国王ほど不自由なモノはない

榎本 ぬこ

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にじゅーなな

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「これを受理してください」
「……」
 目の前に差し出された封筒に、どうしたものかと考えた。
「…辞表の意味が分かっているのか」
「分かっています」
「……引き留めたところで無駄か?」
 薄情かもしれないけれど、こんなことで余計な時間を割くならば仕事の一つでも終わらせたい。
「…申し訳ございません。引き継ぎは昨日のうちに。順当に行けば、オーブル公爵…左大臣が引き継ぐことになりそうですので」
 まぁ、そうだろうけれど。ていうかユリスが余計に不機嫌になるな。俺も仕事漬けにされるだろうし。
「…辞める理由は?」
「……これ以上、貴方と、ユリス殿の関係を目の前で見ているのは辛いのです」
「ーーバカが」
 そう言い捨てた俺に、フェロンは自嘲気味に笑う。
「えぇ、私もそう思います」
「…お前には感謝している。後で、俺から贈り物の一つはさせてくれ。その位はいいだろう?」
「…ありがたき幸せにございます」
 深々と頭を下げたフェロンに、それ以上言うことは見つからなかった。



「…マジですか」
「マジですよ?」
 にっこり笑ったリゼに、ユリスが盛大なため息をつく。
「てことは、すぐにでも左大臣様が宰相になって?余計に会う時間もなくなって?あーもう、何なんだよッ!!」
「俺に言われても…ねぇ」
 ていうかヤってる最中に言わないで?
「とりあえず、明日から会えないからさ」
「……くっそ。こんにゃろ…」
 うなじを思いっきり噛まれ、痛さに顔を歪ませる。
「なんっ、で、そこっ…!」
「…俺のモノってシルシ。俺以外と、触れ合うようなことがあったらーーお前のことマジで殺すから」
「…へーい」
 さて、立てないんだけどどうしようか。てかうなじからめっちゃ血が出てる。
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