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第一章 クリスタル領で再会
12、異世界の小部屋3
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オリビアがリアムの休んでいる部屋を出ると、ジョージとリタが廊下で待っていた。
「まずは、私の部屋へ行きましょう」
オリビアは二人を引き連れ自室へ戻る。
「リタ。念のため鍵をかけて」
「承知いたしました」
リタが部屋のドアに鍵をかける。
「お嬢様、俺ら以外はいないっす」
リタとジョージが周りを警戒し、自分達以外はいないことを確認しオリビアに視線を送った。オリビアは彼女たちと目を合わせ、小さく頷く。
そして壁に掛けている姿見に手をかざし、魔力を少し流す。
すると姿見は淡い光を発し、引き戸の様に横に移動した。元々姿見があった壁面には穴が開いており、奥には畳三畳ほどの空間が広がっている。その空間には引き出し付きの机と椅子、ランプ、鉄製の小型の物置のようなものがあった。
オリビアは椅子に腰掛け引き出しの鍵を開けた。茶色い皮表紙の手帳のようなものが入っている。オリビアは手帳を取り出し、表紙を開き手をかざす。魔力を流しながら呪文を唱えた。
「ヘイ! チリ!!」
オリビアがそう唱えると手帳のようなものが青白く光り、問いかけに答えた。
『ご用件はなんでしょう?』
手帳のようなものは紙製ではなく、ガラスと鉄でできた板で、そこから聞こえる声は、抑揚の少ない女性の声だった。
「いつ見てもその『タブレット』なるものは不思議です」
リタが眉をひそめ、ジョージの後ろからタブレットを覗いている。
「いい加減慣れろよ。石頭」
「なんだと! クソジョージ!」
からかわれて腹を立てたリタが、背後からジョージの足を蹴り飛ばす。小部屋の中で、パシン! と乾いた音が響き、ジョージの体勢が崩れた。
「痛え ! 何するんだゴリラ女!」
すかさずもう一発食らい、ジョージは片膝をついて苦痛に顔を歪めた。若干涙目である。
「こら! ふたりとも今はふざけている時間はないわ。集中して。あとジョージ、悪口にゴリラを使わないで。彼らは素晴らしい生き物よ」
オリビアが振り返り、ふたりを嗜める。
「申し訳ございません……」
「すいません」
姿勢を正し俯く従者たちにため息をつき、オリビアは再度タブレットに向かって話しかける。
「ヘイ、チリ。足の腿が折れた時の治療法を教えて?」
タブレットの画面に何かが一覧の様に表示される。
「あった、あった。……これだわ」
オリビアがタブレットに触れると、画面が変わり、絵や文章が表示された。
「大腿骨が折れた場合の症状、治療法、完治までの時間は? うんうん。なるほど……」
タブレットには骨折に関する治療法が表示されていた。オリビアは文章を小さく声に出して、時折内容に対してリアクションをとりながら読んでいる。
「よし! わかったわ!」
オリビアはタブレットを引き出しにしまい、椅子から立ち上がった。そのままくるりと振り返り、小部屋を後にする。
「ふたりとも協力してね。まずリタは包帯をたくさんと、添え木にできそうな板を二枚を持ってきて。あとはお兄様とトーマス医師、護衛たちを二、三人連れてきてほしいわ。」
「はい!」
「ジョージはこのまま私とセオ様の部屋へ行きましょう。ちょっと力仕事をお願いするわね」
「はい」
オリビアの指示に、ふたりは頷き小部屋を出た。
入室時と同じ動作で姿見に手をかざすと、淡い光を発しながら姿見は元の位置に戻り、何事もなかったかの様にオリビアたちを映していた。
三人一緒に部屋を出て、オリビアとジョージはセオの部屋へ向かい、リタは反対方向へ向かい歩き出した。
>>続く
ここまで読んでいただきありがとうございます!
応援してくれたら泣いて喜びます!
引き続きよろしくお願いします!
「まずは、私の部屋へ行きましょう」
オリビアは二人を引き連れ自室へ戻る。
「リタ。念のため鍵をかけて」
「承知いたしました」
リタが部屋のドアに鍵をかける。
「お嬢様、俺ら以外はいないっす」
リタとジョージが周りを警戒し、自分達以外はいないことを確認しオリビアに視線を送った。オリビアは彼女たちと目を合わせ、小さく頷く。
そして壁に掛けている姿見に手をかざし、魔力を少し流す。
すると姿見は淡い光を発し、引き戸の様に横に移動した。元々姿見があった壁面には穴が開いており、奥には畳三畳ほどの空間が広がっている。その空間には引き出し付きの机と椅子、ランプ、鉄製の小型の物置のようなものがあった。
オリビアは椅子に腰掛け引き出しの鍵を開けた。茶色い皮表紙の手帳のようなものが入っている。オリビアは手帳を取り出し、表紙を開き手をかざす。魔力を流しながら呪文を唱えた。
「ヘイ! チリ!!」
オリビアがそう唱えると手帳のようなものが青白く光り、問いかけに答えた。
『ご用件はなんでしょう?』
手帳のようなものは紙製ではなく、ガラスと鉄でできた板で、そこから聞こえる声は、抑揚の少ない女性の声だった。
「いつ見てもその『タブレット』なるものは不思議です」
リタが眉をひそめ、ジョージの後ろからタブレットを覗いている。
「いい加減慣れろよ。石頭」
「なんだと! クソジョージ!」
からかわれて腹を立てたリタが、背後からジョージの足を蹴り飛ばす。小部屋の中で、パシン! と乾いた音が響き、ジョージの体勢が崩れた。
「痛え ! 何するんだゴリラ女!」
すかさずもう一発食らい、ジョージは片膝をついて苦痛に顔を歪めた。若干涙目である。
「こら! ふたりとも今はふざけている時間はないわ。集中して。あとジョージ、悪口にゴリラを使わないで。彼らは素晴らしい生き物よ」
オリビアが振り返り、ふたりを嗜める。
「申し訳ございません……」
「すいません」
姿勢を正し俯く従者たちにため息をつき、オリビアは再度タブレットに向かって話しかける。
「ヘイ、チリ。足の腿が折れた時の治療法を教えて?」
タブレットの画面に何かが一覧の様に表示される。
「あった、あった。……これだわ」
オリビアがタブレットに触れると、画面が変わり、絵や文章が表示された。
「大腿骨が折れた場合の症状、治療法、完治までの時間は? うんうん。なるほど……」
タブレットには骨折に関する治療法が表示されていた。オリビアは文章を小さく声に出して、時折内容に対してリアクションをとりながら読んでいる。
「よし! わかったわ!」
オリビアはタブレットを引き出しにしまい、椅子から立ち上がった。そのままくるりと振り返り、小部屋を後にする。
「ふたりとも協力してね。まずリタは包帯をたくさんと、添え木にできそうな板を二枚を持ってきて。あとはお兄様とトーマス医師、護衛たちを二、三人連れてきてほしいわ。」
「はい!」
「ジョージはこのまま私とセオ様の部屋へ行きましょう。ちょっと力仕事をお願いするわね」
「はい」
オリビアの指示に、ふたりは頷き小部屋を出た。
入室時と同じ動作で姿見に手をかざすと、淡い光を発しながら姿見は元の位置に戻り、何事もなかったかの様にオリビアたちを映していた。
三人一緒に部屋を出て、オリビアとジョージはセオの部屋へ向かい、リタは反対方向へ向かい歩き出した。
>>続く
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