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第三章 アレキサンドライト領にて
75、到着!アレキサンドライト公爵邸3
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「オリビア嬢、すまない。弟が失礼した……。あれで君の一つ年下なのだが、病弱で寝込むことも多かったせいかまだまだ子供のような性格で……」
リアムが肩を落とし、大きな体を小さく丸めなる。申し訳なさを全身で表現しながらオリビアに詫びる。
「私は気にしませんわ。それに美人だと褒めていただきました。正直ご家族にお会いするのに緊張しておりましたが、サイラス様のおかげで少し気が楽になりましたし」
「そう言ってくれるなら私も安心だが……」
依然、申し訳なさそうなリアムに、オリビアは笑顔で俯く彼の顔を覗き込んだ。
「リアム様、本心ですわ。ですからご安心ください」
「ありがとう、オリビア嬢」
安堵したのかわずかに息を漏らし、リアムの表情が和らいだ。
話がひと段落したところで、オリビアはサイラスが来る前まで話を戻した。
「ところでリアム様、先ほどの話なのですが……」
「先程の、というのは?」
リアムが首を傾げる。どうやらサイラスの件で一度記憶が飛んでしまったようだ。恥ずかしかったが、オリビアは補足して話の続きを急かす。
「その、初恋というのは一体……」
「あ! そ、それは……」
リアムが一瞬目を見開き、すぐに俯き加減で頬を染めている。またもや口ごもっている彼にじれったさを感じたオリビアが、さらに急かそうと口を開きかけた瞬間、またもコンコンとドアをノックする音が聞こえた。
今度は一体誰が邪魔をしにきたのかと部屋の入り口に鋭い視線を向けると、そこには一度退室したアンドレが立っていた。
「失礼いたします。アンドレです」
「どうした?」
リアムが数歩歩いて用件を聞きにいくと、アンドレは落ち着いた口調で用件を話し始めた。
「はい。たった今、オリビア様の従者を名乗る男性が屋敷の前におりまして……」
(あ、初恋の話に気を取られて、お伝えするのを忘れていたわ……)
戸惑いの表情を見せるリアムに、オリビアは先ほどのゴタゴタで伝え忘れていたことを思い出した。
「ええ、実は急遽もう一人呼んでいますの。リアム様にも会っていただきたいのです」
「私にも?」
そう言ってリアムが首を傾げた。オリビアは口角を上げ、自信たっぷりの表情で頷いた。彼を、どうしてもリアムに会わせたかったのだ。
「はい。身元は私が保証いたします。通していただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。アンドレ、その者をここへ案内してくれ」
「かしこまりました」
数分後、アンドレがオリビアの従者を連れてゲストルームへ戻ってきた。
「お待たせいたしました。連れて参りました」
アンドレの後ろに立つ人物の姿を見た瞬間、リアムが眉を上げ目を見開き、その深緑の瞳は入り口に立つ彼に釘付けだった。
「き、君は……!」
>>続く
リアムが肩を落とし、大きな体を小さく丸めなる。申し訳なさを全身で表現しながらオリビアに詫びる。
「私は気にしませんわ。それに美人だと褒めていただきました。正直ご家族にお会いするのに緊張しておりましたが、サイラス様のおかげで少し気が楽になりましたし」
「そう言ってくれるなら私も安心だが……」
依然、申し訳なさそうなリアムに、オリビアは笑顔で俯く彼の顔を覗き込んだ。
「リアム様、本心ですわ。ですからご安心ください」
「ありがとう、オリビア嬢」
安堵したのかわずかに息を漏らし、リアムの表情が和らいだ。
話がひと段落したところで、オリビアはサイラスが来る前まで話を戻した。
「ところでリアム様、先ほどの話なのですが……」
「先程の、というのは?」
リアムが首を傾げる。どうやらサイラスの件で一度記憶が飛んでしまったようだ。恥ずかしかったが、オリビアは補足して話の続きを急かす。
「その、初恋というのは一体……」
「あ! そ、それは……」
リアムが一瞬目を見開き、すぐに俯き加減で頬を染めている。またもや口ごもっている彼にじれったさを感じたオリビアが、さらに急かそうと口を開きかけた瞬間、またもコンコンとドアをノックする音が聞こえた。
今度は一体誰が邪魔をしにきたのかと部屋の入り口に鋭い視線を向けると、そこには一度退室したアンドレが立っていた。
「失礼いたします。アンドレです」
「どうした?」
リアムが数歩歩いて用件を聞きにいくと、アンドレは落ち着いた口調で用件を話し始めた。
「はい。たった今、オリビア様の従者を名乗る男性が屋敷の前におりまして……」
(あ、初恋の話に気を取られて、お伝えするのを忘れていたわ……)
戸惑いの表情を見せるリアムに、オリビアは先ほどのゴタゴタで伝え忘れていたことを思い出した。
「ええ、実は急遽もう一人呼んでいますの。リアム様にも会っていただきたいのです」
「私にも?」
そう言ってリアムが首を傾げた。オリビアは口角を上げ、自信たっぷりの表情で頷いた。彼を、どうしてもリアムに会わせたかったのだ。
「はい。身元は私が保証いたします。通していただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。アンドレ、その者をここへ案内してくれ」
「かしこまりました」
数分後、アンドレがオリビアの従者を連れてゲストルームへ戻ってきた。
「お待たせいたしました。連れて参りました」
アンドレの後ろに立つ人物の姿を見た瞬間、リアムが眉を上げ目を見開き、その深緑の瞳は入り口に立つ彼に釘付けだった。
「き、君は……!」
>>続く
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