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ミルクの優しさ
03 ー スイール村
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今晩も皿には何も残らなかった。アレクセイ達は皆、満足そうな表情を浮かべている。
誠は皆の顔を見て、満足気に笑っていた。
しかし、本命はこれからだ。
甘い物は別腹という言葉があるが、これは男女共に当てはまる。実際に甘い物が好きな人は満腹の状態でも目の前にスイーツがあると、胃は容量を空けるために、動いてスペースを確保する。これは実際に確認されていることだ。
とは言え、せめて少しでも胃が落ち着いてから味わってほしい。
誠はドナルドに手伝ってもらいながら、全員に食後のハーブティーを用意していた。
これはアレクセイがローゼスに貰っていたものを分けてもらい、誠がブレンドしたものだ。消化を助けるために、ペパーミントとレモングラス、カモミールを選んだ。口の中もサッパリするので、この後美味しく例のものを食べてもらえるだろう。
「はぁ…美味しいですね」
ルイージが綺麗な仕草でティーカップを摘んでいる。やはり王子様然とした男は、優雅な仕草が良く似合っている。アレクセイも相変わらずだ。ゆらりと尾を揺らしながら、香りを楽しんでいる。
「どうした?」
誠の視線に気付いたアレクセイが、声をかけてくる。誠は「何でもない」と言いながら、カップに口をつけた。
こうしてアレクセイを見るのが、いつの間にか習慣になっている。実家のカフェでは一人の客を今みたいに観察したり贔屓したことはなかった。
ああ、これが恋というものなんだな。誠は唐突に、そんなことを思ってしまった。
まったりとした雰囲気になったところで、誠は動き出した。それを見たアレクセイ達は、またソワソワしはじめる。今からまた美味しい物が食べられると、分かっているからだ。
誠は冷蔵庫から、ホールのチーズケーキを取り出す。これには、スイール村のクリームチーズと、ミョート村で買った蜂蜜とレモンを使用している。
良い食材は、誠にとっては財産に等しい。そして、それらをふんだんにスイーツに使えるのは幸せなことだ。
包丁をケーキに入れる瞬間は、いつも緊張する。出来上がりの味と風味、そして客の反応だ。騎士団の彼らは客ではないが、誠にとっては同じようなものだった。
「はいはい、お待たせー。今日のデザートは、スイール村のクリームチーズを使ったチーズケーキ。アクセントにレモンな」
誠は切り分けたチーズケーキを、それぞれの前に置いた。
一口にチーズケーキと言っても、いろんな種類がある。レア、スフレ、ベイクド、ニューヨーク。ここ数年でその地位を確立した、バスクもある。誠が選んだのはその中でも、クリームチーズの濃厚さとヨーグルトとレモンの酸味がクセになる、レアチーズケーキだった。
しかもレモンピールを粉砕して生地に混ぜ、淡い黄色とクリームチーズの乳白色という二色構成にしてある。その上には蜂蜜に漬けた輪切りのレモンを並べている、実家のカフェでもすぐに店頭に出せるクオリティとなっていた。
団員達は初めて見るレアチーズケーキに、視線が囚われている。それはそうだろうと、誠は一人で満足していた。
「綺麗だ…」
フォークを持ったが、未だ手をつけていないアレクセイが呟いた。
誠は少し胸を張る。
「だろ?ちょっと頑張ったから」
「ちょっとなのか?俺には何をどうすれば、こんなに綺麗な菓子ができるのか、全く分からない」
「まぁ…慣れ?あとは、しっかり計量すんのと、温度管理を怠らないことかな」
「そうなのか。しかしそう言われても、俺には無理だな。誠は凄い。そして、食べるのが勿体ないよ」
本当に食べるのを戸惑っているのか、アレクセイの尾の勢いは弱い。それは他の団員達も同じで、誰一人として手をつける者は居なかった。
見た目を褒めてくれるのは嬉しいのだが、やはり味をみて欲しい。誠は自分が食べたら誰か続くだろうと考え、先陣を切った。
「いただきまーす」
勢い良くフォークを突き立てる。ねっとりとした感触がフォークから伝わる。そして土台として敷き詰めていたのは、作り置きしていたクッキーを砕いたものだ。
誠は大きく口を開き、皆に見せつけるようにほうばった。
「んー…自画自賛になるけど、美味しい」
レモンの酸っぱさと、それと合わさった蜂蜜の甘さ。二色のケーキ部分。そしてクリームチーズ。ねっとりとした食感と、クッキー土台のザクザクとした食感の違い。あえて甘さを控えめにしており、その分、上に乗せた蜂蜜漬けのレモンで甘さの対比を出している。
もう一口、とフォークを運ぶと、誠を凝視していたアレクセイ達はやっと食べる決心が着いたようで、恐る恐るチーズケーキを崩しにかかった。
スローモーションでも見ているかと思うくらい、ゆっくりな動作で、先に口に含んだのはアレクセイだ。口を閉じる時もゆっくりだったが、舌にチーズケーキが乗ると、あれほど元気が無かった尾は勢いを取り戻し、ブンブンと振られている。
「何だこれは…。甘すぎず、かと言ってレモンが邪魔をしているわけでもない。爽やかだがチーズの味も、しっかり出ている。俺は何を食べているんだ…」
呆然とした表情を浮かべているが、その表情とはうらはらにアレクセイの尾は元気なままだ。誠は苦笑いを浮かべながら、大袈裟だなーと、残りのチーズケーキを腹に納めていた。
他の団員達の反応もアレクセイと似たり寄ったりで、喜んでいるのだろうが、毛がボワボワと逆立っている。
この状況だけを見ていると面白いが、作り手としては他にも感想が欲しいところだ。店に出す物ではないので、次に作る時はアレクセイ達の口に合うのを作りたい。
「…どう?」
誠は皆がフォークを置いたところで、声をかける。
妙に呆けている面々は、錆びついた缶の蓋のように、ぎこちない動きで誠の方を向いた。
「お前は神か何かか…」
美味い物は美味いと大声で叫ぶレビが、真剣な顔付きで言う。他の団員達も同じような表情だ。
そう言えば、ここまで静かなテーブルは最初の晩に夕食を提供した時以来だったなと、誠は思い出した。
「いや…ただの人間だけど」
「いやいやいや。何だよこれ、チーズケーキっての?意味が分からん」
「そうですね。あっと言う間に無くなってしまいました…。口に入れるとしっかりと存在感を表していたのに、噛むと食感の違う上の部分と底の部分、それを追いかけていると、いつの間にか居なくなってしまいました。けれど口内にチーズとレモン、そして底の部分の酸味と甘さがまだ残っていて…ああ、マコト君。僕もレビの意見に賛成です。あなたは神です」
食のことになると普段以上に饒舌になるルイージまでも、変なスイッチが入ったのか誠のことを神だと言い出す始末だ。
誠は犬系獣人に効く何かヤバいものでもあったかと、チーズケーキのレシピを思い浮かべるも、当て嵌まる物が無い。ドナルドとオスカーを見ると、二人は同意するかのように誠を拝んでいた。
誠が彼らの料理当番から、神に昇格した瞬間だった。しかし誠のエネルギーは祈りの力では無く、食料と睡眠だ。誠は唇を尖らせながら、二人を軽く睨む。
オスカーはそんな誠の視線をどこふく風で流しつつ、話を繋いだ。
「野営中のバウムクーヘンも驚いたが、これはあの時の比じゃねえ。何つーもんを作ってくれたんだ…」
「きっと僕ら、陛下よりも良いもの食べてますよね」
「だよな。ドナルドもそう思うよな。班長、王都に着いたら、マコト君には特別手当を出さないといけないと思います」
「は?」
オスカーの発言に、誠は驚いて変な声を出してしまった。
確かに自分はプロだ。安売りをするつもりはないが、世話になっているのは自分の方なので、朝と夜の食事の準備くらいは苦ではない。むしろ「café 紺」よりもかなり楽だ。
それに普段は作らない料理をたくさん作れるので、楽しいのだ。
誠はアレクセイに否定してもらおうと見たが、アレクセイは納得したのか、組んだ指をテーブルに乗せてゆっくり頷いている。
「そうだな。俺も同じことを考えていた。誠の腕は最高だ。最高の職人には、それなりの敬意を払わなければならない」
「お、俺もオスカーに賛成です!」
身を乗り出して、レビが同意している。そこまで思ってくれているのは意外だったが、誠はそれと同時に照れ臭くなっていた。
レビに続き、ルイージとドナルドも次々に賛同した。アレクセイは皆の顔を見回すと、「決定だな」と言い、優雅にティーカップを傾けていた。
「…え、何?いやいや…いやいやいや。金貰えるのは嬉しいけど、世話になってる俺が滞在費と食費払わないといけないんじゃないの?」
「何を言っているんだ、マコト」
アレクセイは誠の発言を、即座に否定する。勢いよく振り向かれたので、誠は少し驚いてしまった。
「我々は剣と魔法のプロだ。だから技術職がいかに腕を磨くのに苦労しているのかを知っているし、君の料理はそれだけの価値があると我々は認めている。その対価をきちんと払わないといけないんだ」
カップを置き、誠の手を掬ったアレクセイの勢いに押され、誠は頷いた。
アレクセイはなおも続ける。
「幸い、班の予算は少しだが余っている。それにあの部隊長に言えば、もっと報酬を出してくれるだろう」
「ああ、あの部隊長ですもんね」
「あの部隊長なら、大丈夫だ」
レビ達は納得だという表情で笑っている。「あの部隊長」とは、もしかしなくてもあのフレデリクのことだろう。部下達にも何か一物を抱えていると思われているのか、「あの」で全て通じるところを見ると、あながち間違いでもないだろう。
誠は気付かれないように溜息を吐き、アレクセイに釘を刺す。
「じゃあ報酬は貰うけど、大金は受け取らないからな」
「何…だと…」
今までのアレクセイを思えば、容易いことだった。
誠は固まってしまったアレクセイに、デコピンをお見舞いしてやった。
誠は皆の顔を見て、満足気に笑っていた。
しかし、本命はこれからだ。
甘い物は別腹という言葉があるが、これは男女共に当てはまる。実際に甘い物が好きな人は満腹の状態でも目の前にスイーツがあると、胃は容量を空けるために、動いてスペースを確保する。これは実際に確認されていることだ。
とは言え、せめて少しでも胃が落ち着いてから味わってほしい。
誠はドナルドに手伝ってもらいながら、全員に食後のハーブティーを用意していた。
これはアレクセイがローゼスに貰っていたものを分けてもらい、誠がブレンドしたものだ。消化を助けるために、ペパーミントとレモングラス、カモミールを選んだ。口の中もサッパリするので、この後美味しく例のものを食べてもらえるだろう。
「はぁ…美味しいですね」
ルイージが綺麗な仕草でティーカップを摘んでいる。やはり王子様然とした男は、優雅な仕草が良く似合っている。アレクセイも相変わらずだ。ゆらりと尾を揺らしながら、香りを楽しんでいる。
「どうした?」
誠の視線に気付いたアレクセイが、声をかけてくる。誠は「何でもない」と言いながら、カップに口をつけた。
こうしてアレクセイを見るのが、いつの間にか習慣になっている。実家のカフェでは一人の客を今みたいに観察したり贔屓したことはなかった。
ああ、これが恋というものなんだな。誠は唐突に、そんなことを思ってしまった。
まったりとした雰囲気になったところで、誠は動き出した。それを見たアレクセイ達は、またソワソワしはじめる。今からまた美味しい物が食べられると、分かっているからだ。
誠は冷蔵庫から、ホールのチーズケーキを取り出す。これには、スイール村のクリームチーズと、ミョート村で買った蜂蜜とレモンを使用している。
良い食材は、誠にとっては財産に等しい。そして、それらをふんだんにスイーツに使えるのは幸せなことだ。
包丁をケーキに入れる瞬間は、いつも緊張する。出来上がりの味と風味、そして客の反応だ。騎士団の彼らは客ではないが、誠にとっては同じようなものだった。
「はいはい、お待たせー。今日のデザートは、スイール村のクリームチーズを使ったチーズケーキ。アクセントにレモンな」
誠は切り分けたチーズケーキを、それぞれの前に置いた。
一口にチーズケーキと言っても、いろんな種類がある。レア、スフレ、ベイクド、ニューヨーク。ここ数年でその地位を確立した、バスクもある。誠が選んだのはその中でも、クリームチーズの濃厚さとヨーグルトとレモンの酸味がクセになる、レアチーズケーキだった。
しかもレモンピールを粉砕して生地に混ぜ、淡い黄色とクリームチーズの乳白色という二色構成にしてある。その上には蜂蜜に漬けた輪切りのレモンを並べている、実家のカフェでもすぐに店頭に出せるクオリティとなっていた。
団員達は初めて見るレアチーズケーキに、視線が囚われている。それはそうだろうと、誠は一人で満足していた。
「綺麗だ…」
フォークを持ったが、未だ手をつけていないアレクセイが呟いた。
誠は少し胸を張る。
「だろ?ちょっと頑張ったから」
「ちょっとなのか?俺には何をどうすれば、こんなに綺麗な菓子ができるのか、全く分からない」
「まぁ…慣れ?あとは、しっかり計量すんのと、温度管理を怠らないことかな」
「そうなのか。しかしそう言われても、俺には無理だな。誠は凄い。そして、食べるのが勿体ないよ」
本当に食べるのを戸惑っているのか、アレクセイの尾の勢いは弱い。それは他の団員達も同じで、誰一人として手をつける者は居なかった。
見た目を褒めてくれるのは嬉しいのだが、やはり味をみて欲しい。誠は自分が食べたら誰か続くだろうと考え、先陣を切った。
「いただきまーす」
勢い良くフォークを突き立てる。ねっとりとした感触がフォークから伝わる。そして土台として敷き詰めていたのは、作り置きしていたクッキーを砕いたものだ。
誠は大きく口を開き、皆に見せつけるようにほうばった。
「んー…自画自賛になるけど、美味しい」
レモンの酸っぱさと、それと合わさった蜂蜜の甘さ。二色のケーキ部分。そしてクリームチーズ。ねっとりとした食感と、クッキー土台のザクザクとした食感の違い。あえて甘さを控えめにしており、その分、上に乗せた蜂蜜漬けのレモンで甘さの対比を出している。
もう一口、とフォークを運ぶと、誠を凝視していたアレクセイ達はやっと食べる決心が着いたようで、恐る恐るチーズケーキを崩しにかかった。
スローモーションでも見ているかと思うくらい、ゆっくりな動作で、先に口に含んだのはアレクセイだ。口を閉じる時もゆっくりだったが、舌にチーズケーキが乗ると、あれほど元気が無かった尾は勢いを取り戻し、ブンブンと振られている。
「何だこれは…。甘すぎず、かと言ってレモンが邪魔をしているわけでもない。爽やかだがチーズの味も、しっかり出ている。俺は何を食べているんだ…」
呆然とした表情を浮かべているが、その表情とはうらはらにアレクセイの尾は元気なままだ。誠は苦笑いを浮かべながら、大袈裟だなーと、残りのチーズケーキを腹に納めていた。
他の団員達の反応もアレクセイと似たり寄ったりで、喜んでいるのだろうが、毛がボワボワと逆立っている。
この状況だけを見ていると面白いが、作り手としては他にも感想が欲しいところだ。店に出す物ではないので、次に作る時はアレクセイ達の口に合うのを作りたい。
「…どう?」
誠は皆がフォークを置いたところで、声をかける。
妙に呆けている面々は、錆びついた缶の蓋のように、ぎこちない動きで誠の方を向いた。
「お前は神か何かか…」
美味い物は美味いと大声で叫ぶレビが、真剣な顔付きで言う。他の団員達も同じような表情だ。
そう言えば、ここまで静かなテーブルは最初の晩に夕食を提供した時以来だったなと、誠は思い出した。
「いや…ただの人間だけど」
「いやいやいや。何だよこれ、チーズケーキっての?意味が分からん」
「そうですね。あっと言う間に無くなってしまいました…。口に入れるとしっかりと存在感を表していたのに、噛むと食感の違う上の部分と底の部分、それを追いかけていると、いつの間にか居なくなってしまいました。けれど口内にチーズとレモン、そして底の部分の酸味と甘さがまだ残っていて…ああ、マコト君。僕もレビの意見に賛成です。あなたは神です」
食のことになると普段以上に饒舌になるルイージまでも、変なスイッチが入ったのか誠のことを神だと言い出す始末だ。
誠は犬系獣人に効く何かヤバいものでもあったかと、チーズケーキのレシピを思い浮かべるも、当て嵌まる物が無い。ドナルドとオスカーを見ると、二人は同意するかのように誠を拝んでいた。
誠が彼らの料理当番から、神に昇格した瞬間だった。しかし誠のエネルギーは祈りの力では無く、食料と睡眠だ。誠は唇を尖らせながら、二人を軽く睨む。
オスカーはそんな誠の視線をどこふく風で流しつつ、話を繋いだ。
「野営中のバウムクーヘンも驚いたが、これはあの時の比じゃねえ。何つーもんを作ってくれたんだ…」
「きっと僕ら、陛下よりも良いもの食べてますよね」
「だよな。ドナルドもそう思うよな。班長、王都に着いたら、マコト君には特別手当を出さないといけないと思います」
「は?」
オスカーの発言に、誠は驚いて変な声を出してしまった。
確かに自分はプロだ。安売りをするつもりはないが、世話になっているのは自分の方なので、朝と夜の食事の準備くらいは苦ではない。むしろ「café 紺」よりもかなり楽だ。
それに普段は作らない料理をたくさん作れるので、楽しいのだ。
誠はアレクセイに否定してもらおうと見たが、アレクセイは納得したのか、組んだ指をテーブルに乗せてゆっくり頷いている。
「そうだな。俺も同じことを考えていた。誠の腕は最高だ。最高の職人には、それなりの敬意を払わなければならない」
「お、俺もオスカーに賛成です!」
身を乗り出して、レビが同意している。そこまで思ってくれているのは意外だったが、誠はそれと同時に照れ臭くなっていた。
レビに続き、ルイージとドナルドも次々に賛同した。アレクセイは皆の顔を見回すと、「決定だな」と言い、優雅にティーカップを傾けていた。
「…え、何?いやいや…いやいやいや。金貰えるのは嬉しいけど、世話になってる俺が滞在費と食費払わないといけないんじゃないの?」
「何を言っているんだ、マコト」
アレクセイは誠の発言を、即座に否定する。勢いよく振り向かれたので、誠は少し驚いてしまった。
「我々は剣と魔法のプロだ。だから技術職がいかに腕を磨くのに苦労しているのかを知っているし、君の料理はそれだけの価値があると我々は認めている。その対価をきちんと払わないといけないんだ」
カップを置き、誠の手を掬ったアレクセイの勢いに押され、誠は頷いた。
アレクセイはなおも続ける。
「幸い、班の予算は少しだが余っている。それにあの部隊長に言えば、もっと報酬を出してくれるだろう」
「ああ、あの部隊長ですもんね」
「あの部隊長なら、大丈夫だ」
レビ達は納得だという表情で笑っている。「あの部隊長」とは、もしかしなくてもあのフレデリクのことだろう。部下達にも何か一物を抱えていると思われているのか、「あの」で全て通じるところを見ると、あながち間違いでもないだろう。
誠は気付かれないように溜息を吐き、アレクセイに釘を刺す。
「じゃあ報酬は貰うけど、大金は受け取らないからな」
「何…だと…」
今までのアレクセイを思えば、容易いことだった。
誠は固まってしまったアレクセイに、デコピンをお見舞いしてやった。
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