好きな幼馴染がバスケ部OBのチャラ男に寝取られたので、猛勉強して難関私立に合格しました。「父さん再婚したいんだ」継母の娘は超絶美少女でした
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
文字の大きさ
大中小
43 / 46
第45話ファミレス2
しおりを挟む「容保くん……」
心細かったのだろう。
菜月さんは噛み締めるように、俺の名前を口にした……
「それで、松ヶ浜の生徒と何かはなしでもあったの?」
「いえ。私は何の用事もなかったんだけど……」
そう言いながらあからさまに面倒くさそうな表情を浮かべ、小さく溜息を付いた。
「なんで学校バレテるの!?」
三人の内一人が驚愕の表情を浮かべる。
「お客様……」
事態を嗅ぎ付けた店員が来て事態を収束させた。
終始、笑顔のままでマニュアルと思われる文言だけでナンパ野郎を店外に追いやろうとするも、文句を垂れるヤンキー共。
この情報社会でスマホと言う、移動型監視カメラが一人一台のレベルで普及するこの世の中で、よくもここまでバカなことが出来ると心底感心する。
言い争う店員とヤンキー共の写真をパシャリと一枚とって置く……
「何してるの?」
ヤンキー共が怖かったのか向かいの席に座ったのに、態々隣に座り直してくる。その甘えたがりな態度にドキッと来る。
同じ洗剤・柔軟剤を使っているに……何でこんなにもいい匂いがするんだろう? シャンプー? リンス、ボディーソープそれともフェロモンの影響なのだろうか?
「お守りだよ」
俺はそう言うと座席に座りメニュー表を眺める。
ゴネるヤンキー共に最後の一撃を決める。警察呼びますよ? の一言で顔を青くして立ち去るそのようすは、滑稽以外の何物でもなかった。
………
……
…
菜月さんの勧めで普段は食べないサラダ系のメニューとドリア、シェア出来るピザなどを頼むと今日あった愚痴が始まった。
「私の方は色い良い返事は貰えなかったわ……」
「そうなんだ……」
「容保くんはどうだった?」
「二校ともなんとか協力してくれることになったけど……あまり協力的はなかったね……」
「それでも協力を取り付けられたんだ……やっぱり容保くんは凄いなぁ……」
「そんなことないよ。今日断られたとしても日を改めて行ったり、他の学校から協力を打診して貰えばいい。もしそれが無理そうなら諦めるしかないけどね……」
「そうだね……」
彼女の言葉には力が無かった。
一校目の半魚人もその上司もその態度は到底協力的といえるものではなかった……アレ半魚人の名前なんていったっけ? まぁいいか……
二校目は純粋に直近で体育祭があるらしく、準備に追われており連絡が遅れてしまったらしい……本当かよ? と思ったのだが、プリントを配布し回収するだけと説明すると、少し時間はかかるけど責任をもって対応してくれる事になった。
一校目にもこれぐらいの機転を利かせた対応をしてほしかった。
「暗い話はこの辺にして、美味しいご飯を食べようよ……」
「そうね……今は気にするよりも、気分転換した方がいいわね」
そう言ってコップに口を付けるが、既にコップは空になっていた。
コップをテーブルに置くと飲み物を取る為に、立ち上がろうとする。
少し強引にコップを奪うと質問した。
「俺が取ってくるよ。何がいい?」
「ありがとう……じゃぁジンジャーエールをお願い」
「了解」
短く返事を返すと、ドリンクバーに向かうため脚を進める。
すると店内の至る所に掛けれらた。レプリカの数々に改めて圧倒される。
ネットで見た話しによると、サイゼリアに始めて来た外国人の多くは、サイゼリアを高級レストランと勘違いするらしい。本当かよ……と懐疑的な目で見ていたのだが、コレは確かに高級店と言われれば信じてしまいそうになる。
ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』、『プリマヴェーラ』、ラファエロの『システィーナの聖母』、フラ・アンジェリコの『受胎告知』など宗教画や神話画は、陶器のような肌に塗られているものの極めて精密な絵画は、美術的なセンスの無い俺の目をも引き付ける。
おっといかんいかん。ジンジャーエールを補充しておかないと……と。
ジンジャーエールとコーラを携えた俺は、菜月さんの待つボックス席に戻る。
「ありがとう」
そう言って菜月さんは、ジンジャーエールの入ったコップを受け取る。
「いいよ。別に……今日は疲れたでしょ?」
「私も疲れたから、容保くんはもっと疲れたんじゃないかな? って思ったの……だから外食にしようって誘ったのよ」
「気を使ってくれてありがとう……それにしても金曜日でまだよかったよね」
「ホント。疲れるし、不快な気持ちになるしで何もいい事はなかったわ……独善的だけど、こんな人たちのためにボランティアをやらないといけないの? って何度思ったことか……」
「俺の担当の学校もそうだったよ。みんな仕事は増やしたく何だろうね……」
「そういうモノなのかしら……」
小エビのサラダにフォークを刺して口に運ぶ、サイゼリアソースが程よくかかったサラダは、プリプリとしたエビの甘みとレタスのシャキシャキ感が良くマッチしていて旨い。
「そういうものなんだろうね……」
そんな事を言いながら、匙でドリアを掬うと口に頬張る。
ホワイトソースとミートソース、チーズの味が複雑に絡まった。
深い味わいが舌を覆い尽くす。
粉チーズが有料になったり、ドリアの上のミートソースから挽肉が少なくなったりと、昨今の物価上昇の影響が至るところに見え隠れしているのことが、この国の哀愁を感じさせる。
個人的にはどこかで見たフォッカチオにガムシロップを付けるて食べる。と言うデザートをやりたいのだが、仮にも女の子を連れている今、そんな意地汚い真似をする勇気は無かった。
「今日は色々とありがとう。私のワガママでサイゼリアに行くことにして……助けてくれて……」
「そんな事無いよ。良い気分転換にもなったし、こっちこそ誘ってくれてありがとう」
「そう言って貰えてうれしいわ」
0
あなたにおすすめの小説
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる