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一章
自業自得だよ※複数人から強姦未遂※
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自分を抱き上げている人の笑顔が、突然気味悪く歪んで見える。
「おろしてください、待って……っ」
身体を捩り逃げ出そうとしたときにはもう遅かった。
興奮した様子の男3人が囲むベッドに放り出される。
大人が3人は余裕で寝られそうな大きなベッドが揺れ、金の刺繍のあるシーツに皺ができた。
下卑た笑いを顔に貼り付けている男たちからはアルファのフェロモンを感じないため、おそらくベータだ。
本来ベータの男性の性的な対象は、第二性を問わず女性であることが多い。
だがヒート中のオメガであれば話は変わってくる。
アルファほどではなくとも、ベータもオメガのフェロモンに反応するのだ。
その証拠に藤ヶ谷を見下ろす男たちの鼻息は荒く、下半身も主張しているのが見て取れた。
自身の状況を把握できず目を白黒させているうちに、6本の手が藤ヶ谷に伸びる。
混乱しながらも、藤ヶ谷は手を叩き落として抵抗の意を示した。
「触るな! ……っ、蓮池さん、これはいったいどういう、ぁっ」
2人の男が同時にスーツの上着を無遠慮に掴み、ボタンが弾け飛ぶ。
スーツはその勢いのまま脱がされた。
藤ヶ谷は体格も腕力もベータ並みにはあるが、暴れようにも3人相手ではどうしようもない。
ワイシャツが胸の上まで乱暴に捲り上げられ、熱い肌が空気に触れた。
色づいた胸の飾りに視線が集まり、背筋に悪寒が走る。
嫌がる藤ヶ谷を楽し気に眺めるだけだった蓮池が、ベッドに手をついて顔を覗き込んできた。
その顔は笑ってはいたが、言い知れぬ嫌悪が滲み出ているようだった。
「今日はいつもよりもハイアルファの香りが強いね。萎えてしまったよ」
「え?」
「あのハイアルファの彼に、抱かれてきたのかな?」
「……っ」
嘲笑うように、蓮池の手がスルリと腹を這う。
藤ヶ谷は甘い声が上がりそうになるのを必死で耐える。
嫌なはずなのに、昂った身体はアルファの手を喜んで跳ねた。
「とんだ淫乱だ」
「ふざけるな! 杉野はそんな……っ」
激高し起きあがろうとすると、ベータの男1人に手を抑えられ、2人がかりで足を抑えつけられ動けなくなる。
殴ってやりたいほどだというのに、何も出来ず、腹立たしかった。
『後は俺に任せて帰ってください』
こんな時だというのに、杉野の澄ました声は鮮明に思い出せる。
いつもヒートの時には一番に気付いて、帰るように言ってくれる。
香りで気づいているということは、杉野自身が多少なりとも刺激されてるはずなのにそんなことはおくびにも出さず。
今日も、直前まで一緒に居たのは確かだ。
でもあんなに感情的になっていたにも関わらず、欲情してる様子は全く見せなかった。
少なくとも藤ヶ谷にはそう見えていた。
抱かれてきたなんて、間違いが起こらないようにと強い抑制剤を使っていつも気をつけてくれている杉野に対する侮辱だ。
「いい加減離せよ!」
怪我をさせてもいいと、強く足を強く蹴り上げてみる。
しかしやはり、2人分の力には敵わない。
あっさりとズボンを足から抜かれてしまった。
何もせず、ただ見ているだけの蓮池がにんまりと目を細めた。
「嫌がってる割には、もうぐっしょりだね」
露わになった青い下着には、色が変わるほどのシミができていた。
濡れているのは感覚的に分かってはいたが、いざ目にすると、布が自身の形が分かるほどに張り付いている様は異様に卑猥に見える。
藤ヶ谷は羞恥と屈辱で奥歯を噛み締めた。
これほどまでにオメガの体を呪ったことはない。
心とは裏腹に、見られているだけで反応してしまう。
こんなにも最悪な扱いを受けているのに、腰は熱を求めて揺れている。
もっと刺激がほしいと疼く。
『絶対行かないでください』
杉野の真っ直ぐな言葉が頭を過ぎった。
(言うこときいて、あのまま帰ってたら……っ)
後悔で胸はいっぱいだったが、もう遅い。
なすすべなく、下着をも脱がされる。
足を大きく左右に開かされ、勃ち上がり浅ましく雫をこぼすモノも、体内から分泌された蜜でぐずぐずになった蕾も。
4人の目の前に曝け出された。
それぞれが生唾を飲む音が聞こえる。
これから更に辱められるのだと思うと、吐き気がしそうだった。
もう何もかも捨てて快楽に身を任せた方が楽だ。
だがその前に、どうしても聞きたいことがあった。
「初めから……こんなつもりで……?」
「良い顔をするね」
絞り出した言葉には、またまともに返事をしてもらえなかった。
それでも凍えるような瞳が、答えを言っている。
元々、気持ちなどなかったのだと。
喉が張り付くように痛むのを感じながら、藤ヶ谷は泣くまいと眉に力を込めた。
「俺は、本当に蓮池さんが好きで」
「なら、好きにされて嬉しいだろう?」
藤ヶ谷は愕然とする。
あまりにも感情のこもらない声だった。
先刻まで、あんなにも愛情深い声を出していたのと同じ口から出たとは思えないほどに。
今まで見せられていたのはまやかしだったのだと、絶望する。
(理想の人なんているわけないのに、夢みすぎだろ。自業自得だよ俺のバカ)
なんとか今置かれた状況を飲み込み、心を無にしてしまおうと天井を見つめる。
その間に、出会ったばかりで顔もおぼろげな男のあらい息が太ももに近付いてくる。
心底気持ち悪いのに、体が期待して蕾がヒクつく。
触れてくれとでも言っているようだ。
(もうやだ、この体……っ)
藤ヶ谷は自身を呪い、抵抗を諦めて目を瞑る。
「藤ヶ谷さん! 居ますか!?」
完全に観念した時、けたたましい音と共に怒声に近い声が部屋中に響き渡った。
「おろしてください、待って……っ」
身体を捩り逃げ出そうとしたときにはもう遅かった。
興奮した様子の男3人が囲むベッドに放り出される。
大人が3人は余裕で寝られそうな大きなベッドが揺れ、金の刺繍のあるシーツに皺ができた。
下卑た笑いを顔に貼り付けている男たちからはアルファのフェロモンを感じないため、おそらくベータだ。
本来ベータの男性の性的な対象は、第二性を問わず女性であることが多い。
だがヒート中のオメガであれば話は変わってくる。
アルファほどではなくとも、ベータもオメガのフェロモンに反応するのだ。
その証拠に藤ヶ谷を見下ろす男たちの鼻息は荒く、下半身も主張しているのが見て取れた。
自身の状況を把握できず目を白黒させているうちに、6本の手が藤ヶ谷に伸びる。
混乱しながらも、藤ヶ谷は手を叩き落として抵抗の意を示した。
「触るな! ……っ、蓮池さん、これはいったいどういう、ぁっ」
2人の男が同時にスーツの上着を無遠慮に掴み、ボタンが弾け飛ぶ。
スーツはその勢いのまま脱がされた。
藤ヶ谷は体格も腕力もベータ並みにはあるが、暴れようにも3人相手ではどうしようもない。
ワイシャツが胸の上まで乱暴に捲り上げられ、熱い肌が空気に触れた。
色づいた胸の飾りに視線が集まり、背筋に悪寒が走る。
嫌がる藤ヶ谷を楽し気に眺めるだけだった蓮池が、ベッドに手をついて顔を覗き込んできた。
その顔は笑ってはいたが、言い知れぬ嫌悪が滲み出ているようだった。
「今日はいつもよりもハイアルファの香りが強いね。萎えてしまったよ」
「え?」
「あのハイアルファの彼に、抱かれてきたのかな?」
「……っ」
嘲笑うように、蓮池の手がスルリと腹を這う。
藤ヶ谷は甘い声が上がりそうになるのを必死で耐える。
嫌なはずなのに、昂った身体はアルファの手を喜んで跳ねた。
「とんだ淫乱だ」
「ふざけるな! 杉野はそんな……っ」
激高し起きあがろうとすると、ベータの男1人に手を抑えられ、2人がかりで足を抑えつけられ動けなくなる。
殴ってやりたいほどだというのに、何も出来ず、腹立たしかった。
『後は俺に任せて帰ってください』
こんな時だというのに、杉野の澄ました声は鮮明に思い出せる。
いつもヒートの時には一番に気付いて、帰るように言ってくれる。
香りで気づいているということは、杉野自身が多少なりとも刺激されてるはずなのにそんなことはおくびにも出さず。
今日も、直前まで一緒に居たのは確かだ。
でもあんなに感情的になっていたにも関わらず、欲情してる様子は全く見せなかった。
少なくとも藤ヶ谷にはそう見えていた。
抱かれてきたなんて、間違いが起こらないようにと強い抑制剤を使っていつも気をつけてくれている杉野に対する侮辱だ。
「いい加減離せよ!」
怪我をさせてもいいと、強く足を強く蹴り上げてみる。
しかしやはり、2人分の力には敵わない。
あっさりとズボンを足から抜かれてしまった。
何もせず、ただ見ているだけの蓮池がにんまりと目を細めた。
「嫌がってる割には、もうぐっしょりだね」
露わになった青い下着には、色が変わるほどのシミができていた。
濡れているのは感覚的に分かってはいたが、いざ目にすると、布が自身の形が分かるほどに張り付いている様は異様に卑猥に見える。
藤ヶ谷は羞恥と屈辱で奥歯を噛み締めた。
これほどまでにオメガの体を呪ったことはない。
心とは裏腹に、見られているだけで反応してしまう。
こんなにも最悪な扱いを受けているのに、腰は熱を求めて揺れている。
もっと刺激がほしいと疼く。
『絶対行かないでください』
杉野の真っ直ぐな言葉が頭を過ぎった。
(言うこときいて、あのまま帰ってたら……っ)
後悔で胸はいっぱいだったが、もう遅い。
なすすべなく、下着をも脱がされる。
足を大きく左右に開かされ、勃ち上がり浅ましく雫をこぼすモノも、体内から分泌された蜜でぐずぐずになった蕾も。
4人の目の前に曝け出された。
それぞれが生唾を飲む音が聞こえる。
これから更に辱められるのだと思うと、吐き気がしそうだった。
もう何もかも捨てて快楽に身を任せた方が楽だ。
だがその前に、どうしても聞きたいことがあった。
「初めから……こんなつもりで……?」
「良い顔をするね」
絞り出した言葉には、またまともに返事をしてもらえなかった。
それでも凍えるような瞳が、答えを言っている。
元々、気持ちなどなかったのだと。
喉が張り付くように痛むのを感じながら、藤ヶ谷は泣くまいと眉に力を込めた。
「俺は、本当に蓮池さんが好きで」
「なら、好きにされて嬉しいだろう?」
藤ヶ谷は愕然とする。
あまりにも感情のこもらない声だった。
先刻まで、あんなにも愛情深い声を出していたのと同じ口から出たとは思えないほどに。
今まで見せられていたのはまやかしだったのだと、絶望する。
(理想の人なんているわけないのに、夢みすぎだろ。自業自得だよ俺のバカ)
なんとか今置かれた状況を飲み込み、心を無にしてしまおうと天井を見つめる。
その間に、出会ったばかりで顔もおぼろげな男のあらい息が太ももに近付いてくる。
心底気持ち悪いのに、体が期待して蕾がヒクつく。
触れてくれとでも言っているようだ。
(もうやだ、この体……っ)
藤ヶ谷は自身を呪い、抵抗を諦めて目を瞑る。
「藤ヶ谷さん! 居ますか!?」
完全に観念した時、けたたましい音と共に怒声に近い声が部屋中に響き渡った。
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