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第二章 王都にお引越し! クラスメイトは王子様
67、名探偵オリビア3
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クラブ教室に着くと、ジョージの持っている鍵でドアを開け、オリビアはとジョージは教室の中に入った。
「さてと、今日はあの詮索殿下もいないし、この教室を調べましょう。これでも食べながら」
オリビアは先ほどの授業でジョージが作った『カロリー・ソウルメイト』を出してニヤリと笑った。
ジョージは大きなため息をついて差し出されたそれを一つ口に入れた。
「はあ……。で、何を調べたいんですか?」
「ここでは話せないわ。あとでね。……あ、あったあった。さあ、ジョージは私の髪を結い直してちょうだい」
「へいへい」
オリビアが教室の隅にある棚から、魔法陣が描かれた一枚の羊皮紙を取り出した。昔から貴族が使っている上質なものだった。
それを机に広げ、自分の持ち込んだ紙と万年筆を並べて椅子に腰掛ける。
ジョージがポケットから櫛を出し「失礼しますよ」と言ってオリビアの髪留めを外す。
「櫛まで常備しているなんて準備がいいのね」
「まあ、いつかわい子ちゃんの髪を解いてもいいようにね」
ジョージの持つ銀細工の櫛が、オリビアの髪の毛を滑った。
それはまるで何年も仕えた侍女のように手慣れていて、とても心地がよかった。オリビアはその心地よさにそっと目を瞑った。
すると、ジョージの手が止まり、オリビアは自分の髪の毛の一部がふわりと浮くのを感じた。そのまま数秒、動きは止まったままだ。
オリビアが目を開けてジョージに声を掛ける。
「ジョージ? どうしたの?」
「あ、いえ……。髪型どうしよっかなと思って」
「ああ、リタに怒られないなら何でもいいわ」
「わかりましたよ」
再び、ジョージの手が動きだす。そして、あっという間に髪が結いあげられた。
「はい! 出来上がりっす。鏡はないんで見せられないですけど、リタには及第点もらえる出来ですよ」
「ありがとう! さ、これで集中できるわ」
オリビアは万年筆を手に取った。次に自分の持ち込んだ紙へ、羊皮紙に描かれた魔法陣を書き写し始めた。
「何してるんですか?」
「模写よ。ちょっと調べたくて」
ジョージの質問に、オリビアは魔法陣から目を離さず答える。ゆっくりと丁寧に手を動かし魔法陣を描いていく。
「模写ですか……。これを持ち出しちゃダメなんですか?」
「ええ。ここで手に入れたものは殿下の管理下にあって信用できないわ。殿下の魔法が何なのかはわからないけど、もし私が彼の立場で私のことを探っているなら、十中八九盗聴や盗撮をするわ。何か理由をつけて記録媒体を持たせてね」
オリビアは模写を続けながら答えた。背後にいるジョージの気配が若干引き締まったのを感じる。
「たとえば、この教室の鍵とか?」
「そうよ。解析魔法が使えないと何とも言えないけど、あの鍵には何か細工がしてあると思っていいはずよ」
「だから持ち歩いてないんですか? もっと早く教えてくださいよ。もしデートの様子とかを聞かれたりしたら、俺のモテテクが流出しちゃうじゃないですか~」
「だから今日教えてあげたじゃない。明日は休日だからデートでしょう? 置いていきなさいよ」
オリビアはジョージの不可解な発言については面倒なのであえて流し、話しながら模写を続けた。そして、魔法陣を描き終える。
「できた! よし、昼休みも終わる頃ね。もう出ていきましょう」
「戻るのは戻るので怠いっすね。サボりません?」
「ダメ! 行くわよ!」
「へいへい」
オリビアは素早く立ち上がると、羊皮紙を元の場所に戻し、模写をした紙と万年筆を持ってクラブ教室を後にした。
>>続く
「さてと、今日はあの詮索殿下もいないし、この教室を調べましょう。これでも食べながら」
オリビアは先ほどの授業でジョージが作った『カロリー・ソウルメイト』を出してニヤリと笑った。
ジョージは大きなため息をついて差し出されたそれを一つ口に入れた。
「はあ……。で、何を調べたいんですか?」
「ここでは話せないわ。あとでね。……あ、あったあった。さあ、ジョージは私の髪を結い直してちょうだい」
「へいへい」
オリビアが教室の隅にある棚から、魔法陣が描かれた一枚の羊皮紙を取り出した。昔から貴族が使っている上質なものだった。
それを机に広げ、自分の持ち込んだ紙と万年筆を並べて椅子に腰掛ける。
ジョージがポケットから櫛を出し「失礼しますよ」と言ってオリビアの髪留めを外す。
「櫛まで常備しているなんて準備がいいのね」
「まあ、いつかわい子ちゃんの髪を解いてもいいようにね」
ジョージの持つ銀細工の櫛が、オリビアの髪の毛を滑った。
それはまるで何年も仕えた侍女のように手慣れていて、とても心地がよかった。オリビアはその心地よさにそっと目を瞑った。
すると、ジョージの手が止まり、オリビアは自分の髪の毛の一部がふわりと浮くのを感じた。そのまま数秒、動きは止まったままだ。
オリビアが目を開けてジョージに声を掛ける。
「ジョージ? どうしたの?」
「あ、いえ……。髪型どうしよっかなと思って」
「ああ、リタに怒られないなら何でもいいわ」
「わかりましたよ」
再び、ジョージの手が動きだす。そして、あっという間に髪が結いあげられた。
「はい! 出来上がりっす。鏡はないんで見せられないですけど、リタには及第点もらえる出来ですよ」
「ありがとう! さ、これで集中できるわ」
オリビアは万年筆を手に取った。次に自分の持ち込んだ紙へ、羊皮紙に描かれた魔法陣を書き写し始めた。
「何してるんですか?」
「模写よ。ちょっと調べたくて」
ジョージの質問に、オリビアは魔法陣から目を離さず答える。ゆっくりと丁寧に手を動かし魔法陣を描いていく。
「模写ですか……。これを持ち出しちゃダメなんですか?」
「ええ。ここで手に入れたものは殿下の管理下にあって信用できないわ。殿下の魔法が何なのかはわからないけど、もし私が彼の立場で私のことを探っているなら、十中八九盗聴や盗撮をするわ。何か理由をつけて記録媒体を持たせてね」
オリビアは模写を続けながら答えた。背後にいるジョージの気配が若干引き締まったのを感じる。
「たとえば、この教室の鍵とか?」
「そうよ。解析魔法が使えないと何とも言えないけど、あの鍵には何か細工がしてあると思っていいはずよ」
「だから持ち歩いてないんですか? もっと早く教えてくださいよ。もしデートの様子とかを聞かれたりしたら、俺のモテテクが流出しちゃうじゃないですか~」
「だから今日教えてあげたじゃない。明日は休日だからデートでしょう? 置いていきなさいよ」
オリビアはジョージの不可解な発言については面倒なのであえて流し、話しながら模写を続けた。そして、魔法陣を描き終える。
「できた! よし、昼休みも終わる頃ね。もう出ていきましょう」
「戻るのは戻るので怠いっすね。サボりません?」
「ダメ! 行くわよ!」
「へいへい」
オリビアは素早く立ち上がると、羊皮紙を元の場所に戻し、模写をした紙と万年筆を持ってクラブ教室を後にした。
>>続く
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