12 / 65
浅はかすぎる思考回路
しおりを挟む
──婚約破棄宣言から、三日。
ルンルンと足取り軽く、鼻歌まで歌いながらご機嫌の様子でアリカ・シェルワースは学園に登校してきた。婚約破棄宣言の直後はヒソヒソと遠巻きにされていたが、そろそろ自分を次期王太子妃として皆が羨望の眼差しを向けてくるに違いない!と確信していた。
足取り軽く教室に向かい、ドアを開けば一斉に向けられる視線。
「皆様、おはようございます!」
アリカの予想では、この直後にわっとクラスメイトに囲まれる予定、だった。
「……来たわよ……」
「ライラック嬢の努力を全て水の泡にした張本人…」
ひそ、と聞こえてくる囁き声は、フローリアの友人たち。勿論彼女たちから向けられてくる視線は冷たい。
だが、それがなんだと言うのか。奪われてしまう方が悪いのだとしか思っていないから、アリカはフローリアの友人たちの言葉はまるで聞こえないように振る舞う。
「(フン、負け惜しみね)」
どこまでも自信満々なアリカは、自席へと向かいカバンを置く。
だが、いつまでたっても、皆はアリカの周りにはやって来ない。
「……?」
おかしい、と本能的に感じていると慌ててアリカの元に、親しくしている令嬢たちが駆け寄ってくる。
あぁ、ようやくかと思ってそちらを見たが、彼女たちの表情はとんでもなく切羽詰まっている。祝福ムードではないことは、容易に理解出来た。
「あの…?」
「アリカ様、大丈夫なんですか?!」
「お家に影響は?!」
「え…?」
家への影響とは、どういうことなのか。
一体何を言っているのか、と困惑するアリカに対して、フローリアの友人たちが歩み寄ってくる。
「貴女が殿下の婚約者になるのであれば、フローリアへの慰謝料などの支払いがありますものね」
「は?」
フローリアとは、一体誰のことだ、と思ったアリカは訝しげな顔になる。
「あぁ…」
「そうよ、こちらの方は…」
「…まあ、予想通りといえばそれまでなんですけれど」
ひそひそ、と小声で話すフローリアの友人たちは何かを納得し、更に理解をしたのかうん、と頷いて改めて言い直した。
「あら、失礼。ライラック嬢への慰謝料などの支払い、ですわ」
「慰謝料、ですって?」
何故そんなものを支払う必要が、とアリカは不機嫌そうな顔になるも、フローリアの友人たちは更に続ける。
「ライラック嬢がこれまで行ってきた王太子妃教育で奪われた時間は相当なものですわ」
「それに、殿下の我儘によって他の王太子妃候補となりそうだった令嬢にも『お前たちはいらない!』と、遠ざけたというではありませんか」
「側妃候補となり得た令嬢もいなくなって、ライラック嬢しかいない、という状況だったんですから」
そんなこと、知らないと言いたいけれど、『知らなかったから』で済ませられることではない。
王太子妃候補は一人、側妃候補はいない。更に王太子妃候補としてたった一人勉強を進めてきたフローリアは婚約破棄を言い渡された。
破棄はなかったことにはならないから、アリカは、これからフローリアの行ってきた厳しい王太子妃教育を一気に進めることになる。
「……っ」
今更気が付いたのか、とフローリアの友人たちは白い目を向けているが、アリカの友人たちがばたばたと走ってくる。
「酷いではありませんか!今から王太子妃教育を始めなければならないアリカに対して、そんなにもプレッシャーをかけるだなんて!」
「本当のことですわよ。ねぇ?」
「そうよ」
しれっとそう返せば、アリカもアリカの友人たちも、ぐっと言葉に詰まってしまった。
「何の騒ぎですか!」
普段ではありえないほど賑やかな教室の様子に、教師が何事か、と慌ててやってくる。
アリカの友人たちが、『ライラック嬢のご友人が酷いんです!』と抗議したものの、『だから何だと言うんですか』とあまりに淡々と返されてしまったのだ。
「だから何、って…」
先生までもが敵なのか、とアリカは絶望しかけるが、やって来るはずのフローリアが登校してこないことにも違和感を覚えたのか、先生に食ってかかった。
「先生!ライラック嬢はどうして登校してこないんですか!何なんですか、堂々と遅刻なんですの?!」
「この度の一件により、ライラック嬢は卒業までお休みすると連絡が入っております」
「この度の、って」
「婚約破棄の件ですよ。それ以外に何がありますか」
「で、でも卒業まではあと三ヶ月あって…!」
「飛び級卒業してもいいですよ、と提案しましたが…御学友と共に卒業したいので、そのまま通いたい、とライラック嬢が仰いましたので」
「え…?」
「ライラック嬢の成績は、入学時からこれまで、一度たりとも首席から下がったことはありませんよ」
もしかして、とんでもない人を敵に回してしまったのではないか、とアリカは顔色を悪くするが、そもそも敵ではない。
婚約破棄を宣言され、公衆の面前での行動が故に取り消しも叶わない。
あわよくば、フローリアに側妃になってもらってから、政務は任せておけば自分はミハエルと悠々自適な王宮生活を楽しめるのではないか、と楽観的に考えてしまっていた。
「うそ…でしょ…」
アリカやミハエル、アリカの友人たちの認識は『ライラックはアリカの敵であり、にっくき悪役令嬢』なのだが、認識そのものが間違っていることには誰一人気づいていない。
何なら、ミハエルを溺愛していた王妃ですら我が子を見限る方向へと進んでいるのだが、ミハエル自身は『母は自分をいつまでも大切にしてくれて、何かあっても全力で守ってくれてフォローもしてくれる』という残念極まりない思考回路。
フローリアがフォローしてやる義理はないし、婚約破棄をされたのであれば王宮に出入りもしない。
なお、今後王宮へと出入りする理由を挙げるのであれば、シェリアスルーツ家当主として出入りするのであって、側妃になるためではないし、婚約破棄をつきつけた相手を助ける義理などフローリアにはない。懇願されたとて『嫌ですわ』といつもの笑顔でさっくり拒否される。
「さぁ、いつまでも騒いでいないで授業を開始しますよ!皆さん、席について!」
あれこれアリカが考えていたら、いつの間にか始業時間になってしまっていた。
先生がパンパン!と手を鳴らしたことで生徒たちは、ぞろぞろと自分たちの席へと座っていく。アリカも友人に促され、はっと我に返って急ぎ足で自分の席に座る。
また、ミハエルは同じクラスだが今日は遅くなるらしい。
国王夫妻に婚約破棄を了承してもらうんだ!とうきうきしていたが、本当に了承されるのか。
むしろ、先程先生から聞いた話をアリカは改めて考え、婚約破棄が了承されなければ良いとさえ、思ってしまった。
ルンルンと足取り軽く、鼻歌まで歌いながらご機嫌の様子でアリカ・シェルワースは学園に登校してきた。婚約破棄宣言の直後はヒソヒソと遠巻きにされていたが、そろそろ自分を次期王太子妃として皆が羨望の眼差しを向けてくるに違いない!と確信していた。
足取り軽く教室に向かい、ドアを開けば一斉に向けられる視線。
「皆様、おはようございます!」
アリカの予想では、この直後にわっとクラスメイトに囲まれる予定、だった。
「……来たわよ……」
「ライラック嬢の努力を全て水の泡にした張本人…」
ひそ、と聞こえてくる囁き声は、フローリアの友人たち。勿論彼女たちから向けられてくる視線は冷たい。
だが、それがなんだと言うのか。奪われてしまう方が悪いのだとしか思っていないから、アリカはフローリアの友人たちの言葉はまるで聞こえないように振る舞う。
「(フン、負け惜しみね)」
どこまでも自信満々なアリカは、自席へと向かいカバンを置く。
だが、いつまでたっても、皆はアリカの周りにはやって来ない。
「……?」
おかしい、と本能的に感じていると慌ててアリカの元に、親しくしている令嬢たちが駆け寄ってくる。
あぁ、ようやくかと思ってそちらを見たが、彼女たちの表情はとんでもなく切羽詰まっている。祝福ムードではないことは、容易に理解出来た。
「あの…?」
「アリカ様、大丈夫なんですか?!」
「お家に影響は?!」
「え…?」
家への影響とは、どういうことなのか。
一体何を言っているのか、と困惑するアリカに対して、フローリアの友人たちが歩み寄ってくる。
「貴女が殿下の婚約者になるのであれば、フローリアへの慰謝料などの支払いがありますものね」
「は?」
フローリアとは、一体誰のことだ、と思ったアリカは訝しげな顔になる。
「あぁ…」
「そうよ、こちらの方は…」
「…まあ、予想通りといえばそれまでなんですけれど」
ひそひそ、と小声で話すフローリアの友人たちは何かを納得し、更に理解をしたのかうん、と頷いて改めて言い直した。
「あら、失礼。ライラック嬢への慰謝料などの支払い、ですわ」
「慰謝料、ですって?」
何故そんなものを支払う必要が、とアリカは不機嫌そうな顔になるも、フローリアの友人たちは更に続ける。
「ライラック嬢がこれまで行ってきた王太子妃教育で奪われた時間は相当なものですわ」
「それに、殿下の我儘によって他の王太子妃候補となりそうだった令嬢にも『お前たちはいらない!』と、遠ざけたというではありませんか」
「側妃候補となり得た令嬢もいなくなって、ライラック嬢しかいない、という状況だったんですから」
そんなこと、知らないと言いたいけれど、『知らなかったから』で済ませられることではない。
王太子妃候補は一人、側妃候補はいない。更に王太子妃候補としてたった一人勉強を進めてきたフローリアは婚約破棄を言い渡された。
破棄はなかったことにはならないから、アリカは、これからフローリアの行ってきた厳しい王太子妃教育を一気に進めることになる。
「……っ」
今更気が付いたのか、とフローリアの友人たちは白い目を向けているが、アリカの友人たちがばたばたと走ってくる。
「酷いではありませんか!今から王太子妃教育を始めなければならないアリカに対して、そんなにもプレッシャーをかけるだなんて!」
「本当のことですわよ。ねぇ?」
「そうよ」
しれっとそう返せば、アリカもアリカの友人たちも、ぐっと言葉に詰まってしまった。
「何の騒ぎですか!」
普段ではありえないほど賑やかな教室の様子に、教師が何事か、と慌ててやってくる。
アリカの友人たちが、『ライラック嬢のご友人が酷いんです!』と抗議したものの、『だから何だと言うんですか』とあまりに淡々と返されてしまったのだ。
「だから何、って…」
先生までもが敵なのか、とアリカは絶望しかけるが、やって来るはずのフローリアが登校してこないことにも違和感を覚えたのか、先生に食ってかかった。
「先生!ライラック嬢はどうして登校してこないんですか!何なんですか、堂々と遅刻なんですの?!」
「この度の一件により、ライラック嬢は卒業までお休みすると連絡が入っております」
「この度の、って」
「婚約破棄の件ですよ。それ以外に何がありますか」
「で、でも卒業まではあと三ヶ月あって…!」
「飛び級卒業してもいいですよ、と提案しましたが…御学友と共に卒業したいので、そのまま通いたい、とライラック嬢が仰いましたので」
「え…?」
「ライラック嬢の成績は、入学時からこれまで、一度たりとも首席から下がったことはありませんよ」
もしかして、とんでもない人を敵に回してしまったのではないか、とアリカは顔色を悪くするが、そもそも敵ではない。
婚約破棄を宣言され、公衆の面前での行動が故に取り消しも叶わない。
あわよくば、フローリアに側妃になってもらってから、政務は任せておけば自分はミハエルと悠々自適な王宮生活を楽しめるのではないか、と楽観的に考えてしまっていた。
「うそ…でしょ…」
アリカやミハエル、アリカの友人たちの認識は『ライラックはアリカの敵であり、にっくき悪役令嬢』なのだが、認識そのものが間違っていることには誰一人気づいていない。
何なら、ミハエルを溺愛していた王妃ですら我が子を見限る方向へと進んでいるのだが、ミハエル自身は『母は自分をいつまでも大切にしてくれて、何かあっても全力で守ってくれてフォローもしてくれる』という残念極まりない思考回路。
フローリアがフォローしてやる義理はないし、婚約破棄をされたのであれば王宮に出入りもしない。
なお、今後王宮へと出入りする理由を挙げるのであれば、シェリアスルーツ家当主として出入りするのであって、側妃になるためではないし、婚約破棄をつきつけた相手を助ける義理などフローリアにはない。懇願されたとて『嫌ですわ』といつもの笑顔でさっくり拒否される。
「さぁ、いつまでも騒いでいないで授業を開始しますよ!皆さん、席について!」
あれこれアリカが考えていたら、いつの間にか始業時間になってしまっていた。
先生がパンパン!と手を鳴らしたことで生徒たちは、ぞろぞろと自分たちの席へと座っていく。アリカも友人に促され、はっと我に返って急ぎ足で自分の席に座る。
また、ミハエルは同じクラスだが今日は遅くなるらしい。
国王夫妻に婚約破棄を了承してもらうんだ!とうきうきしていたが、本当に了承されるのか。
むしろ、先程先生から聞いた話をアリカは改めて考え、婚約破棄が了承されなければ良いとさえ、思ってしまった。
1,366
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる