お兄様が攻略対象者で妹のモブ令嬢のはずですが、攻略対象者が近づいてきて溺愛がとまりません。

第一章 ヒロイン編

1.

「クラリスお兄様ぁ～！！」

帰って来た大好きなお兄様に勢いよく抱きつく。

「リティいい子にしてたかい？ただいま。」

私の顔を除きこみながら優しく微笑んでくれたクラリスお兄様の銀色の髪がサラリと落ちてきて薄紫の瞳で見つめられると私はたまらなくなり、クラリスお兄様の頬にチュッとキスをした。

「クラリスお兄様がいなくて寂しかったわ。今から一緒にいてくれる？」

かまってほしくて甘えた声でクラリスお兄様を見上げると

「リティは可愛いな。一緒にいてあげたいんだが今から勉強するんだ。」

チラリとクラリスお兄様の後ろを見ると数名の男性がいた。
はぁ………なるほどね。この方達には関わりたくないな。

「残念ですが我慢しますわ。」

仕方ないと思いながらもクラリスお兄様にギューと抱きつき離れなかった。

「君達………いい年の男女が兄弟で何やってるんだ。リティアナも一ヶ月後には学園に入学するだろ。」

後ろにいる金髪で黄金の瞳をした男は鋭い目をして言った。
煩いなぁ！！
ゲームの出来事を思いだし、今度その学園に入学してくるヒロインにあなた達は惚れて今の私よりもイチャイチャと学園で過ごすんですよ！！
そんなあなたに言われたくないわ。
私の大好きなお兄様は攻略してほしくない…………見たくない。
せっかくクラリスお兄様を堪能してたのに………そんな目で見るなら見なければいい。


「カルティド殿下、こんにちわ。あまりにも好きすぎて嬉しさのあまりお見苦しいものを見せてしまいすみません。クラリスお兄様にはいつものようにベッドでお話をいたしますわ。」

クラリスお兄様から離れて綺麗な一礼で殿下に挨拶をする。


「「「はっ？？」」」


カルティド殿下とその周りにいる護衛騎士のレイロ様とセルガロ様が目を見開いて一斉にクラリスお兄様を見た。

「…………リティ誤解を招く言い方をするな。いつも寝れないと俺のベッドに潜り込んでくるから話をしてるだけだろ？」

「ふふ。いつもクラリスお兄様の優しさに甘えてしまってごめんなさい。大好きなお兄様との時間がとれなくて悲しくて………我慢しますから夜は甘えさせてくださいね。」

にっこり笑ってお兄様にギューと抱きつき名残惜しいが離れた。

去り際にクラリスお兄様の方に振り返り手をふるとお兄様も微笑んでくれ手を振ってくれたのを見て、満面の笑みで部屋に戻った。