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第32話終結クラス活動

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「結果は、『最大派』の意見が得票率一位で僅差で『福祉派』、最下位が『最小派』となります」

 開票結果を開示すると、最下位の『最小派』から文句が出る。

「『最大派』『福祉派』共に歩み寄っているが、『最小派』はコレなら受け入れてやる。という傲慢な姿勢で投票に臨んだのが敗因だ。本気で『最小原の労力で最大の成果』が欲しかったのなら、他の二派閥に “全員” で味方すれば良かったんだよ」

「だったら、教えてくれれば良かったじゃないか!?」

「善意見に妥協点を聞き出しているし、質問があるか聞いているんだからその段階で派閥を拡大すれば良かった。それに学級委員という立場なんだから、出来るだけ公平中立でいようとしただけだよ。責められるのは筋違いかな……」

 少年の顔からニヤニヤ笑いが消え、俺を睨み付ける。
 気にするほどではない。

「……と言う事で、『表彰されるぐらいデカイこと(物理的に残るモノだとなおのこと良し)』と言う目標を軸に、それを叶える方法決めて行きたいと思います。先ず『観光案内やパンフレット作製』これは、観光案内を出している観光課とか、街の商店街にアポを取る必要がある」

「つまり電話するか、直接会って貰う必要があるって訳だな」

 西郷さいごうの言葉を俺は肯定する。

「その通り、学生だけで行くのも冷やかしと思われ兼ねません……向こうの方と会う場合は先生に引率をお願いできませんか?」

「はい、分かりました。ただし、アポイントメントは自分達で取って下さいね? これも社会勉強の一環ですから」

 西郷さいごうは首を力強く立てに振った。

「俺が提案した『道路標識や、ミラー、街灯、横断歩道の設置』に付いてだが……」

 記憶を探ってその方法を思い出す。

「ん? どうした? 歯切れが悪いな?」

「すまんが、コレは直ぐに結果が出ないし設置できると確約も出来ない」

 相手を説得する際には、直ぐにバレる嘘や不安を見せてはいけないが、調べれば直ぐに分かる程度のことには本当のことを言った方がいい。と判断したからだ。

「ただでさえ予算を渋るお役所から、予算を捥ぎ取る必要があるものだ。オマケに提案するのはただの学生……「はい。そうですか」の一言で受け入れてもらえる訳はないわな……」

 俺の言葉に西郷さいごうや女子達は勢いを失う。

「これは他者を巻き込む西郷さいごうや女子達の案に言えることだ。『大人を子供のやることに巻き込む!!』これは難しいことだ。だけどやる価値はあると思う」

 西郷さいごうも俺の言葉に賛同する。

「そうだな……男は度胸! 何といっても俺達は高校生、出来ない理由を見つけてやらないよりは、何でも試してみるものさ!」

「……と言う訳で『物理的』に残って『社会から感謝される』案は、コレぐらいだと思う……前期・後期通年で『最大』と『福祉』案を通すコレが最良の選択だと俺は思う。もちろんクラスで相談の上幾つかの施設へ、ボランティアへ行くのは全然ありだと思う。」

「「「「「「――!?」」」」」」

「観光案内でも道路に何かを設置するにも、多くの人の要望であることを示すデータが必要だ。老人ホーム、小学校、病院なんかにアンケート用紙を置いて貰って、それを集計して意見を伝える。こうすれば公安委員会も説得しやすいんじゃないかな?」

 西郷さいごうの案を主に添えつつ、それを活かすために施設を回ることで、女子達が提案してくれた案を出来るだけ取り入れたモノへと昇華させることが出来た。

「これが俺が提案する二つの案を合体したアイディアです」

西郷さいごう達はこれでいいか?」

「最高だぜ。説得材料を調達する次いでに女子達のアイディアも生かせる! まさに一石二鳥だな。だが、アイディアを合体させる前提となるとパンフレットや観光案内よりは、高須たかすのアイディアの『道路に何かを設置』する方がいいかもな……」

「そう……だなすまんが折れてくれるか?」

 俺の言葉に西郷達は「しかたないな」「いいぜ」と承諾の言葉を次々と口にしてくれる。

「……」

あれ、女子の名前ってなんだっけ?

川崎かわさきさんよ。川崎かわさき・スペンセル・八重やえさん」

――――と菜月なつきさんが耳打ちをしてくれる。

スペンセルってスペンサーのスペイン語系だったよな? 

 この辺に棲んでるハーフだとロシアとかフィリピン、英語圏の人は珍しくないのにスペイン語系と言うだけで少しだけ物珍しく感じる。

「か、川崎かわさきさんもこれでいいかな?」

 ――――と恐る恐る訪ねる。

 明るい髪色をしたギャル。程度の認識しかしていなかったが、もしかして明るい髪色もメイクしていると思った顔も、素に近いのかもしれない。

「問題ないどころか、逆にここまで私達の意見を反映してくれて嬉しく思うわ」

「なら申し訳ないけど俺達二人と西郷さいごう川崎かわさき……別に二人じゃなくてもいいんだけど、仕事の調整をしたいからまた後日話す場を設けたいなと……」

「俺は問題ないぜ」

「私も別に構わないわ」

 ――――と西郷さいごう川崎かわさきは返事をする。

「ではこれで一学期にクラスで行うボランティア活動についての話し合いを終わります」

 俺は付かれた笑みを浮かべながら終了の言葉を口にした。
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