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第七章 オリビアの魔法
173、来訪者たち1
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「オリビア様、おはようございます」
「リタ、もう朝? まだ起きたくない~」
「いいえ、起きていただきます。いつもより遅いくらいなんですから」
「ええ~。いいじゃない学校だって休みだし、お店はセオに任せているし、私やることないのよ」
朝。オリビアは支度に来た侍女のリタから視線を逸らし枕に顔を沈めた。
彼女と護衛のジョージと一緒にクリスタル領に戻ったのは三日前。
クラブ棟が炎上、最終的には実験クラブの薬品に引火し建物が倒壊してしまったため、貴族学院は二週間の休校となったのだ。
「お休みとはいえ、今日はお客様がいらっしゃる日ではありませんか。悠長にしてはいられませんよ」
「そうだったわ! 今何時?」
オリビアは慌てて上体を起こした。傍には呆れ顔のリタが立っている。
彼女は息を吐き室内の時計を指した。
「もう九時でございます。お客様がいらっしゃるのは十時ですよ」
「大変! もう時間がないじゃない! なんでもっと早く起こしてくれなかったのよリタ~」
口を尖らせながらベッドを出る。テーブルの上にある軽食に手を出そうと歩きだしたオリビアの前に、リタが立ちはだかった。彼女は両手を腰に当て、額にはうっすらと青筋が浮かんでいた。
「オリビア様! 私がこの部屋に来たのは七時で、あなたを起こすのは本日五回目でございます! お菓子など食べている場合ではございません、お支度をしますのでさっさと座ってくださいませんか?」
「は、はい……」
リタの表情があまりにも恐ろしく、思わず彼女のウェーブがかった髪の毛が蛇のようにも見えてしまったオリビアは、言われるままおとなしく椅子に座った。
十時。なんとかギリギリで準備を終えたオリビアは、屋敷の門の前に立ち涼しい顔で客たちを迎えていた。
「ようこそおいでくださいました。わざわざこのような辺境までご足労いただきましたこと、感謝申し上げます」
「こちらこそ、招待してくれてありがとう」
「オリビア嬢、会えて嬉しいよ」
オリビアは彼らの返事を聞いて、深々と頭を下げた。そして、顔を上げにっこりと微笑んだ。
「レオン殿下、リアム様。さあ、早く屋敷の中へ」
オリビアはレオンとリアムを屋敷の中に案内し、家族たちと昼食を共にした。
オリビアの父はまさか王子が自分の屋敷に現れるなど予想していなかったため、食事中ずっと手が震えっぱなしだった。それを見てオリビアは兄のエリオットと顔を見合わせ苦笑した。
>>続く
「リタ、もう朝? まだ起きたくない~」
「いいえ、起きていただきます。いつもより遅いくらいなんですから」
「ええ~。いいじゃない学校だって休みだし、お店はセオに任せているし、私やることないのよ」
朝。オリビアは支度に来た侍女のリタから視線を逸らし枕に顔を沈めた。
彼女と護衛のジョージと一緒にクリスタル領に戻ったのは三日前。
クラブ棟が炎上、最終的には実験クラブの薬品に引火し建物が倒壊してしまったため、貴族学院は二週間の休校となったのだ。
「お休みとはいえ、今日はお客様がいらっしゃる日ではありませんか。悠長にしてはいられませんよ」
「そうだったわ! 今何時?」
オリビアは慌てて上体を起こした。傍には呆れ顔のリタが立っている。
彼女は息を吐き室内の時計を指した。
「もう九時でございます。お客様がいらっしゃるのは十時ですよ」
「大変! もう時間がないじゃない! なんでもっと早く起こしてくれなかったのよリタ~」
口を尖らせながらベッドを出る。テーブルの上にある軽食に手を出そうと歩きだしたオリビアの前に、リタが立ちはだかった。彼女は両手を腰に当て、額にはうっすらと青筋が浮かんでいた。
「オリビア様! 私がこの部屋に来たのは七時で、あなたを起こすのは本日五回目でございます! お菓子など食べている場合ではございません、お支度をしますのでさっさと座ってくださいませんか?」
「は、はい……」
リタの表情があまりにも恐ろしく、思わず彼女のウェーブがかった髪の毛が蛇のようにも見えてしまったオリビアは、言われるままおとなしく椅子に座った。
十時。なんとかギリギリで準備を終えたオリビアは、屋敷の門の前に立ち涼しい顔で客たちを迎えていた。
「ようこそおいでくださいました。わざわざこのような辺境までご足労いただきましたこと、感謝申し上げます」
「こちらこそ、招待してくれてありがとう」
「オリビア嬢、会えて嬉しいよ」
オリビアは彼らの返事を聞いて、深々と頭を下げた。そして、顔を上げにっこりと微笑んだ。
「レオン殿下、リアム様。さあ、早く屋敷の中へ」
オリビアはレオンとリアムを屋敷の中に案内し、家族たちと昼食を共にした。
オリビアの父はまさか王子が自分の屋敷に現れるなど予想していなかったため、食事中ずっと手が震えっぱなしだった。それを見てオリビアは兄のエリオットと顔を見合わせ苦笑した。
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