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第一章 ヒロイン編

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「ララ・サルコーあなたには皇太子の婚約者であるリティアナ・ファシリック公爵令嬢の誘拐未遂と令嬢達からの被害届が多数上がっている。心当たりはあるな?」

何も言わずに微笑んでいるララ・サルコーを見ていると、がフラッシュバックのように甦る……。
得たいの知れない底知れぬ瞳で見つめられた異様な感覚が忘れられない。
隣に座り私の肩を抱き締めてくれているカルの手に力が籠った。
カルにはお見通しですのね。
心から怖いと思う反面、カルに包まれてる安堵感の方が勝ります。

大丈夫、今私は守られていますわ。

「ふふふ。でのご令嬢達ですね。あんなのつまみ食い程度ですよ。だってに会えないから憂さ晴らしです。はあぁぁぁ、私が後悔してることはあの透き通るような透明な肌、化粧なんてせずとも決め細かな弾力のある肌に可愛さが備わっているリティアナ令嬢を私のものに出来なかったことですね。今日は絶対に来ているでしょう。ああ、全てを私に捧げてほしかった。一目でもまたお目にかかりたい!!また間近であの愛らしい瞳で見つめられたい。」

いやいやいや、恐ろしいことを言ってますわ。
しかもキョロキョロと辺りを見回しながら話してるから挙動不審だと思ってたらまさか私を探していたとは……ララ・サルコーを眺めていることはできますが、直接見ることは出来ないのでカルが用意してくれたこの2階の傍観席があってよかったです。

「あいつがリティのことを語ると不愉快だ。リティの全ては俺のものだ。」

いやいやいや、カルも何を対抗してるんでしょう?
あながち間違ってはいないんですが、今そこですか?
カルをジッーと見つめていると

「ん?大切なことだ。リティの全ては俺だけのものだからな。それは譲れない。」

顎に触れられたと同時に唇を塞がれカルの深いキスで喋れなくなる。

「んっ…………。」

思わず声が出てしまってヤバッと周りをチラチラと気にしてると

「大丈夫だ、ここは密室でマジックミラーで防音になっていて周りからは見えないんだ。リティのこの表情とろけてるところを見せるわけないだろ。」

ここまで用意周到なカルが頼もしいというか完璧すぎて言葉がないというか。
だからって、さすがにこんなところでされると身が持ちません。

「ララ・サルコーは反省していないようだ。皇太子の婚約者であるリティアナ・ファシリック令嬢をとても気になっているな。これまでの事や今後の犯罪を防ぐためにも鉱山の強制労働で今までの令嬢達への償いをし心改めよ。」

ララ・サルコーは笑っていた顔がひどく歪み立ち尽くしていた。
周りも判決を聞き騒がしくなっている。
令嬢にましてや王宮の侍女も勤めていた者が修道院でもなく国外追放でもない最も厳しい鉱山への労働と誰も予想していなかったことですわ。


「では、ツリースに関わっていたイークス侯爵夫人とモーリス男爵夫人の判決を言いわたす。」
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