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第七話 ギルド
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ここは、ドレイン王国王都「ウェナール」
その北には山へ続く森林群があり、多数の魔物が生息している。ーーーそして、北東には洞窟がある。ーーー
まずいな、、、出口を塞がれた、、、
暗い洞窟の壁には松明が置かれている。弱い光は、その残虐そうな顔を、さらに不気味に映し出している。
恐らくコイツらは盗賊団だろう。魔物の住む森で、こんなに大勢が一つの洞窟の中に居るなんて、あまりにも不自然だし、まず顔が怖い。
バジスの方を見て言った。
「盗賊団と手を組んでいたのか?」
バジスは嘲笑うかのように答えた。
「手を組む?ハハッ!そんなのコイツらにできるわけねぇだろ!そもそも俺は冒険者の仕事なんてしたことねぇ。」
「、、、もともと冒険者じゃなかったってか。」
「あぁ、仕事に必要だったから、なったってだけだ。」
「仕事、、、こうやって、今まで新人冒険者を騙してたのか。」
「まぁな、なかなかいいカモなんだよ。何も知らねぇ奴は、俺の言ったことまに受けて高けぇもんぽんぽん買ってよ。後で全部盗られるとも知らねぇで!アッハッハッ!」
周りのやつもバジスと一緒になって高笑いした。
、、、ゴミクズが、、、
「無知ってのは罪だよなぁ?冒険者になるってのも、かなり金がいるんだ。田舎から出てきたやつなんて特に
金貯めてやってくるやつ多くてよ、、、気の毒だぜ~笑」
「ギャハハハハ!お頭性格悪ぅ!」
バジスがゲスの笑みを浮かべた。周りも笑い転げている。
「しかし、お前はまあまあ賢かったぜ?常に俺を警戒してたし、無駄に高い商品をすすめても自分で選んで買わなかった。お陰で想定してたより儲けが少なくなっちまったが、ある程度はまとまった金にならぁ。」
、、、これが本当の悪人。実際驚いてる。ここまでのクズ人間は、元の世界でもかなり珍しい方だと思う。実際クズなやつなんてどこの世界にも存在するが、コイツは別格だ。刑務所の一番やばい独房ってのはこんな感じなんだろうか。
「装備と金置いて行けば命までは盗らねぇ、、、と、言いたいところだが。俺のことを知られてる時点で、逃がす選択肢はないんだわ。悪りぃが覚悟しな!」
一斉に構えてにじり寄ってくる。
俺も剣に手をかけて警戒する。
はっきり言おう。俺の勝算はあまり高くない。というかかなり分が悪い。スライムの様に動きが単調じゃない。人間相手だ。武術の経験なんてのも無い。
だけど負ける気がしなかった。
相手が悪人だから。俺が異世界人だから。
そんなことで相手を測るつもりはない。だが、言いようのない怒りが、俺に負ける未来を見せなかった。
自分を騙したことに怒っているのではない。
未来ある若者を。夢を持ち努力してきた者を。自分の私利私欲のために利用し、奪い、挙げ句の果て命まで奪ってきた。
きっと今みたいに笑いながら獲物をいたぶってきたんだろう。その事実に虫唾が走る!
見た限り勢員、生活に困っている様子はない。かなりの装備をしているし、装飾品も見せびらかす様に付いている。
遊びなのだ。
仕事と言いながら、狩を楽しむ。根が腐ったクソ野郎どもだ‼︎
ーーーだから負ける気がしないーーー
ファァァ、、、
ーーーその瞬間辺りがいきなり明るくなった。
⁉︎
「な、なんだ!どうなってやがる!」
「クソ!何も見えねぇぞ!」
暗がりの中で、いきなり閃光が走った。明暗の差もあり、目眩し状態になっていた。全員が目を伏せている。
程なくして、光源が俺だと気づいた。
体が発光しているのだ。
何が起こっているのかわからなかった。
ーーーだが、好都合だ。
偶然とはいえ、この暗さじゃ慣れるのにも時間がかかる。
ここしかない!
俺は腰の剣に手をかけて、勢いよく引き抜いた。
別に居合切りしようとしたわけじゃない。ただ単に勢いよく引き抜いてしまっただけだった。
ーーーだが、その剣は斬撃を飛ばした。ーーー
斬撃は洞窟の天井に当たり、洞窟は崩壊した。
「ぎゃぁぁぁ‼︎‼︎」
悲鳴をあげて、洞窟の下敷きになる盗賊達。
もちろん俺も下敷きになった。ーーー
ーーーーーー
ーーー少しして目が覚めた。
瓦礫に埋めれていたはずだが、なぜか無事だった。
一体どれほど気を失っていたのだろうか。
いつの間にか体の発光は止まっていた。
何だかだるい。うまく力が入らない。
この感覚、前にもあった。
そうだ、転生直後。あの時の感覚だ。確かあの時は、魔力切れが原因だった。なら魔力ポーションが効くはずだ。
自分のバッグから魔力ポーションを取り出し飲む。すると、少し楽になった。力も入る。
「、、、さてと」
問題はコイツらだ。こんだけの人数いるんだ。ギルドや詰所で指名手配されていてもおかしくない。このまま置いていくわけにもいかないし、一応縛っておくか。
奴らを瓦礫から引っ張り出し、手持ちの縄で一人一人木にくくりつけていった。
50人くらい居ただろうか、お陰で縄は全て使ってしまった。
結局ロックスパイダーらしき魔物はいなかった。やはり洞窟にいるというのも疑うべき話しだったのか。
ふと瓦礫を見ると、瓦礫に押し潰されている何かがあった。
「何だこれ?」
瓦礫から引っ張り出してみた。
それは30センチほどの蜘蛛だった。表皮は硬く、まるで石の様だった。
「これだ!」
これこそ、今回の本命「石蜘蛛:ロックスパイダー」である。
ナイフで硬い表皮と身を剥がしていく。
一匹分の表皮を袋に詰めて、俺は街へと戻っていった。
ーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーなんとか街に戻ってきた。
ロックスパイダーの表皮を納品するため、ギルドに来ていた。ーーー
さっきの受付嬢に納品の手続きをお願いする。
「すいません。冒険者登録の試験なんですが、、、」
「はい、如何致しましたか?」
「討伐してきたんですけど、納品ってどうすればいいですか?」
「はい。かしこまりました!ではこちらの書類に記入と、現物を提出してください。」
書類に記入し、袋詰めの表皮を机に置いた。
受付嬢はそれらを確認したあと。
「はい!承りました!依頼完了です。」
「!じゃあ、、、」
「おめでとうございます。合格です!」
よかった。受かった。
「では簡単にギルドの仕組みと、依頼の詳細を説明しますね。
まず、冒険者には階級がございます。一番下からE,D,C,B,A,S,SSと級が分かれており、それぞれ受けられる内容は異なります。例えばE級の冒険者はD級の依頼を受けられません。しかし、D級の冒険者はD級と共にE級の依頼も受けることができます。進級には条件が2つあります。1つは規定のレベルへ到達すること。もう1つは、上級冒険者の推薦です。ここまでで何か質問はありますか?」
ん?レベルは当然として、推薦ってのはどういうことだ?
「すいません。推薦ってのはどういう意味ですか?」
「はい。まず推薦してもらうには実力が必要です。そして、実力を証明するには一緒に依頼を受けるか、あるいは沢山の依頼をこなすかです。チームワークか、経験が問われるわけです。他にも、違反行為などの前歴があるかないかでも変わってきます。」
なるほど、問題のある奴を進級させるわけにはいかないもんな。よく考えられてる。
「では次は、ギルドの仕組みについて説明しますね。
ギルドでは主に依頼の斡旋、アイテムの紹介、魔物などの情報、及び買い取りなどを行っています。
ただ、買い取りについては、受け付けていないものもありますのでご注意ください。」
「例えばどんなものですか?」
「こちらで鑑定できないものなどです。その場合は、どこかで鑑定してもらい、その上で買い取りをさせて戴く形になります。」
今のところ、想像してたのとあまり変わらないな。
「最後に、依頼の詳細についてです。先ほども申し上げた通り、該当していない階級の依頼を受けることはできません。依頼は、希望の依頼を言っていただくか、掲示板から受けることが出来ます。貼ってある依頼を持ってきていただければ、こちらで手続きを致します。他にも、指名依頼や緊急依頼、大型依頼などもあります。また、国から出される国家依頼がありますが、これはSS級でないと受けることが出来ません。」
「大型依頼ってのは、なんですか?」
「大型依頼とは、ギルドでレイドを作り、通常では有り得ない程の凶悪な魔物を討伐するなど、大規模な討伐を必要とする依頼のことです。これはC級から受けることが出来ます。」
なるほどな。大体わかった。
説明は終わりみたいだ。
「そしてこれが、冒険者プレートです。」
受付嬢は銀色のプレートを渡してきた。
首飾りの様な形で、さほど大きくはない。
表には名前とランク。裏にはギルドのマークの様なものが書かれている。簡素なものだ。
「これが有れば、通常では受けなければならない面倒な手続きなどを避けることができます。冒険者の権利そのものですので、くれぐれも無くさない様に。再発行にはまたこの試験同様の手続きを行っていただくことになります。」
「わかりました。気をつけます。」
そのあと、ある程度の注意事項を聞いた。依頼にない人殺しや、詐欺、窃盗など、元の世界などでは常識と言われる程度の内容だった。
「ーーーあ、そうだ。」
受付嬢は何かを思い出した様だ。
「レイナさんのことを調べていたら、レオンさん当てに置き書きがありました。」
「置き書き?」
折られた羊皮紙を渡された。
中を開くとこうあった。
ーーーレオンへ。
指名依頼がありそちらに向かうことになりました。
かなり遠方だから、たぶん王都へは帰らないと思う。
こちらから言ったことで悪いけど、何か用があるなら
クローゲン地方へ来てください。ーーー
「クローゲン地方?、、、」
「クローゲン地方でしたら、ここから南へ2ヶ月くらいでしょうか?」
「2ヶ月⁉︎」
「はい、通常でしたら1ヶ月も有れば十分なのですが、
現在王都周辺で盗賊が頻繁に出ていまして、その影響で馬車も少ないんですよ。」
、、、ん?盗賊?それってバジス達のことじゃないのか?
「あの、、、すいません、その盗賊って、規模どのくらいとか、わかったりします?特徴とか?」
「?えっと、、、そんなに多くはないと思います。40か50くらいだと思います。特徴、、、全員結構な装備をしているとか、あとは装飾品も多く盗んでいるとかは聞きますね。」
、、、あいつらじゃねぇか、、、
「あの、森の北東に衛兵が誰か向かわせてください。たぶん居ますから笑、、、」
「、、、居るって誰がです?」
「まぁ、、、行けばわかります笑」
「?」
恐らくその盗賊団はバジス達だ。ーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とりあえず今日のところは、宿でも取って休むことにした。
遠分の目的は、レイナさんに会うこと。これだ。
他に頼れる人もいないしな。
南方のクローゲン地方と、場所はわかっているわけだし、盗賊団というのもたぶん出ないと思う、大丈夫だろ。依頼を受けつつ南方へ向かう。
とりあえず今日はいろいろと疲れたから、依頼を受けるのは明日にしよ。
そして俺は眠りについたーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーギルドにてーーー
昼間の受付嬢が慌てて部屋に入っていった。
部屋には髭をもじゃもじゃに生やした男がいた。
「どうだった⁉︎」
男が立ち上がり、受付嬢に問いかけた。
受付嬢も、息切れをしながらその問いに答える。
「っ、はい。たしかに居たと報告がありました。」
「、、、なんと、、、」
受付嬢は続けた。
「し、しかも、そこにあるはずの洞窟は崩壊していて、盗賊団は木に縛られていたと、、、」
「⁉︎」
男は驚いていた。
「驚いた、、、まさかC級の依頼をこうもあっさり、、、」
「衛兵からの速達です。間違いありません。」
受付嬢が付け加える。
「その青年は、まだこの街に?」
「はい、まだ居ると思いますが、、、」
男は考え込んでいた。
「話を聞かねばならんな、、、」ーーー
その北には山へ続く森林群があり、多数の魔物が生息している。ーーーそして、北東には洞窟がある。ーーー
まずいな、、、出口を塞がれた、、、
暗い洞窟の壁には松明が置かれている。弱い光は、その残虐そうな顔を、さらに不気味に映し出している。
恐らくコイツらは盗賊団だろう。魔物の住む森で、こんなに大勢が一つの洞窟の中に居るなんて、あまりにも不自然だし、まず顔が怖い。
バジスの方を見て言った。
「盗賊団と手を組んでいたのか?」
バジスは嘲笑うかのように答えた。
「手を組む?ハハッ!そんなのコイツらにできるわけねぇだろ!そもそも俺は冒険者の仕事なんてしたことねぇ。」
「、、、もともと冒険者じゃなかったってか。」
「あぁ、仕事に必要だったから、なったってだけだ。」
「仕事、、、こうやって、今まで新人冒険者を騙してたのか。」
「まぁな、なかなかいいカモなんだよ。何も知らねぇ奴は、俺の言ったことまに受けて高けぇもんぽんぽん買ってよ。後で全部盗られるとも知らねぇで!アッハッハッ!」
周りのやつもバジスと一緒になって高笑いした。
、、、ゴミクズが、、、
「無知ってのは罪だよなぁ?冒険者になるってのも、かなり金がいるんだ。田舎から出てきたやつなんて特に
金貯めてやってくるやつ多くてよ、、、気の毒だぜ~笑」
「ギャハハハハ!お頭性格悪ぅ!」
バジスがゲスの笑みを浮かべた。周りも笑い転げている。
「しかし、お前はまあまあ賢かったぜ?常に俺を警戒してたし、無駄に高い商品をすすめても自分で選んで買わなかった。お陰で想定してたより儲けが少なくなっちまったが、ある程度はまとまった金にならぁ。」
、、、これが本当の悪人。実際驚いてる。ここまでのクズ人間は、元の世界でもかなり珍しい方だと思う。実際クズなやつなんてどこの世界にも存在するが、コイツは別格だ。刑務所の一番やばい独房ってのはこんな感じなんだろうか。
「装備と金置いて行けば命までは盗らねぇ、、、と、言いたいところだが。俺のことを知られてる時点で、逃がす選択肢はないんだわ。悪りぃが覚悟しな!」
一斉に構えてにじり寄ってくる。
俺も剣に手をかけて警戒する。
はっきり言おう。俺の勝算はあまり高くない。というかかなり分が悪い。スライムの様に動きが単調じゃない。人間相手だ。武術の経験なんてのも無い。
だけど負ける気がしなかった。
相手が悪人だから。俺が異世界人だから。
そんなことで相手を測るつもりはない。だが、言いようのない怒りが、俺に負ける未来を見せなかった。
自分を騙したことに怒っているのではない。
未来ある若者を。夢を持ち努力してきた者を。自分の私利私欲のために利用し、奪い、挙げ句の果て命まで奪ってきた。
きっと今みたいに笑いながら獲物をいたぶってきたんだろう。その事実に虫唾が走る!
見た限り勢員、生活に困っている様子はない。かなりの装備をしているし、装飾品も見せびらかす様に付いている。
遊びなのだ。
仕事と言いながら、狩を楽しむ。根が腐ったクソ野郎どもだ‼︎
ーーーだから負ける気がしないーーー
ファァァ、、、
ーーーその瞬間辺りがいきなり明るくなった。
⁉︎
「な、なんだ!どうなってやがる!」
「クソ!何も見えねぇぞ!」
暗がりの中で、いきなり閃光が走った。明暗の差もあり、目眩し状態になっていた。全員が目を伏せている。
程なくして、光源が俺だと気づいた。
体が発光しているのだ。
何が起こっているのかわからなかった。
ーーーだが、好都合だ。
偶然とはいえ、この暗さじゃ慣れるのにも時間がかかる。
ここしかない!
俺は腰の剣に手をかけて、勢いよく引き抜いた。
別に居合切りしようとしたわけじゃない。ただ単に勢いよく引き抜いてしまっただけだった。
ーーーだが、その剣は斬撃を飛ばした。ーーー
斬撃は洞窟の天井に当たり、洞窟は崩壊した。
「ぎゃぁぁぁ‼︎‼︎」
悲鳴をあげて、洞窟の下敷きになる盗賊達。
もちろん俺も下敷きになった。ーーー
ーーーーーー
ーーー少しして目が覚めた。
瓦礫に埋めれていたはずだが、なぜか無事だった。
一体どれほど気を失っていたのだろうか。
いつの間にか体の発光は止まっていた。
何だかだるい。うまく力が入らない。
この感覚、前にもあった。
そうだ、転生直後。あの時の感覚だ。確かあの時は、魔力切れが原因だった。なら魔力ポーションが効くはずだ。
自分のバッグから魔力ポーションを取り出し飲む。すると、少し楽になった。力も入る。
「、、、さてと」
問題はコイツらだ。こんだけの人数いるんだ。ギルドや詰所で指名手配されていてもおかしくない。このまま置いていくわけにもいかないし、一応縛っておくか。
奴らを瓦礫から引っ張り出し、手持ちの縄で一人一人木にくくりつけていった。
50人くらい居ただろうか、お陰で縄は全て使ってしまった。
結局ロックスパイダーらしき魔物はいなかった。やはり洞窟にいるというのも疑うべき話しだったのか。
ふと瓦礫を見ると、瓦礫に押し潰されている何かがあった。
「何だこれ?」
瓦礫から引っ張り出してみた。
それは30センチほどの蜘蛛だった。表皮は硬く、まるで石の様だった。
「これだ!」
これこそ、今回の本命「石蜘蛛:ロックスパイダー」である。
ナイフで硬い表皮と身を剥がしていく。
一匹分の表皮を袋に詰めて、俺は街へと戻っていった。
ーーー
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ーーーなんとか街に戻ってきた。
ロックスパイダーの表皮を納品するため、ギルドに来ていた。ーーー
さっきの受付嬢に納品の手続きをお願いする。
「すいません。冒険者登録の試験なんですが、、、」
「はい、如何致しましたか?」
「討伐してきたんですけど、納品ってどうすればいいですか?」
「はい。かしこまりました!ではこちらの書類に記入と、現物を提出してください。」
書類に記入し、袋詰めの表皮を机に置いた。
受付嬢はそれらを確認したあと。
「はい!承りました!依頼完了です。」
「!じゃあ、、、」
「おめでとうございます。合格です!」
よかった。受かった。
「では簡単にギルドの仕組みと、依頼の詳細を説明しますね。
まず、冒険者には階級がございます。一番下からE,D,C,B,A,S,SSと級が分かれており、それぞれ受けられる内容は異なります。例えばE級の冒険者はD級の依頼を受けられません。しかし、D級の冒険者はD級と共にE級の依頼も受けることができます。進級には条件が2つあります。1つは規定のレベルへ到達すること。もう1つは、上級冒険者の推薦です。ここまでで何か質問はありますか?」
ん?レベルは当然として、推薦ってのはどういうことだ?
「すいません。推薦ってのはどういう意味ですか?」
「はい。まず推薦してもらうには実力が必要です。そして、実力を証明するには一緒に依頼を受けるか、あるいは沢山の依頼をこなすかです。チームワークか、経験が問われるわけです。他にも、違反行為などの前歴があるかないかでも変わってきます。」
なるほど、問題のある奴を進級させるわけにはいかないもんな。よく考えられてる。
「では次は、ギルドの仕組みについて説明しますね。
ギルドでは主に依頼の斡旋、アイテムの紹介、魔物などの情報、及び買い取りなどを行っています。
ただ、買い取りについては、受け付けていないものもありますのでご注意ください。」
「例えばどんなものですか?」
「こちらで鑑定できないものなどです。その場合は、どこかで鑑定してもらい、その上で買い取りをさせて戴く形になります。」
今のところ、想像してたのとあまり変わらないな。
「最後に、依頼の詳細についてです。先ほども申し上げた通り、該当していない階級の依頼を受けることはできません。依頼は、希望の依頼を言っていただくか、掲示板から受けることが出来ます。貼ってある依頼を持ってきていただければ、こちらで手続きを致します。他にも、指名依頼や緊急依頼、大型依頼などもあります。また、国から出される国家依頼がありますが、これはSS級でないと受けることが出来ません。」
「大型依頼ってのは、なんですか?」
「大型依頼とは、ギルドでレイドを作り、通常では有り得ない程の凶悪な魔物を討伐するなど、大規模な討伐を必要とする依頼のことです。これはC級から受けることが出来ます。」
なるほどな。大体わかった。
説明は終わりみたいだ。
「そしてこれが、冒険者プレートです。」
受付嬢は銀色のプレートを渡してきた。
首飾りの様な形で、さほど大きくはない。
表には名前とランク。裏にはギルドのマークの様なものが書かれている。簡素なものだ。
「これが有れば、通常では受けなければならない面倒な手続きなどを避けることができます。冒険者の権利そのものですので、くれぐれも無くさない様に。再発行にはまたこの試験同様の手続きを行っていただくことになります。」
「わかりました。気をつけます。」
そのあと、ある程度の注意事項を聞いた。依頼にない人殺しや、詐欺、窃盗など、元の世界などでは常識と言われる程度の内容だった。
「ーーーあ、そうだ。」
受付嬢は何かを思い出した様だ。
「レイナさんのことを調べていたら、レオンさん当てに置き書きがありました。」
「置き書き?」
折られた羊皮紙を渡された。
中を開くとこうあった。
ーーーレオンへ。
指名依頼がありそちらに向かうことになりました。
かなり遠方だから、たぶん王都へは帰らないと思う。
こちらから言ったことで悪いけど、何か用があるなら
クローゲン地方へ来てください。ーーー
「クローゲン地方?、、、」
「クローゲン地方でしたら、ここから南へ2ヶ月くらいでしょうか?」
「2ヶ月⁉︎」
「はい、通常でしたら1ヶ月も有れば十分なのですが、
現在王都周辺で盗賊が頻繁に出ていまして、その影響で馬車も少ないんですよ。」
、、、ん?盗賊?それってバジス達のことじゃないのか?
「あの、、、すいません、その盗賊って、規模どのくらいとか、わかったりします?特徴とか?」
「?えっと、、、そんなに多くはないと思います。40か50くらいだと思います。特徴、、、全員結構な装備をしているとか、あとは装飾品も多く盗んでいるとかは聞きますね。」
、、、あいつらじゃねぇか、、、
「あの、森の北東に衛兵が誰か向かわせてください。たぶん居ますから笑、、、」
「、、、居るって誰がです?」
「まぁ、、、行けばわかります笑」
「?」
恐らくその盗賊団はバジス達だ。ーーー
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とりあえず今日のところは、宿でも取って休むことにした。
遠分の目的は、レイナさんに会うこと。これだ。
他に頼れる人もいないしな。
南方のクローゲン地方と、場所はわかっているわけだし、盗賊団というのもたぶん出ないと思う、大丈夫だろ。依頼を受けつつ南方へ向かう。
とりあえず今日はいろいろと疲れたから、依頼を受けるのは明日にしよ。
そして俺は眠りについたーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーギルドにてーーー
昼間の受付嬢が慌てて部屋に入っていった。
部屋には髭をもじゃもじゃに生やした男がいた。
「どうだった⁉︎」
男が立ち上がり、受付嬢に問いかけた。
受付嬢も、息切れをしながらその問いに答える。
「っ、はい。たしかに居たと報告がありました。」
「、、、なんと、、、」
受付嬢は続けた。
「し、しかも、そこにあるはずの洞窟は崩壊していて、盗賊団は木に縛られていたと、、、」
「⁉︎」
男は驚いていた。
「驚いた、、、まさかC級の依頼をこうもあっさり、、、」
「衛兵からの速達です。間違いありません。」
受付嬢が付け加える。
「その青年は、まだこの街に?」
「はい、まだ居ると思いますが、、、」
男は考え込んでいた。
「話を聞かねばならんな、、、」ーーー
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