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第二章 始まりの街防衛戦‼
第百七十六話 ゴブリン・ジェネラル戦
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時間は少し戻ってナギがゴブリン・キングと戦いが始まる少し前、完全に置いて行かれたドラゴ達は進路をふさぐように出て来たジェネラル2体を警戒しながら一度集合していた。
「おい、完全に美味しい所を持って行かれたんだが?」
「ははは…まぁ、気にしないのが一番ですよ。助けてもらったのに何か言える立場ではないですしね…」
完全に戦場の主役の座をナギに取られた形になった事にドラゴは不満に思っていたようだったが、その様子に焔は苦笑いを浮かべながらもっともな理由を言っていた。
その言い分にドラゴは不満は消せなくても納得はしたようで不貞腐れたような表情で大剣を持つ手に力を込めた。
「わかってる。ただ後で小言くらいはナギには付き合ってもらう!」
「それは少し楽しそうですね」
「どうせ返り討ちに合うだけだから止めといた方がいいと思うぞ?」
「右に同じく~」
戦いの後の事を話すドラゴと焔に合流してきたヒカリとホホがそろって一応止めた。なにせ今までにも自分達が何度となくナギをからかっては痛い目を見て来た経験があったからだ。それはドラゴと焔の2人も同じで、焔は少し意外かもしれないが最初にナギに会った時は少し下に見た態度を取って躾けられ今の真面目な焔へとなった。
今更ながらにその事を思い出した焔は怯えて体を震わせ、ドラゴに至っては一応昔を思い出したようだが他の三人ほどは気にしていないようだった。
「はいはい、何度も言うけどリアルでの内輪の話は後にしてね」
「今は目の前のこいつらに集中しろ!来るぞっ」
戦場の緊張感のないドラゴ達にグレンとエレンは注意を促したと同時にゴブリン・ジェネラルも動き出した。
6人の内4人が話に夢中になっているのを見て隙だと判断し2体は一斉に攻撃してきたのだ。
片方が盾を構えてタックルの体勢で突撃して、もう片方がその影に隠れるような形で突撃してきた。
そのためドラゴ達からは後方に居るゴブリン・ジェネラルの様子が確認できず必要以上に後ろの個体へと警戒する必要が産まれた。
「めんどくさい戦い方してくれんなぁ~」
「なんかどこかで見たことのあるような連携だ…」
迫って来る壁のようなゴブリン・ジェネラルを前にしてドラゴ達はまだ軽い感じで話していた。
それでも後少しで衝突すると気になると一斉に動き出した。
『『ロック・ウォール』』
衝突寸前に焔とエレンの2人で土魔術を使用して壁を作りだして動きを一瞬止めた。ゴブリン・ジェネラルはキング程の力がなかったからこそ成功した事ではあったが確かに生まれた一瞬の間にドラゴ達は、右がヒカリ・ホホ・エレンで、左がドラゴ・焔・グレンの3人ずつの二手に分かれた。
そして土壁をゴブリン・ジェネラルが粉砕して突破してくるのに合わせて左右から挟み込むように攻撃を仕掛けた。
ただゴブリン・ジェネラルは上級種だけあって素早い反応でそれぞれが盾を構えて防御姿勢へと切り替えた。
ガキンッ!と硬い鉄同士がぶつかる音が周囲に鳴り響いた。前衛職3人の攻撃は完璧に防がれて弾き飛ばされてしまった。
『ファイヤーボール』
『ウォーターボール』
『ライトボール』
だが前衛職が弾き飛ばされるのを予め予想していた残り3人がそれぞれ最初に習得していた属性魔術で攻撃した。
3種類のボール系の魔法は火球・水球・光球で、火球はジェネラルの身に着けている鎧に軽く焦げ跡を残し、水球は軽く肩を弾いて体を震わせる程度、最後の光球は衝突したのが素肌の出ている部分だった事もあって一番ダメージを与えられていた。
それを最初の攻撃で確認した3人は無言で頷き合うと水以外の属性で素肌を狙って攻撃を繰り返した。
もっとも別にゴブリン・ジェネラルも無抵抗で攻撃を受け続けるはずもなく、数度攻撃に当たると次からは対応するように手に持つ盾を器用に振り回して魔術を振り払うようにして防いで見せた。
さすがにこれだけ早く対応されるのは予想外だったが、焔達3人が必死に攻撃している間に遠くに飛ばされたドラゴ達が戻って来て進撃に構えた。
「盾を持っているだけあって硬いな」
「それに力が大剣使いの戦士以上ってところも厄介だな。幸いなのは魔術系統の攻撃は比較的通りやすいと言う事だけか」
「そうだね~魔術系も効くけど、鎧越しだと初級の魔術はほとんど効果なし。素肌には何とか効くみたいだけどね~」
再度集合すると今の戦闘で得た情報を冷静に口にして整理する。なにせゴブリン・ジェネラルやキングとの戦いはドラゴ達も初めてで情報なんてろくに揃っていなくて、戦いながら情報を集める必要があったのだ。
その情報を聞いたドラゴ達は軽い視線の意思疎通で慣れたように今後の動きを決めて、後衛の焔達が一斉に魔術攻撃を開始した。
だが慣れた魔術攻撃は2体のゴブリン・ジェネラルにとって大した脅威ではなく、先ほどまでと同じように器用に盾を振り回して全て捌き切った。
そして最後の攻撃をゴブリン・ジェネラルが消し去り突撃しようとすると盾を下ろすと、その目の前に高く跳んだヒカリとグレンが2体それぞれの前に現れた。
『『グギャ⁉』』
『『ペネトレーション!』』
急に目の前に出て来た敵の姿に驚くゴブリン・ジェネラルの顔面に2人は容赦なくアーツを使用して槍を放った。
その槍に反応が間に合わずゴブリン・ジェネラルは無防備に顔に当たった。当たった瞬間にガンッ!と盛大な衝突音がしてゴブリン・ジェネラルは大きくのけ反った。
更にそこへ合わせるように2体の間にドラゴが入り込んで剣を構えた。
「これでも喰らっとけッ!」『サークルスラッシュ!』
今までの鬱憤を晴らすように全力で叫んだドラゴは範囲攻撃型のアーツを使用して、防御の薄いジェネラルの腰を切りつけた。
『『ッ⁉』』
「これで転んでください」『ロック・ウォール』
丁寧な言葉遣いとは裏腹に焔はよろめいているゴブリン・ジェネラルの足をすくい上げる形で土壁をせり上がらせた。これは何度もナギの戦い方を見ていて覚えた魔術の使い方を早速真似したのだ。
それは成功して2体のゴブリン・ジェネラルは後ろにぶっ倒れた。
「よっしゃー!今が攻め時だぁーーーー‼」
完全に倒れたのを見たドラゴは本当にストレスが溜まっていたのか好機だ!とばかりに飛び上がってむき出しの首目掛けて剣を突き刺した。それに続くように前衛職のヒカリとグレンの2人もむき出しの場所へと攻撃を繰り出した。
もちろん倒れていてもゴブリン・ジェネラルも無抵抗で居る訳ではなく鎧の重さで簡単には起き上がれなかっただが、それでも必死にもがくように地面の上で暴れ回った。
ヒカリとグレンはすぐに反応して避けられたが、興奮した様子で執拗に攻撃していたドラゴだけは動きが遅れて殴り飛ばされてしまった。もっとも完全に自業自得なので誰も心配したりせずに前衛が簡単に近寄れなくなったこともあって、入れ替わるように後衛のホホ・焔・エレンの3人が攻撃を始めた。
『ライト・ランス』
『ロック・ランス』
『ファイヤー・ランス』
現在のレベルで使える一番攻撃力の高い魔術で一斉に攻撃をした。すべてがランス系と呼ばれる属性に合った物の形を槍状にして飛ばす魔術だった。
その攻撃も鎧に当たらない箇所を狙って何度も放ってHPがレッドゾーンに入るころにはMP切れで息も絶え絶えと言った状態になっていた。だが倒し切れていないのはわかったので、3人はMP回復ポーションですぐにMPを回復して動き出さないようにとどめに3発ずつ放って倒した。
そして完全にゴブリン・ジェネラルの体が光となって消えたのを確認すると全員が息を吐いて胸を撫で下ろした。
「ふぅ……もっとレベル上げるだけじゃない部分も鍛えた方が良さそうだな…」
「兄さんに特訓でも付けて…いや、別の場所で探そう」
「あぁそうしろ。早死にしたくないなら本当に…」
今回の戦いでレベルやスキルに頼り切った戦い方では苦労すると分かったドラゴがしみじみと話すと、それに同意するようヒカリが頷いて答えた。
もっとも普段のナギとその師匠との特訓内容を知っているので光が提案しようとした『ナギに特訓を付けてもらう』と言う案はすぐに無かったことにされた。誰もあんな特訓には参加したくなかった。
ただ知っているドラゴ達はともかくとして特訓と言う内容にグレンとエレンの2人は興味を示して、後でこっそりと聞いてみようと決めた。
その後はポーションでHPとMPの両方をある程度回復したドラゴ達は周囲の雑魚の掃討、更にまだ倒せていないゴブリン・ジェネラルの元に援軍として向かうのだった。
「おい、完全に美味しい所を持って行かれたんだが?」
「ははは…まぁ、気にしないのが一番ですよ。助けてもらったのに何か言える立場ではないですしね…」
完全に戦場の主役の座をナギに取られた形になった事にドラゴは不満に思っていたようだったが、その様子に焔は苦笑いを浮かべながらもっともな理由を言っていた。
その言い分にドラゴは不満は消せなくても納得はしたようで不貞腐れたような表情で大剣を持つ手に力を込めた。
「わかってる。ただ後で小言くらいはナギには付き合ってもらう!」
「それは少し楽しそうですね」
「どうせ返り討ちに合うだけだから止めといた方がいいと思うぞ?」
「右に同じく~」
戦いの後の事を話すドラゴと焔に合流してきたヒカリとホホがそろって一応止めた。なにせ今までにも自分達が何度となくナギをからかっては痛い目を見て来た経験があったからだ。それはドラゴと焔の2人も同じで、焔は少し意外かもしれないが最初にナギに会った時は少し下に見た態度を取って躾けられ今の真面目な焔へとなった。
今更ながらにその事を思い出した焔は怯えて体を震わせ、ドラゴに至っては一応昔を思い出したようだが他の三人ほどは気にしていないようだった。
「はいはい、何度も言うけどリアルでの内輪の話は後にしてね」
「今は目の前のこいつらに集中しろ!来るぞっ」
戦場の緊張感のないドラゴ達にグレンとエレンは注意を促したと同時にゴブリン・ジェネラルも動き出した。
6人の内4人が話に夢中になっているのを見て隙だと判断し2体は一斉に攻撃してきたのだ。
片方が盾を構えてタックルの体勢で突撃して、もう片方がその影に隠れるような形で突撃してきた。
そのためドラゴ達からは後方に居るゴブリン・ジェネラルの様子が確認できず必要以上に後ろの個体へと警戒する必要が産まれた。
「めんどくさい戦い方してくれんなぁ~」
「なんかどこかで見たことのあるような連携だ…」
迫って来る壁のようなゴブリン・ジェネラルを前にしてドラゴ達はまだ軽い感じで話していた。
それでも後少しで衝突すると気になると一斉に動き出した。
『『ロック・ウォール』』
衝突寸前に焔とエレンの2人で土魔術を使用して壁を作りだして動きを一瞬止めた。ゴブリン・ジェネラルはキング程の力がなかったからこそ成功した事ではあったが確かに生まれた一瞬の間にドラゴ達は、右がヒカリ・ホホ・エレンで、左がドラゴ・焔・グレンの3人ずつの二手に分かれた。
そして土壁をゴブリン・ジェネラルが粉砕して突破してくるのに合わせて左右から挟み込むように攻撃を仕掛けた。
ただゴブリン・ジェネラルは上級種だけあって素早い反応でそれぞれが盾を構えて防御姿勢へと切り替えた。
ガキンッ!と硬い鉄同士がぶつかる音が周囲に鳴り響いた。前衛職3人の攻撃は完璧に防がれて弾き飛ばされてしまった。
『ファイヤーボール』
『ウォーターボール』
『ライトボール』
だが前衛職が弾き飛ばされるのを予め予想していた残り3人がそれぞれ最初に習得していた属性魔術で攻撃した。
3種類のボール系の魔法は火球・水球・光球で、火球はジェネラルの身に着けている鎧に軽く焦げ跡を残し、水球は軽く肩を弾いて体を震わせる程度、最後の光球は衝突したのが素肌の出ている部分だった事もあって一番ダメージを与えられていた。
それを最初の攻撃で確認した3人は無言で頷き合うと水以外の属性で素肌を狙って攻撃を繰り返した。
もっとも別にゴブリン・ジェネラルも無抵抗で攻撃を受け続けるはずもなく、数度攻撃に当たると次からは対応するように手に持つ盾を器用に振り回して魔術を振り払うようにして防いで見せた。
さすがにこれだけ早く対応されるのは予想外だったが、焔達3人が必死に攻撃している間に遠くに飛ばされたドラゴ達が戻って来て進撃に構えた。
「盾を持っているだけあって硬いな」
「それに力が大剣使いの戦士以上ってところも厄介だな。幸いなのは魔術系統の攻撃は比較的通りやすいと言う事だけか」
「そうだね~魔術系も効くけど、鎧越しだと初級の魔術はほとんど効果なし。素肌には何とか効くみたいだけどね~」
再度集合すると今の戦闘で得た情報を冷静に口にして整理する。なにせゴブリン・ジェネラルやキングとの戦いはドラゴ達も初めてで情報なんてろくに揃っていなくて、戦いながら情報を集める必要があったのだ。
その情報を聞いたドラゴ達は軽い視線の意思疎通で慣れたように今後の動きを決めて、後衛の焔達が一斉に魔術攻撃を開始した。
だが慣れた魔術攻撃は2体のゴブリン・ジェネラルにとって大した脅威ではなく、先ほどまでと同じように器用に盾を振り回して全て捌き切った。
そして最後の攻撃をゴブリン・ジェネラルが消し去り突撃しようとすると盾を下ろすと、その目の前に高く跳んだヒカリとグレンが2体それぞれの前に現れた。
『『グギャ⁉』』
『『ペネトレーション!』』
急に目の前に出て来た敵の姿に驚くゴブリン・ジェネラルの顔面に2人は容赦なくアーツを使用して槍を放った。
その槍に反応が間に合わずゴブリン・ジェネラルは無防備に顔に当たった。当たった瞬間にガンッ!と盛大な衝突音がしてゴブリン・ジェネラルは大きくのけ反った。
更にそこへ合わせるように2体の間にドラゴが入り込んで剣を構えた。
「これでも喰らっとけッ!」『サークルスラッシュ!』
今までの鬱憤を晴らすように全力で叫んだドラゴは範囲攻撃型のアーツを使用して、防御の薄いジェネラルの腰を切りつけた。
『『ッ⁉』』
「これで転んでください」『ロック・ウォール』
丁寧な言葉遣いとは裏腹に焔はよろめいているゴブリン・ジェネラルの足をすくい上げる形で土壁をせり上がらせた。これは何度もナギの戦い方を見ていて覚えた魔術の使い方を早速真似したのだ。
それは成功して2体のゴブリン・ジェネラルは後ろにぶっ倒れた。
「よっしゃー!今が攻め時だぁーーーー‼」
完全に倒れたのを見たドラゴは本当にストレスが溜まっていたのか好機だ!とばかりに飛び上がってむき出しの首目掛けて剣を突き刺した。それに続くように前衛職のヒカリとグレンの2人もむき出しの場所へと攻撃を繰り出した。
もちろん倒れていてもゴブリン・ジェネラルも無抵抗で居る訳ではなく鎧の重さで簡単には起き上がれなかっただが、それでも必死にもがくように地面の上で暴れ回った。
ヒカリとグレンはすぐに反応して避けられたが、興奮した様子で執拗に攻撃していたドラゴだけは動きが遅れて殴り飛ばされてしまった。もっとも完全に自業自得なので誰も心配したりせずに前衛が簡単に近寄れなくなったこともあって、入れ替わるように後衛のホホ・焔・エレンの3人が攻撃を始めた。
『ライト・ランス』
『ロック・ランス』
『ファイヤー・ランス』
現在のレベルで使える一番攻撃力の高い魔術で一斉に攻撃をした。すべてがランス系と呼ばれる属性に合った物の形を槍状にして飛ばす魔術だった。
その攻撃も鎧に当たらない箇所を狙って何度も放ってHPがレッドゾーンに入るころにはMP切れで息も絶え絶えと言った状態になっていた。だが倒し切れていないのはわかったので、3人はMP回復ポーションですぐにMPを回復して動き出さないようにとどめに3発ずつ放って倒した。
そして完全にゴブリン・ジェネラルの体が光となって消えたのを確認すると全員が息を吐いて胸を撫で下ろした。
「ふぅ……もっとレベル上げるだけじゃない部分も鍛えた方が良さそうだな…」
「兄さんに特訓でも付けて…いや、別の場所で探そう」
「あぁそうしろ。早死にしたくないなら本当に…」
今回の戦いでレベルやスキルに頼り切った戦い方では苦労すると分かったドラゴがしみじみと話すと、それに同意するようヒカリが頷いて答えた。
もっとも普段のナギとその師匠との特訓内容を知っているので光が提案しようとした『ナギに特訓を付けてもらう』と言う案はすぐに無かったことにされた。誰もあんな特訓には参加したくなかった。
ただ知っているドラゴ達はともかくとして特訓と言う内容にグレンとエレンの2人は興味を示して、後でこっそりと聞いてみようと決めた。
その後はポーションでHPとMPの両方をある程度回復したドラゴ達は周囲の雑魚の掃討、更にまだ倒せていないゴブリン・ジェネラルの元に援軍として向かうのだった。
応援ありがとうございます!
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