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にじゅーさん
しおりを挟むユリスも臣下として参加した政務報告会で出した養子縁組の件に、賛否両論は様々だった。
「陛下、まだ陛下も王妃様も若くしていらっしゃいます!」
「そうです!それにもしも養子縁組など早まった決断をなさって王子が生まれたときにはどうなさるのです!」
有り得ないんだけどなぁ。俺はキャロルを抱かないし、キャロルは俺に抱かれない。
「ですがヨセン・カレルズの優秀さは大人も舌を巻くほどです」
「確かにそうだが…」
本当に、国王って面倒だ。自分の子供にするにも一々議題として出さなければならない。
「静かにしろ、余が決めたことだ」
「ですが陛下!」
「…余の決定に逆らうか?」
意味を込めてじろりと睨むと、びくりと臣下の一人が揺れる。俺は話を遮られるのが大嫌いだ。…ユリスになら何をされても許してしまうのだけれど。
「まだ余もカレルズに話したわけではない。取り敢えず、カレルズと話してまた発表することとする。分かったか」
承知しました、と返事が返ってくる。
「陛下」
「なんだ?」
フェロンの遠慮がちな視線に、何かあるのかと眉をひそめる。
「少しお話が」
ユリスが気が気ではないような視線を送ってくる。何だかとても気持ちよくて、必要以上にフェロンに密着する。
(やば、やりすぎた)
そう思っても時既に遅し。
ユリスは笑っていた。だが目は笑っていない。今度こそ本当に監禁されるかもしれない。それはそれでご褒美だけどさ。
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