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第一章 ヒロイン編

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「久し振りだな。見ない間ににかわったじゃないか。」

相変わらず上から目線で嫌になるわ。
しかもジトーと上から下まで舐めるように見てくるあの目がとてもゾクリとします。

「お久しぶりですね、ブレーリ公爵令息。わざわざ大声をあげて上級生が何用ですか?」

こっちは顔もみたくなかったって言うのに………あの顔を見てると殴りたくなってきます。
イグルスはこんなに良い男性なのに、兄は本当に情けないです。

「いや~噂が本当かどうか確かめようと思ってね。」

チラチラ見てくるのウザすぎです。
気持ち悪いのでこっちを見ないでください。と口から出てしまいそうですよ。
教室にはまだ皆さんいるのでこっちを見ています。
バカでもウザくても公爵令息。皆さん何も言えずにいるのでしょう。

「で、何の用ですか?そんな大きな声だして恥ずかしい。」

私とこのバカの間に立ってイグルスが私を守ってくれていた。
実の兄を冷ややかな目で見ているイグルスを見て、この兄弟昔から仲悪かった事を思い出した。

「イグルス、実の兄に向かってその口の聞き方はなんだ!!お前は昔から敬うって言葉を知らないのか!!はぁ、いつも言ってるだろお前は礼儀がなってないな。そんな優男みたいな顔をしてナヨナヨしている弟を持った兄は悲しいよ。」

顔を真っ赤にして反抗しているこのバカと罵倒も平然と受け止め冷酷な目で見ているイグルス……どちらが大人なんでしょうね。
イグルスは何も気にしてないみたいだけど、私はカチンときました。
優男?ナヨナヨ?どの口が言ってるのかしら。
私の大切な幼馴染みのイグルスを馬鹿にされてプツンと何かが切れましたわ。

「貴方って昔からお変わりなく見る目がないんですね!!イグルスが貴方より劣ってる?冗談じゃありませんわ!!イグルスは優秀で容姿端麗なのに鼻をかけないところがいいのです!!貴方より容姿も性格も全てにおいてイグルスが勝ってるじゃないですか!!周りをしっかりと見ていてさりげなくフォローしてくれる優しさ、優しく微笑むだけで令嬢達はメロメロなのです!よく行動を一緒にしている私にはわかります。イグルスは令嬢達だけでなく令息からもチラチラと見られとてもモテるのですわ!!貴方なんて足元にも及びません。それに言わせていただければ、その気持ち悪い目で見るのやめてください。」

途中からイグルスの腕を引き寄せてイグルスがどれだけ素晴らしいかを熱弁してしまいました。
ハッとしたときには皆さんからの視線が集中してるではありませんか。

「リティアナは気持ち悪い勘違いをしてるよ。令息達は俺の隣リティアナを見てたんだよな。」

えっ?どういう意味でしょう?
首をかしげながらイグルスを見上げるとなんとも言えない表情をしてました。

「俺をこけにしやがって!!お前達許さんぞ!!」

わなわなと震え真っ赤な顔で怒鳴り散らしてくるこのバカを見ながら困ったものだと思っていると

「どう許さないのかな?」
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