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第五話 判決
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時は夕刻。
先延ばしにされた裁判は、今日をもって終了する。
俺ことレオンは、昨日いた場所に座っている。
その光景はことごとく昨日のままで、違うのは周りにいる人間の服装のみ。さながらデジャブを覚えるほどのその場所は、さらに重みを増した緊迫感が支配していた。
ーーー
流れは昨日と同じで、前の騎士が何やら宣言した後、国王の尋問もそこそこに、判決が言い渡された。
「ドレイン王国国王の名において命ず。この者を無罪放免とし、自由を与える!」
⁉︎
、、、別に不思議じゃない。公正な裁判のもと判決が下ったのだ。だけどなんだろう、、、少し早足じゃないかと思うぐらい簡易的だったのだ。拍子抜けというかなんというか、しかしなんとか俺は無罪を勝ち取った。
だがレミッドは舌打ちをし悔しそうにしていた。そう。「憎い」ではなく「悔しい」である。
そして国王も悲しそうに、そしてどこか呆れたようにレミッドを見ていた。
「、、、レミッドよ。もうやめんか。」
国王はレミッドにそう言い放った。
ビクッ、、、
レミッドはビクついて国王を見上げた。
レミッドの顔には、諦めが浮き出ていた。
「はぁ、、、、、、ッ!クッソォガァァ!!!、、、」
レミッドの悔しさに満ちた叫びが静寂の部屋に響いた。
「、、、捕らえよ。」
国王の言葉により周りにいた兵がレミッドを捕らえ、連行して行った。
その姿にはもう、大臣の威厳も、王族の畏怖も在りはしなかった、、、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「、、、時間を取ってしまった。すまぬなレオンよ。奴を捕らえるに至ったのはわしが原因でもあったのだ。」
国王は申し訳なさそうに頭を下げた。
こういう時、周りの奴らが止めたりするもんなんじゃないのか?
「、、、いや、俺の疑いは晴れたんで別に、、、」
「、、、そうか。、、、主にも話しておかねばなるまい。」
国王は深刻な面持ちで話し出した。
「レミッドは、、、奴は私の、、、兄弟だった。」
、、、え?、、、どういうことだ?
「、、、でも、レミッドはドレイク家の次男坊じゃ、、、」
「あぁ。そして私もドレイク家の出なのだ。」
、、、おいおいウソだろ?ってことはつまり、、、
「養子、、、」
「その通り。私はドレイク家で生まれ、ドレイン王家で育ったのだ。」
衝撃の事実!思ったよりも根が深かった!
「私とレミッドは、跡取りの生まれぬ王家に養子に出されることとなった。しかし養子は一人のみ。どちらかが選ばれることとなった。レミッドは博識で、幼い頃から努力家であった。少し欲深なところもあったが、私と比べれば、能力的な面では間違いなくレミッドが選ばれるはずだった。、、、しかし王家は私を選んだ。それもこれも、全てこの加護によるもの。」
「加護?」
「加護とは、神や、精霊や、悪魔、龍や邪神などの偉大なる存在により与えられる力のことだ。世界を見ても、そう多く持つ者はおらん。」
「国王様の加護は?」
「私の加護は「真相眼」精霊によって、あらゆる偽りを見通す力。」
嘘をついてもバレるってことか?
「ならなんで最初から使わなかったんです?」
「加護には一日に使用できる限界があるのだ。ものによるがな。私の場合は生命力を削って行使するのだ。連続で使い続けると命に関わる。私情で申し訳ないが、そういうことだ。」
使用条件エグくない?
でも、、、じゃあこの人は命を削ってまで民のために力を使ってきたのか、、、
「いや、あんたが謝ることじゃないですよ。」
「そうか、、、話がずれてしまったな。
おそらくレミッドは養子になった私を、少なからず気にしていたのだろう。どうして俺じゃないんだと。」
「、、、じゃあ」
「、、、その通り。やはり奴はクーデターを仕組んでいた。」
ジェラシー
妬み嫉みの種には十分な出来事だ。
自分より下だと思っていたはずの兄に追い越され、自分は王族止まり。王にはなれない。
それに、このまま自分が当主になってしまったら、もう王になるなんてことは一生出来ない。
焦りと野心が事を欠く結果になった、、、なんていうか、、、
、、、不憫だな
「わかっていたはずなのだ。奴が王族を出て、大臣になった時からずっと、、、わかっていた、、、はずなのだ、、、」
国王の顔が悔しさに変わった。
真意はあきらかではないが、言葉と声は悲しさを隠しきれていなかった。その矛先が肉親の暴走へのものか、はたまた自分の不甲斐なさへのものか。しかし繰り返された言葉の続きは、きっともう語られる事はない。
国王は気を取り直すように姿勢を正した。
「しかし奴の計画は昨日の時点で失敗に終わっていた。」
「それは、、、どういう」
「そもそもクーデターの内容は私に誤審させ、それを大義名分として王都を鎮圧する。と言ったものだ。
奴は軍部大臣に就き、軍事力を手にした。後は私を誤審させる事ができれば、クーデター成功と言っても過言ではなかったかもしれん。」
じゃあ、結構ギリギリの勝負だったのか。
国王派が軍の上層部にだけ手を回して、レミッドに気付かれないようにしていたんだ。
ってことは、やっぱりジャスは結構偉い人だったのか。
「しかし、それは失敗に終わった。圧倒的不確定要素、主の存在だ。
奴が私に誤審させるには、加護を使うまでもない裁判だと思わせねばならん。だが、主は抗った。抗った末、私に加護を使うべきと判断させた。その時点で、奴の策略は潰えたのだ。恐らく、王の前であんなにも大胆な発言をする奴などいないと思ったのだろう。実際おらんからな、そんな奴。」
やっぱりいないんすね笑、、、
まぁ知らない間に役に立っていたとは、結果オーライとはまさにこのことですな。
「レミッドは、然るべき処罰を受けるだろう。」
なんとか一段落、、、と思いたいところだが、どうやらそうもいかないらしい。
国王の顔が再び曇った。
「だがしかし、まだ疑問点もある。」
「というと?」
俺が問うと、国王は鋭い眼光を向けてきた。
「我々の見込みでは、奴が動き出すのはまだ先のことだと予測していた。奴が軍全体を掌握出来るまでは、まだまだ時間が必要だった。そのため、こちらも動き出すのが遅れてしまった。なぜそのような行動に出たか。
何かを手にしたのだ。
物か、金か、人か、力か、、、力ある人間か。」
、、、、、、なんだ、なんなんだこの空気は、、、
なんでみんな俺を見るんだ、、、
「奴には後ろ盾もない。あの性格だからな。腹心と呼べる部下もいなかったのだろう。
と、なると、、、考えられるのは、独立し、強力な力を持っていて、どの派閥にも属していない、動かすのが容易な者。」
、、、なんなんだ、、、
「知っているか?先の戦で、敵約10000を一瞬にして葬った歩兵が居ると。」
、、、なんなんだ、、、
「現在療養中。赤髪の青年。身長は平均より若干低め。」
、、、なんなんだ、、、
「目撃証言によると、その者の名は、、、」
、、、なんなんだ、、、
「レオンという者らしい、、、」
、、、なんなんだ、、、
「人違いではあるまいな?」
、、、、、、なん、、、なんだ、、、、、、
先延ばしにされた裁判は、今日をもって終了する。
俺ことレオンは、昨日いた場所に座っている。
その光景はことごとく昨日のままで、違うのは周りにいる人間の服装のみ。さながらデジャブを覚えるほどのその場所は、さらに重みを増した緊迫感が支配していた。
ーーー
流れは昨日と同じで、前の騎士が何やら宣言した後、国王の尋問もそこそこに、判決が言い渡された。
「ドレイン王国国王の名において命ず。この者を無罪放免とし、自由を与える!」
⁉︎
、、、別に不思議じゃない。公正な裁判のもと判決が下ったのだ。だけどなんだろう、、、少し早足じゃないかと思うぐらい簡易的だったのだ。拍子抜けというかなんというか、しかしなんとか俺は無罪を勝ち取った。
だがレミッドは舌打ちをし悔しそうにしていた。そう。「憎い」ではなく「悔しい」である。
そして国王も悲しそうに、そしてどこか呆れたようにレミッドを見ていた。
「、、、レミッドよ。もうやめんか。」
国王はレミッドにそう言い放った。
ビクッ、、、
レミッドはビクついて国王を見上げた。
レミッドの顔には、諦めが浮き出ていた。
「はぁ、、、、、、ッ!クッソォガァァ!!!、、、」
レミッドの悔しさに満ちた叫びが静寂の部屋に響いた。
「、、、捕らえよ。」
国王の言葉により周りにいた兵がレミッドを捕らえ、連行して行った。
その姿にはもう、大臣の威厳も、王族の畏怖も在りはしなかった、、、
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「、、、時間を取ってしまった。すまぬなレオンよ。奴を捕らえるに至ったのはわしが原因でもあったのだ。」
国王は申し訳なさそうに頭を下げた。
こういう時、周りの奴らが止めたりするもんなんじゃないのか?
「、、、いや、俺の疑いは晴れたんで別に、、、」
「、、、そうか。、、、主にも話しておかねばなるまい。」
国王は深刻な面持ちで話し出した。
「レミッドは、、、奴は私の、、、兄弟だった。」
、、、え?、、、どういうことだ?
「、、、でも、レミッドはドレイク家の次男坊じゃ、、、」
「あぁ。そして私もドレイク家の出なのだ。」
、、、おいおいウソだろ?ってことはつまり、、、
「養子、、、」
「その通り。私はドレイク家で生まれ、ドレイン王家で育ったのだ。」
衝撃の事実!思ったよりも根が深かった!
「私とレミッドは、跡取りの生まれぬ王家に養子に出されることとなった。しかし養子は一人のみ。どちらかが選ばれることとなった。レミッドは博識で、幼い頃から努力家であった。少し欲深なところもあったが、私と比べれば、能力的な面では間違いなくレミッドが選ばれるはずだった。、、、しかし王家は私を選んだ。それもこれも、全てこの加護によるもの。」
「加護?」
「加護とは、神や、精霊や、悪魔、龍や邪神などの偉大なる存在により与えられる力のことだ。世界を見ても、そう多く持つ者はおらん。」
「国王様の加護は?」
「私の加護は「真相眼」精霊によって、あらゆる偽りを見通す力。」
嘘をついてもバレるってことか?
「ならなんで最初から使わなかったんです?」
「加護には一日に使用できる限界があるのだ。ものによるがな。私の場合は生命力を削って行使するのだ。連続で使い続けると命に関わる。私情で申し訳ないが、そういうことだ。」
使用条件エグくない?
でも、、、じゃあこの人は命を削ってまで民のために力を使ってきたのか、、、
「いや、あんたが謝ることじゃないですよ。」
「そうか、、、話がずれてしまったな。
おそらくレミッドは養子になった私を、少なからず気にしていたのだろう。どうして俺じゃないんだと。」
「、、、じゃあ」
「、、、その通り。やはり奴はクーデターを仕組んでいた。」
ジェラシー
妬み嫉みの種には十分な出来事だ。
自分より下だと思っていたはずの兄に追い越され、自分は王族止まり。王にはなれない。
それに、このまま自分が当主になってしまったら、もう王になるなんてことは一生出来ない。
焦りと野心が事を欠く結果になった、、、なんていうか、、、
、、、不憫だな
「わかっていたはずなのだ。奴が王族を出て、大臣になった時からずっと、、、わかっていた、、、はずなのだ、、、」
国王の顔が悔しさに変わった。
真意はあきらかではないが、言葉と声は悲しさを隠しきれていなかった。その矛先が肉親の暴走へのものか、はたまた自分の不甲斐なさへのものか。しかし繰り返された言葉の続きは、きっともう語られる事はない。
国王は気を取り直すように姿勢を正した。
「しかし奴の計画は昨日の時点で失敗に終わっていた。」
「それは、、、どういう」
「そもそもクーデターの内容は私に誤審させ、それを大義名分として王都を鎮圧する。と言ったものだ。
奴は軍部大臣に就き、軍事力を手にした。後は私を誤審させる事ができれば、クーデター成功と言っても過言ではなかったかもしれん。」
じゃあ、結構ギリギリの勝負だったのか。
国王派が軍の上層部にだけ手を回して、レミッドに気付かれないようにしていたんだ。
ってことは、やっぱりジャスは結構偉い人だったのか。
「しかし、それは失敗に終わった。圧倒的不確定要素、主の存在だ。
奴が私に誤審させるには、加護を使うまでもない裁判だと思わせねばならん。だが、主は抗った。抗った末、私に加護を使うべきと判断させた。その時点で、奴の策略は潰えたのだ。恐らく、王の前であんなにも大胆な発言をする奴などいないと思ったのだろう。実際おらんからな、そんな奴。」
やっぱりいないんすね笑、、、
まぁ知らない間に役に立っていたとは、結果オーライとはまさにこのことですな。
「レミッドは、然るべき処罰を受けるだろう。」
なんとか一段落、、、と思いたいところだが、どうやらそうもいかないらしい。
国王の顔が再び曇った。
「だがしかし、まだ疑問点もある。」
「というと?」
俺が問うと、国王は鋭い眼光を向けてきた。
「我々の見込みでは、奴が動き出すのはまだ先のことだと予測していた。奴が軍全体を掌握出来るまでは、まだまだ時間が必要だった。そのため、こちらも動き出すのが遅れてしまった。なぜそのような行動に出たか。
何かを手にしたのだ。
物か、金か、人か、力か、、、力ある人間か。」
、、、、、、なんだ、なんなんだこの空気は、、、
なんでみんな俺を見るんだ、、、
「奴には後ろ盾もない。あの性格だからな。腹心と呼べる部下もいなかったのだろう。
と、なると、、、考えられるのは、独立し、強力な力を持っていて、どの派閥にも属していない、動かすのが容易な者。」
、、、なんなんだ、、、
「知っているか?先の戦で、敵約10000を一瞬にして葬った歩兵が居ると。」
、、、なんなんだ、、、
「現在療養中。赤髪の青年。身長は平均より若干低め。」
、、、なんなんだ、、、
「目撃証言によると、その者の名は、、、」
、、、なんなんだ、、、
「レオンという者らしい、、、」
、、、なんなんだ、、、
「人違いではあるまいな?」
、、、、、、なん、、、なんだ、、、、、、
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