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第二章 ダルニア王国編

10.

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カルの婚約者として出ないわけにはいかないのはわかってはいるけれど、今日の夜会にはあまりでたくない。

「今日は無理して出る必要はなかったんだよ。」

「いいえ、せっかくカルがくれたこのドレスでカルの婚約者として出席したいです。」

私の肩が負傷したことを気にしてなのか、カルの金色をメインに作られた肩までレースのついた露出控えめのドレス。
見るだけで私はカルのものとわかる……独占欲が強いドレスと言っても過言ではないのに私もそれが『嬉しい』と思うなんて相当だわ。

「頬を染めながら嬉しいこと言うリティをこのまま連れ去りたいよ。可愛い。可愛すぎる。」

ダンスをしながら耳元でそんなことを呟かれたらとても正気でいられない。

「私も早くカルと二人になりたいです。」

カルの瞳を見つめながら呟くと珍しくみるみる顔が真っ赤になっていくカルが可愛い。

「はぁ……煽るのが上手になったねリティ。俺の理性が崩壊しそうだ。」

困ったとため息をつくカルの方が色っぽくて私の理性も崩壊しそうですよ。



「ファシリック公爵令嬢、素敵なドレスですわね。この前言ったことは覚えてますか?近よら………あら、紹介してくださらない?」

私に悪態つきながらカルを初めて近くで見たのか頬を染めながら上目遣いでカルを見ながら紹介しろと言ってくるケリウナ公爵令嬢に呆れた。
マシューリ殿下が好きって言ってたじゃない。

「こちらケリウナ公爵令嬢ですわ。私の婚約者でカルティド皇太子殿下です。」

「初めましてケリウナ公爵令嬢。リティアナの婚約者で一緒に留学しているので学園ではお会いすることがあると思います。」

「まあまあ、こちらこそ是非お近づきになりたいですわ。」

目がハートになってますわ。
カルの皇太子スマイルは素敵なのはわかってますが………複雑ですわ。
マシューリ殿下はどこにいったのかしら?
王子様なら誰でもいいの??

大丈夫かしら………ケリウナ公爵令嬢。
私やクラリスお兄様しかわからないカルのこの表情は相当怒っていますよ。



ーーーーーーーーー
ーーーーー


「私を見つめながら素敵な笑顔をしていらっしゃったわ。マシューリ殿下にカルティド殿下二人を虜にしてしまうなんて……私の美貌は罪のレベルね。ねぇ、そう思わない?」

「はい、お嬢様の美貌は殿方からしたら罪レベルだと思います。私達メイドの憧れでございます。」

「ふふふ。そうでしょ、そうでしょう?私を見てしまったらファシリック公爵令嬢から「婚約者を取らないで」と抗議がきてしまいますわ。困りましたわぁ~。ふふふ。」

「お嬢様の魅力に当てられると殿方は骨抜きになりますからね。皇太子お二人を虜にされるなんてさすがお嬢様です。」

「ふふふ。ケリーは私のことをよくわかってるわね。私はマシューリ殿下も男らしくて好きだけど、カルティド殿下もかっこよかったわ。あの金色の髪に瞳、王子様の中の王子様だったわ。一人を選ぶなんてとても難しいですわ。明日からはマシューリ殿下だけではなくカルティド殿下にも挨拶にいかなくては拗ねてしまいますものね。ふふふ。」
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