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にじゅーごー
しおりを挟む「……死ぬ」
「死にません」
「嫌がらせかよフェロン!!!」
「言葉がなってませんよ」
本当に、死んでしまう。死因は過労と情緒不安と欲求不満か。それはそれでいいかもしれないけどさ。
「マジで、ありえねぇ…」
ここ数週間、ユリスとイチャイチャしてない。てかまともに顔すら見ていない。
「もうすぐ隣国の皇太子来るだろ?しかも、案内人にユリス指命…」
「我慢して下さい。この国の末がかかっているのです」
「……フェロン」
「駄目です」
「まだ何も言ってねぇよ!!」
「どうせユリス殿の元へ行かせろと言うのでしょう」
「うっ」
全てお見通しというわけか。なら行かせろ!
「リオン様の手の者がこの部屋を見ています。今ユリス殿と会うことによって、ユリス殿に危害が及ぶのです」
「っ…もうやだぁ……!」
頭を抱えたくなる。
「…そうだ」
「なんですか」
「俺、キャロルの所へ行ってくる!」
「…駄目ですよ」
「なんでだよ!」
「……私が貴方にこういうことをしたら、貴方は少しでも私を考えてくれますか」
え、と声にする前に腕を引っ張られ、抱き締められキスされる。余りにも自然な動作に思考が停止した。
え、なにこれ?え、なんでフェロンが俺のこと抱き締めてんの?
「…フェ、ロン?」
「ーー私が貴方を、私しか見えないところへ連れ置きたいだけです。…いけないことですか」
いけないことですよね!!?え!?なに、フェロンも俺のこと好きだったの!?
「…フェロン…」
こんなことを考えているのは酷いかもしれないけれど、失いたくない。フェロンを失って誰が代わりになるというのだろう。
「貴方が傷付くのを、ずっと見ていた。それなのに貴方は最後にあの男を取る。結婚しても、ずっと」
「……バカだろ、お前」
俺が傷付いて死にたいと思っていたとき、必死に励ましたのはコイツだ。その時に弱味に漬け込めばよかったものを。
「えぇ、私も自分が馬鹿だと思いますよ。こんなことなら早く自分のものにしてしまえばよかったと、悔やんでも悔やみきれない」
「ーーごめん」
俺は気付かないうちに何度フェロンを傷付けた?
「ごめん…」
無意識に放った言葉で、どれだけこの男は傷付いただろう。
「……申し訳ございません、陛下。頭を冷やして参ります」
ユリスに妬かせたいなんて考えて取った行動。その軽々しい行動で、どれだけフェロンが傷付いたか。
考えるまでもなかった。
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