね……怖いなぁ。まぁ、だから彼もきっとそうなんじゃないかと思う。




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