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第一章 ヒロイン編
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挨拶回りがこんなに疲れると思いませんでしたわ。
「リティ疲れただろ。座って休憩しよう。」
そう言われて頷き歩き始めた矢先、ガシャンと何かが落ちたような音と女性の悲鳴が聞こえた。
何があったのかと一斉に周りの皆が注目した方を見ると、あの黒髪のご令嬢とあのキツい性格と有名なエモア公爵令嬢が中心にいた。
学園入学したばかりなのに令嬢たちの情報は何故か聞こえてくる……性格やら遊び事や恋愛事情など。女性は噂話が好きなのですわ。
やっぱりあの黒髪の令嬢はヒロインだろう。
しかもこれってイベントじゃない??
婚約発表のパーティーってイベントはなかったから何のイベントなんだろ??
周りの話を聞くとどうやら黒髪の令嬢がエモア公爵令嬢のドレスに飲み物をこぼしてしまったらしい。
悪意があるのかないのかは今は判断しかねるが、また近くにはあいつがいた。
攻略対象達ではなくあいつだ。何故ですの!?
お前はストーカーか!!と叫びたくなるのは我慢するが、せっかくの御披露目で楽しい気分が一気に嫌な気持ちになる。
エモア公爵令嬢が何やら文句をいっているが黒髪の令嬢はあいつに守られて震えている。
私からすれば、どんな状況だったとしてもドレスに飲み物をこぼしたのは事実ですのでその事はしっかりと謝るべきですわ。
現に「まず言うことがあるでしょう!?」と言われてるのが聞こえてきます……余程頭にきたのでしょう。
周りからも謝りもしないで………と小言が聞こえてきましたわ。
守られて震えているだけではエモア公爵令嬢も怒りたくなるということです。
ヒロインはあまり礼儀がないのかしら?
ゲームでは令嬢らしくない令嬢だったところも皆を引き付ける一つではありましが、実際に見てしまうと非常識に見えてしまいますね。
俺はか弱い子を守ってる感がびしびしと伝わってきて気持ち悪いですが、あいつ以外誰も助けないところを見ると相手も相手だからなのか非常識と捉えてるのか………とりあえず、あいつがまた黒髪の令嬢を支えながらその場を離れていきます。
「きゃっ。」
急に腰をさらに引き寄せられそのままお姫様だっこされました。
「なっなっな何をしてますのカル。恥ずかしいですわ、下ろしてくださいませ。」
お姫様抱っこで注目を集めてしまっていることを気にもとめず、スタスタと歩いていくカル。
「リティが俺から余所見するからいけないんだよ。」
なにそれ!!
ただ成り行きを見てただけで………ブレーリ公爵令息を見てたと思われたのだろうか?
「ブレーリ公爵令息を見ていたわけではありませんわ。」
「わかってるよ。でも嫌なものは嫌なんだ。俺だけをリティの瞳に映して。」
ぎゃぁぁ!!と叫びたくなるような甘い言葉を言われて………誰ですの!あなたは誰!?
カルって本当に甘々なのですね……小さい頃からの付き合いですが知りませんでしたわ。
顔が熱くなるのがわかって私絶対に顔が真っ赤だ………と思うと恥ずかしくなり、カルの顔を見ることができず俯せていると、カルが私の頭を自分の身体に引き寄せて間近になったカルの洋服からカルの匂いが漂ってきて身体が硬直した。
「レイロ、リティが気分が優れなく部屋に案内する。落ち着いたら戻ってくるがその間に何かあれば教えてくれ。」
「わかりました。」
私がいつ気分が優れなくなりましたの!?
疲れてはおりますが……そんなに心配しなくてもよろしくてよ?
とは思っていてもカルに顔を埋めている私には反論することはできない。
「リティ、やっと二人きりになったね。」
部屋に入るとソファーにそのまま座りお姫様だっこをされながら今私の頭は解放されましたわ。
「カル……私具合が悪くありませんわ。」
間近にあるカルの顔をジロッと睨みながら伝えると、
「ごめんな。どうしても二人きりになりたくてね。」
謝っているわりにはにこにこと顔がしておりますが、全く悪いと思っておりませんわね。
「はぁ、カル今日は私達主役なのですよ。すぐに戻らないと…………なっなにをジーと見てますの!!」
間近でカルの瞳から見つめられると会話もままならない。
その瞳やめてください。吸い込まれそうになりますわ。
何も言わずこの至近距離での見つめられる行為………なんですの!?なんですの!?
私をどうしたいのですか!!!!
「リティ疲れただろ。座って休憩しよう。」
そう言われて頷き歩き始めた矢先、ガシャンと何かが落ちたような音と女性の悲鳴が聞こえた。
何があったのかと一斉に周りの皆が注目した方を見ると、あの黒髪のご令嬢とあのキツい性格と有名なエモア公爵令嬢が中心にいた。
学園入学したばかりなのに令嬢たちの情報は何故か聞こえてくる……性格やら遊び事や恋愛事情など。女性は噂話が好きなのですわ。
やっぱりあの黒髪の令嬢はヒロインだろう。
しかもこれってイベントじゃない??
婚約発表のパーティーってイベントはなかったから何のイベントなんだろ??
周りの話を聞くとどうやら黒髪の令嬢がエモア公爵令嬢のドレスに飲み物をこぼしてしまったらしい。
悪意があるのかないのかは今は判断しかねるが、また近くにはあいつがいた。
攻略対象達ではなくあいつだ。何故ですの!?
お前はストーカーか!!と叫びたくなるのは我慢するが、せっかくの御披露目で楽しい気分が一気に嫌な気持ちになる。
エモア公爵令嬢が何やら文句をいっているが黒髪の令嬢はあいつに守られて震えている。
私からすれば、どんな状況だったとしてもドレスに飲み物をこぼしたのは事実ですのでその事はしっかりと謝るべきですわ。
現に「まず言うことがあるでしょう!?」と言われてるのが聞こえてきます……余程頭にきたのでしょう。
周りからも謝りもしないで………と小言が聞こえてきましたわ。
守られて震えているだけではエモア公爵令嬢も怒りたくなるということです。
ヒロインはあまり礼儀がないのかしら?
ゲームでは令嬢らしくない令嬢だったところも皆を引き付ける一つではありましが、実際に見てしまうと非常識に見えてしまいますね。
俺はか弱い子を守ってる感がびしびしと伝わってきて気持ち悪いですが、あいつ以外誰も助けないところを見ると相手も相手だからなのか非常識と捉えてるのか………とりあえず、あいつがまた黒髪の令嬢を支えながらその場を離れていきます。
「きゃっ。」
急に腰をさらに引き寄せられそのままお姫様だっこされました。
「なっなっな何をしてますのカル。恥ずかしいですわ、下ろしてくださいませ。」
お姫様抱っこで注目を集めてしまっていることを気にもとめず、スタスタと歩いていくカル。
「リティが俺から余所見するからいけないんだよ。」
なにそれ!!
ただ成り行きを見てただけで………ブレーリ公爵令息を見てたと思われたのだろうか?
「ブレーリ公爵令息を見ていたわけではありませんわ。」
「わかってるよ。でも嫌なものは嫌なんだ。俺だけをリティの瞳に映して。」
ぎゃぁぁ!!と叫びたくなるような甘い言葉を言われて………誰ですの!あなたは誰!?
カルって本当に甘々なのですね……小さい頃からの付き合いですが知りませんでしたわ。
顔が熱くなるのがわかって私絶対に顔が真っ赤だ………と思うと恥ずかしくなり、カルの顔を見ることができず俯せていると、カルが私の頭を自分の身体に引き寄せて間近になったカルの洋服からカルの匂いが漂ってきて身体が硬直した。
「レイロ、リティが気分が優れなく部屋に案内する。落ち着いたら戻ってくるがその間に何かあれば教えてくれ。」
「わかりました。」
私がいつ気分が優れなくなりましたの!?
疲れてはおりますが……そんなに心配しなくてもよろしくてよ?
とは思っていてもカルに顔を埋めている私には反論することはできない。
「リティ、やっと二人きりになったね。」
部屋に入るとソファーにそのまま座りお姫様だっこをされながら今私の頭は解放されましたわ。
「カル……私具合が悪くありませんわ。」
間近にあるカルの顔をジロッと睨みながら伝えると、
「ごめんな。どうしても二人きりになりたくてね。」
謝っているわりにはにこにこと顔がしておりますが、全く悪いと思っておりませんわね。
「はぁ、カル今日は私達主役なのですよ。すぐに戻らないと…………なっなにをジーと見てますの!!」
間近でカルの瞳から見つめられると会話もままならない。
その瞳やめてください。吸い込まれそうになりますわ。
何も言わずこの至近距離での見つめられる行為………なんですの!?なんですの!?
私をどうしたいのですか!!!!
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