国王ほど不自由なモノはない

榎本 ぬこ

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にじゅーはち

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「リっ……ゼェェェエエエ!!!!!!」
「おぅわっ!」
 盛大に抱き付かれ、思わず間抜けな声を出す。
「おっも…ちょっと、リオン」
「リゼ、やっとここに来れたよぉぉぉおお!!本当もうお前のことだけ考えててここまで来ちゃったけどさぁ、俺ほんとリゼのこと愛しすぎててさぁ、自分が怖いよぉぉぉおおお」
「うん、愛されてるのは知ってるけど」
「あぁもう愛してるよ、私のお姫様」
「姫じゃねぇ」
 そこだけ訂正して、とりあえず体制を整える。
「ていうかあの女狐にリゼを取られてからというものの、不安で仕方なくてさぁ…」
 その女狐というのはーーキャロルで合っているのかな?多分そうだよね、うん。
「リオン、一応…ちゃんとしよう?」
 さすがに就任式なのに、国王の名前を連呼した挙げ句お前呼びとか、周りがめっちゃドン引いてる。
「これは…失礼しました、陛下」
 すぐにころっと変われるリオンはすごいと思う。後ろからユリスの睨みがヤバイけど、ゾクゾクする……って、こんなこと考えてる場合じゃない。
「リオン・オーブル、国王陛下にご挨拶申し上げます」
「あぁ。…余は今日この時を以て、リオン・オーブル左大臣を宰相へと任命する。皆も、そのように心得ろ」
 またもや深々と頭を下げる重臣達を見回して、ふうっとため息をつく。ふとリオンを見れば、何だか不吉な笑み。
「…なんだ?」
「いいえ、陛下。ありがたき幸せにございます」
 そう言って任命書を受けとる際に、リオンがぽそりと呟く。
「あとで、うなじの噛み痕についてゆっくり聞きましょうか」
「っ!」
 やっぱりコイツには油断も隙もない。
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