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大六章 死神戦
第二百六十六話 新たな素材を探して《1》
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借りた作業場で一通りの作業を終えて落ち着いたナギとソルテは休憩スペースの机に座りながら、新たに出てきた問題について真剣に話し合っていた。
「う~ん…手持ちの素材だと限界だな」
『そうですね。もう全部試しちゃいましたから…』
その問題とは手持ち素材の限界だった。
なにせ今のナギの手持ちの素材は基本的には始まりの街周辺の魔物なので種類も多くないし、何よりもランクと品質共に低かった。
だから手持ちの素材を使っても更に追加の効果を期待することは難しく、なにか変化を期待することができなかった。
「はぁ…少し面倒だけど時間を掛けて他の素材を集めに行くか」
『気軽に言いますけど、つまりはより強い魔物と戦いに行くってことですよね?』
「そうなるだろうな。たいていの魔物は倒しつくしたし、次は今までよりのフィールドのより奥地に行くことになるしな!」
『やっぱり楽しそうですね…』
鍛冶はもちろんだが戦闘に関しても別の意味で楽しそうなナギの様子にソルテはどこか疲れたようだった。
どうしても戦闘に対しては苦手意識が強いソルテは乗り気に慣れないだけなので、今回は本当に素材が必要なので拒否もできないので余計に憂鬱になっていた。
そんなソルテの気持ちに気が付けるナギではなかった。
「さて、まずは何処に向かうかな~山は少し飽きてきたしな」
『確かにそうですね。たまには違う場所も見たいですしね~』
「まずは始まりの街の北の草原でも制覇してみるか!」
『あそこにいるのは…ラビットが中心でしたっけ?』
「そのはずだ。他にも何か隠し条件の存在する可能性はあるはずだ」
何か情報を集めたわけではなかったが決闘のイベントの運営発表の確認していたナギは一種の核心を持っていた。
その無駄に強い自信を感じ取ってソルテは何も意見を出せなくなった。
「さて、まずは草原を進むならAGIに補正のかかる武器を持った方がいいか」
『素早く探索するのなら必要だと思いますね』
「だとすると、短剣か双剣を中心に3個ってところか」
そう言って今回使用する武器を考えながらナギは始まりの街の中を移動し始めた。
途中で人に集られるのは嫌だったので路地を移動していたので少し時間が多くかかったが、無事に北の草原に出ることができた。
「よし!今回は戦闘が長引くとも限らないし、装備するだけで効果を発揮する物を中心にしよう」
『もうレベルだいぶ上がりましたからね…生産職のはずなのに…』
「ははは!メインは生産職でも、サブは戦闘職を選んであるからいいんだよ‼」
誤魔化すように大きく笑ったナギは決めた武器を棺を出して取り出して装備して、棺の方はアイテムボックスに仕舞った。
その様子をソルテは不思議そうに首をかしげていた。
『今日はあれ持ち歩かないんですか?せっかく練習したのに…』
「鉱山なんかは比較的速度の遅い魔物中心だったから問題なかっただけで、普通はあんな無駄に大きくて重い物なんか持ち歩けるかって話だよ」
『あ、それもそうですね』
「という事で、今回は速度と効率を優先で走り回りながら倒していくぞ!ついでに薬草も採取していこう。そろそろ他のスキルも成長させたいしな」
『了解です!』
元気のいい返事を聞いたナギが笑顔を浮かべると横の草の中から息をひそめていたラビットが突進してきた。
だがレベルが上がった今の状態では敵と認識する必要もなく反射的に放った短剣の一撃でラビットは真っ二つに切られて倒れた。
もはやラビットには興味すらないナギは消えた事だけを確認すると姿勢を低くして走り出した。
『なんか一瞬で倒してませんでした⁉』
「あんなのは敵ですらないから知らん、それよりも他に見たことのない魔物がいないか反応のある個所を教えてくれ」
『わかりました!えっと…右斜め前方200m‼』
「よし!」
ソルテから一を聞くとナギは一瞬だけ足に力を溜めて一気に飛び出した。
距離が大きく離れていない事もあって数十秒で目的の場所が見えてきたが、その姿がラビットだとわかると一気に興味をなくし置き土産的に火球を3発放って別方向へと向きを変えた。
「もっと大きの反応を探してくれ…」
『は、はい!すぐに探します‼』
あからさまに落胆しているナギからの強い圧に怯えながらソルテは急いで周囲を探査する。
ただソルテに感知できるのは地面に接している相手だけなので空や木の上にいる魔物はわからなかった。
それでも二度連続で期待外れの相手を見つけると何を言われるかわからないので、必死に自分の探査範囲をギリギリまで広げて必死に探していた。
『えっと……あ!このまま前進して532mに大きめ反応確認しました!』
「わかった!」
今度こそは大物であるように期待してナギは本気で走り出した。
周囲の景色が後ろに飛ぶように流れるほどの速度にソルテは必死にしがみついていた。
距離が伸びたので50秒ほど経ったが今度はハッキリと姿が見えるとナギも見たことがなかった。
「これは…闘牛?」
そこにいたのは普通の牛よりも発達した筋肉のついていてナギには以前にテレビで観た闘牛に出ていた牛に似ていた。ただAOの牛の方が肌が少し赤く鼻息も荒く、まさに暴れ牛といった感じだった。
「う~ん…見た目だけ見ると強そうには見えないけど、まぁ戦ってみればわかるか!」
どう見ても普通の動物の牛にしか見えずナギは強そうに思えなかったが、一先ず今回の目的は素材採取なので気にしないことにした。
そうと決めたナギはまだ気が付いていない闘牛モドキに奇襲を仕掛けて一気に倒そうとした。
狙うのは首と心臓だけだ。
「ふっ‼」
『ギュッ⁉』
短く息を吐きだしながらの一撃は綺麗に闘牛モドキの首へと決まった。
ただ見た目よりもタフなのか切り飛ばすことはできずHPは一気に3分の2は削ったが倒すことはできなかった。
「変な声、そして弱いな…」
最初から期待はしていなかったとは言っても少しは苦戦しないかな?くらいの気持ちは持っていたナギは、想像通りに弱い相手に落胆していた。
それでも魔物を倒すのが今回の目的なので楽しくないのなら引き延ばす理由もなく、次の一撃で倒すと別の魔物を求めて草原のより奥へと走り去った。
ただその後ろ姿を見つめる者があったことに2人は気が付くことはなかった。
「う~ん…手持ちの素材だと限界だな」
『そうですね。もう全部試しちゃいましたから…』
その問題とは手持ち素材の限界だった。
なにせ今のナギの手持ちの素材は基本的には始まりの街周辺の魔物なので種類も多くないし、何よりもランクと品質共に低かった。
だから手持ちの素材を使っても更に追加の効果を期待することは難しく、なにか変化を期待することができなかった。
「はぁ…少し面倒だけど時間を掛けて他の素材を集めに行くか」
『気軽に言いますけど、つまりはより強い魔物と戦いに行くってことですよね?』
「そうなるだろうな。たいていの魔物は倒しつくしたし、次は今までよりのフィールドのより奥地に行くことになるしな!」
『やっぱり楽しそうですね…』
鍛冶はもちろんだが戦闘に関しても別の意味で楽しそうなナギの様子にソルテはどこか疲れたようだった。
どうしても戦闘に対しては苦手意識が強いソルテは乗り気に慣れないだけなので、今回は本当に素材が必要なので拒否もできないので余計に憂鬱になっていた。
そんなソルテの気持ちに気が付けるナギではなかった。
「さて、まずは何処に向かうかな~山は少し飽きてきたしな」
『確かにそうですね。たまには違う場所も見たいですしね~』
「まずは始まりの街の北の草原でも制覇してみるか!」
『あそこにいるのは…ラビットが中心でしたっけ?』
「そのはずだ。他にも何か隠し条件の存在する可能性はあるはずだ」
何か情報を集めたわけではなかったが決闘のイベントの運営発表の確認していたナギは一種の核心を持っていた。
その無駄に強い自信を感じ取ってソルテは何も意見を出せなくなった。
「さて、まずは草原を進むならAGIに補正のかかる武器を持った方がいいか」
『素早く探索するのなら必要だと思いますね』
「だとすると、短剣か双剣を中心に3個ってところか」
そう言って今回使用する武器を考えながらナギは始まりの街の中を移動し始めた。
途中で人に集られるのは嫌だったので路地を移動していたので少し時間が多くかかったが、無事に北の草原に出ることができた。
「よし!今回は戦闘が長引くとも限らないし、装備するだけで効果を発揮する物を中心にしよう」
『もうレベルだいぶ上がりましたからね…生産職のはずなのに…』
「ははは!メインは生産職でも、サブは戦闘職を選んであるからいいんだよ‼」
誤魔化すように大きく笑ったナギは決めた武器を棺を出して取り出して装備して、棺の方はアイテムボックスに仕舞った。
その様子をソルテは不思議そうに首をかしげていた。
『今日はあれ持ち歩かないんですか?せっかく練習したのに…』
「鉱山なんかは比較的速度の遅い魔物中心だったから問題なかっただけで、普通はあんな無駄に大きくて重い物なんか持ち歩けるかって話だよ」
『あ、それもそうですね』
「という事で、今回は速度と効率を優先で走り回りながら倒していくぞ!ついでに薬草も採取していこう。そろそろ他のスキルも成長させたいしな」
『了解です!』
元気のいい返事を聞いたナギが笑顔を浮かべると横の草の中から息をひそめていたラビットが突進してきた。
だがレベルが上がった今の状態では敵と認識する必要もなく反射的に放った短剣の一撃でラビットは真っ二つに切られて倒れた。
もはやラビットには興味すらないナギは消えた事だけを確認すると姿勢を低くして走り出した。
『なんか一瞬で倒してませんでした⁉』
「あんなのは敵ですらないから知らん、それよりも他に見たことのない魔物がいないか反応のある個所を教えてくれ」
『わかりました!えっと…右斜め前方200m‼』
「よし!」
ソルテから一を聞くとナギは一瞬だけ足に力を溜めて一気に飛び出した。
距離が大きく離れていない事もあって数十秒で目的の場所が見えてきたが、その姿がラビットだとわかると一気に興味をなくし置き土産的に火球を3発放って別方向へと向きを変えた。
「もっと大きの反応を探してくれ…」
『は、はい!すぐに探します‼』
あからさまに落胆しているナギからの強い圧に怯えながらソルテは急いで周囲を探査する。
ただソルテに感知できるのは地面に接している相手だけなので空や木の上にいる魔物はわからなかった。
それでも二度連続で期待外れの相手を見つけると何を言われるかわからないので、必死に自分の探査範囲をギリギリまで広げて必死に探していた。
『えっと……あ!このまま前進して532mに大きめ反応確認しました!』
「わかった!」
今度こそは大物であるように期待してナギは本気で走り出した。
周囲の景色が後ろに飛ぶように流れるほどの速度にソルテは必死にしがみついていた。
距離が伸びたので50秒ほど経ったが今度はハッキリと姿が見えるとナギも見たことがなかった。
「これは…闘牛?」
そこにいたのは普通の牛よりも発達した筋肉のついていてナギには以前にテレビで観た闘牛に出ていた牛に似ていた。ただAOの牛の方が肌が少し赤く鼻息も荒く、まさに暴れ牛といった感じだった。
「う~ん…見た目だけ見ると強そうには見えないけど、まぁ戦ってみればわかるか!」
どう見ても普通の動物の牛にしか見えずナギは強そうに思えなかったが、一先ず今回の目的は素材採取なので気にしないことにした。
そうと決めたナギはまだ気が付いていない闘牛モドキに奇襲を仕掛けて一気に倒そうとした。
狙うのは首と心臓だけだ。
「ふっ‼」
『ギュッ⁉』
短く息を吐きだしながらの一撃は綺麗に闘牛モドキの首へと決まった。
ただ見た目よりもタフなのか切り飛ばすことはできずHPは一気に3分の2は削ったが倒すことはできなかった。
「変な声、そして弱いな…」
最初から期待はしていなかったとは言っても少しは苦戦しないかな?くらいの気持ちは持っていたナギは、想像通りに弱い相手に落胆していた。
それでも魔物を倒すのが今回の目的なので楽しくないのなら引き延ばす理由もなく、次の一撃で倒すと別の魔物を求めて草原のより奥へと走り去った。
ただその後ろ姿を見つめる者があったことに2人は気が付くことはなかった。
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