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夏の宴
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歓送迎会当日はバイトが入っていた。
私は気合いを入れて、滅多に穿かないピラピラのスカートを穿いて行った。
そうしたら早速ツーブロック佐々木に「いつもと違うね。彼氏でも出来たの?」と笑われた。そういうところが嫌われるのに、わからないのだろうか?
閉店が21時で、それからレジ締め作業やら何やらあるので送別会は22時から。シフトの入っているミサキちゃんとツーブロック佐々木とデビル川嶋と店に向かい、歩いて10分もすれば着いた。
焼肉店の個室の襖を開けると店長とパンダ本多さんと吉岡君はもう来ていて、吉岡君は上座でも下座でもない中途半端な位置に所在無さげに座っていた。デビル川嶋は店長を憎んでいるだけあって、店長から遠い席に着いている。
私は素早く吉岡君の右隣の、入り口に一番近い席に陣取る。私好みのゴツい手がよく見える。絶景かな絶景かな。
今日はこの席でとことんまで彼を弄って弄って弄り倒そうと決めていた。
そもそも私は飲み会があまり好きじゃない。お金を払ってわざわざ嫌なことに参加するのは馬鹿げている。でも今日は特別、重要な目的があるのだ。
飲み物が来て乾杯が済んだ。吉岡君は未成年のクセにビールを飲んでいる。ほとんどが義務的に参加した飲み会だからか、最初はあまり盛り上がらなかった。ミサキちゃんが気を利かせて周りに話を振ったりしていたけれど、限界があるみたいだ。
私は吉岡君に無茶振りしてみた。
「ねぇ、いつものアレやってよ」
吉岡君はフライドポテトをくわえてキョトンとしている。
「え、アレって何?」
ミサキちゃんが食い付いた。私は適当に、
「ほら、いつものソーラン節!」
と叫んだ。
「吉岡君ソーラン節踊れるの?!」
店長も食い付いた。飲み会の気まずい雰囲気をぶち破る希望、そんな期待を込めた眼差しで。
吉岡君の下がり眉がさらに5度くらい傾いた。彼の眉毛をさらにさらに下げさせて、地面と垂直にしてやりたい!
だから私は歌ってやった。アルコールの力を借りて、高らかに。
「ヤーーーーアレン、ソーオラン、ソーラン♫ ほら早く‼︎」
皆が手拍子を始めると、吉岡君は観念したのかビールを一気飲みして立ち上がり、歌って踊り出した。
「おとっこ度胸は五尺の体ぁ♫……」
「はーどっこいしょ♫ どっこいしょ♫」
私は合いの手を打つ。
結局、彼は完璧に踊りきりやがった。個室は拍手に包まれる。
「何で踊れるのよ!」
私は突っ込んだ。
私は気合いを入れて、滅多に穿かないピラピラのスカートを穿いて行った。
そうしたら早速ツーブロック佐々木に「いつもと違うね。彼氏でも出来たの?」と笑われた。そういうところが嫌われるのに、わからないのだろうか?
閉店が21時で、それからレジ締め作業やら何やらあるので送別会は22時から。シフトの入っているミサキちゃんとツーブロック佐々木とデビル川嶋と店に向かい、歩いて10分もすれば着いた。
焼肉店の個室の襖を開けると店長とパンダ本多さんと吉岡君はもう来ていて、吉岡君は上座でも下座でもない中途半端な位置に所在無さげに座っていた。デビル川嶋は店長を憎んでいるだけあって、店長から遠い席に着いている。
私は素早く吉岡君の右隣の、入り口に一番近い席に陣取る。私好みのゴツい手がよく見える。絶景かな絶景かな。
今日はこの席でとことんまで彼を弄って弄って弄り倒そうと決めていた。
そもそも私は飲み会があまり好きじゃない。お金を払ってわざわざ嫌なことに参加するのは馬鹿げている。でも今日は特別、重要な目的があるのだ。
飲み物が来て乾杯が済んだ。吉岡君は未成年のクセにビールを飲んでいる。ほとんどが義務的に参加した飲み会だからか、最初はあまり盛り上がらなかった。ミサキちゃんが気を利かせて周りに話を振ったりしていたけれど、限界があるみたいだ。
私は吉岡君に無茶振りしてみた。
「ねぇ、いつものアレやってよ」
吉岡君はフライドポテトをくわえてキョトンとしている。
「え、アレって何?」
ミサキちゃんが食い付いた。私は適当に、
「ほら、いつものソーラン節!」
と叫んだ。
「吉岡君ソーラン節踊れるの?!」
店長も食い付いた。飲み会の気まずい雰囲気をぶち破る希望、そんな期待を込めた眼差しで。
吉岡君の下がり眉がさらに5度くらい傾いた。彼の眉毛をさらにさらに下げさせて、地面と垂直にしてやりたい!
だから私は歌ってやった。アルコールの力を借りて、高らかに。
「ヤーーーーアレン、ソーオラン、ソーラン♫ ほら早く‼︎」
皆が手拍子を始めると、吉岡君は観念したのかビールを一気飲みして立ち上がり、歌って踊り出した。
「おとっこ度胸は五尺の体ぁ♫……」
「はーどっこいしょ♫ どっこいしょ♫」
私は合いの手を打つ。
結局、彼は完璧に踊りきりやがった。個室は拍手に包まれる。
「何で踊れるのよ!」
私は突っ込んだ。
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