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大六章 死神戦
第二百七十三話 新装備完成!
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「………」
『………』
初めて新素材を使っての試作をしてから現実での数日後、連日に渡って新素材を使っての装備の制作をしていたナギとソルテの2人は燃え尽きていた。もはや動く気力すらない2人は作業場の休憩スペースに行くことすらできずに橋の壁際で寄りかかって座っていた。
その周辺には無数の武具が転がっていてすべてが緑や赤など色とりどりで少し目が痛くなるほどだった。
中には色は通常の鈍い鉄色なのだが不思議なオーラのようなものを常に纏っているような物もあった。
しかし今のナギとソルテには回収して確認する余裕も残っていなかった。
「ちょっと必要だからって…やりすぎたな…」
『テンション上がりすぎました…』
「次からは気を付けよう。とりあえず、今は目の前の山を仕舞っておくか…」
さすがにいつまでも放置しているわけにもいかないのでナギは怠い気分なのを無理やり抑えて、アイテムボックスから取り出した死神の棺に全部を放り込んだ。入れ方は雑もいいところだが入れた瞬間には骨の腕が動き出して整理整頓された状態になっていた。
この効果のおかげで中は綺麗に並んだ武器庫のようになっていた。
少し前までは便利だとナギも思っていた棺も面倒事を呼ぶ種だと知った今は、そんな素直に喜ぶことができなかった。
「はぁ…とりあえず武具的な意味での準備はこんなものでいいとするか、変にこだわっても本当に切りがないからな。あとは俺のまだ作れない鎧とかの防具系はゴド爺さんの作ってくれた奴を買わせてもらおう」
『それがいいですね。武器なら使えるレベルの物なら店の物よりも、主様の作った物の方が品質高いですからね!』
「いや、品質とかは高いけど攻撃力や特殊効果を安定して高い水準で作れる能力は俺にはないしな。なにより店で売っているのは知らない奴にも買わせてもいい物って基準で並べてる気がするんだよな…」
『あぁ…それはしていると思いますね。腕の立つ職人ほど自分の作品を使わせる人を選ぶ傾向が強いですから』
「何事も極めることのできる者は癖が強いってことだな」
『ははは!それは間違いないです‼』
なにかツボにでもはまったのかソルテは本当に楽しそうにお腹を抱えて笑っていた。
さすがに頭の上で笑われるのは少し邪魔くさかったがナギも自分で言っていて面白かったのか笑みを浮かべていて、特に何か言うことはしなかった。
それから少しの間なにをするでもなく床に座ったまま休息をとったナギとソルテはようやく動き出した。
「さてっと、少し手間だけど作った奴の性能確認はしておくか?」
『全部確認すると時間が掛かりますし、めぼしい物を2~3個がいいと思います!』
「……それもそうだな。適当に見た感じ強そうなのを選んで鑑定するとしよう」
改めて考えると全部を鑑定する手間などが冗談ではないほどに膨大で、なのでソルテの提案にナギは同意して何がいいか棺の中を確認して決めた。
しばらく悩んだ末にナギが選んだのは赤い短剣・黒い槍・紫の短剣だった。
『お、その三品ですか…選んだ基準を聞いてもいいですか?』
「別に大した理由はないが、どれもが使った素材が面白かったからな。この赤いのは鷲か鷹なのかは忘れたけど、鳥のくちばしを使ったはずなのにこの色だ。倒すのに苦労したからには何か面白い効果があるかと期待してだ」
『なるほど、そういう事なら他の二つも納得ですね!』
「だろうな。まずはちょうど手に持っていることだし、これから確認するか」『鑑定』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
赤翼の短剣 品質 良 ランク 4
耐久値 40/40 攻撃力 53
効果:重量軽減:小・貫通力強化:小
備考:特殊な加工の末に生み出された赤色に染まった短剣。その重さは羽のように軽く、より鋭利になっている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「名前のわりに効果が微妙だな」
鑑定結果を確認したナギは思わず不満げにそう漏らした。なにせ色に関係するような能力になると思っていただけに、そう思える効果がないことに少し残念に思っていたのだ。
ただソルテは別に気にしていないようだった。
『微妙ですけど、悪く話ないと思いますよ。短剣に重量軽減は宝の持ち腐れだとは思いますけど…』
「確かに悪くはないんだけど…まぁいいか、望みすぎても意味はないしな。あんま期待しすぎないうちに他の二つも鑑定済ませるか!」
一つ目で微妙な結果だったのでナギは他の二つも期待できないと判断したようで、残りの二つを一気に鑑定してしまう事にしたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
黒獅子槍 品質 良 ランク 4
耐久値 72/72 攻撃力 86
効果:剛力・貫通力強化:中
備考:特殊な加工の末に生み出された漆黒の槍。素材となった獅子の力が宿り所有者の力を2倍にする。
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毒短剣 品質 良 ランク 3
耐久値 30/30 攻撃力 25
効果:毒付与《弱毒:麻痺毒》
備考:特殊な加工の末に生み出された紫色の短剣。魔力を流すと刃から毒を生み出す力を持ち、弱毒と麻痺毒を選択して使う事ができる。
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「おぉ~!この二つは思いのほかあたりだな‼個人的には毒の短剣が最高だな」
表示された二つの鑑定結果にナギは嬉しそうにして、特に奇異に言っている紫色の毒短剣を手に持った。
その反応にソルテは少し不気味そうに顔を引きつらせていた。
『よりによってそっちですか?』
「強敵を相手にするときは毒ほど役立つものはないんだから当たり前だろ。あとは面倒な奴に絡まれたときには麻痺させて逃げられるしな!」
『あ、そっちがメインですね…わかりました』
最後の理由の方が表情が明るかったナギを見て本音を理解したソルテは必要以上に質問することをやめた。今までの経験からこんな表情の時のナギは危ないことを考えているとわかっていたからだ。
そして目的通りの確認は終えたのだが面白くなってきたのかナギは追加でも他に気になっていた武器の鑑定を始めてしまい、なんだか表情が怪しくなってきたのを確認したソルテは少しの間逃げるように距離を取るのだった。
『………』
初めて新素材を使っての試作をしてから現実での数日後、連日に渡って新素材を使っての装備の制作をしていたナギとソルテの2人は燃え尽きていた。もはや動く気力すらない2人は作業場の休憩スペースに行くことすらできずに橋の壁際で寄りかかって座っていた。
その周辺には無数の武具が転がっていてすべてが緑や赤など色とりどりで少し目が痛くなるほどだった。
中には色は通常の鈍い鉄色なのだが不思議なオーラのようなものを常に纏っているような物もあった。
しかし今のナギとソルテには回収して確認する余裕も残っていなかった。
「ちょっと必要だからって…やりすぎたな…」
『テンション上がりすぎました…』
「次からは気を付けよう。とりあえず、今は目の前の山を仕舞っておくか…」
さすがにいつまでも放置しているわけにもいかないのでナギは怠い気分なのを無理やり抑えて、アイテムボックスから取り出した死神の棺に全部を放り込んだ。入れ方は雑もいいところだが入れた瞬間には骨の腕が動き出して整理整頓された状態になっていた。
この効果のおかげで中は綺麗に並んだ武器庫のようになっていた。
少し前までは便利だとナギも思っていた棺も面倒事を呼ぶ種だと知った今は、そんな素直に喜ぶことができなかった。
「はぁ…とりあえず武具的な意味での準備はこんなものでいいとするか、変にこだわっても本当に切りがないからな。あとは俺のまだ作れない鎧とかの防具系はゴド爺さんの作ってくれた奴を買わせてもらおう」
『それがいいですね。武器なら使えるレベルの物なら店の物よりも、主様の作った物の方が品質高いですからね!』
「いや、品質とかは高いけど攻撃力や特殊効果を安定して高い水準で作れる能力は俺にはないしな。なにより店で売っているのは知らない奴にも買わせてもいい物って基準で並べてる気がするんだよな…」
『あぁ…それはしていると思いますね。腕の立つ職人ほど自分の作品を使わせる人を選ぶ傾向が強いですから』
「何事も極めることのできる者は癖が強いってことだな」
『ははは!それは間違いないです‼』
なにかツボにでもはまったのかソルテは本当に楽しそうにお腹を抱えて笑っていた。
さすがに頭の上で笑われるのは少し邪魔くさかったがナギも自分で言っていて面白かったのか笑みを浮かべていて、特に何か言うことはしなかった。
それから少しの間なにをするでもなく床に座ったまま休息をとったナギとソルテはようやく動き出した。
「さてっと、少し手間だけど作った奴の性能確認はしておくか?」
『全部確認すると時間が掛かりますし、めぼしい物を2~3個がいいと思います!』
「……それもそうだな。適当に見た感じ強そうなのを選んで鑑定するとしよう」
改めて考えると全部を鑑定する手間などが冗談ではないほどに膨大で、なのでソルテの提案にナギは同意して何がいいか棺の中を確認して決めた。
しばらく悩んだ末にナギが選んだのは赤い短剣・黒い槍・紫の短剣だった。
『お、その三品ですか…選んだ基準を聞いてもいいですか?』
「別に大した理由はないが、どれもが使った素材が面白かったからな。この赤いのは鷲か鷹なのかは忘れたけど、鳥のくちばしを使ったはずなのにこの色だ。倒すのに苦労したからには何か面白い効果があるかと期待してだ」
『なるほど、そういう事なら他の二つも納得ですね!』
「だろうな。まずはちょうど手に持っていることだし、これから確認するか」『鑑定』
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赤翼の短剣 品質 良 ランク 4
耐久値 40/40 攻撃力 53
効果:重量軽減:小・貫通力強化:小
備考:特殊な加工の末に生み出された赤色に染まった短剣。その重さは羽のように軽く、より鋭利になっている。
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「名前のわりに効果が微妙だな」
鑑定結果を確認したナギは思わず不満げにそう漏らした。なにせ色に関係するような能力になると思っていただけに、そう思える効果がないことに少し残念に思っていたのだ。
ただソルテは別に気にしていないようだった。
『微妙ですけど、悪く話ないと思いますよ。短剣に重量軽減は宝の持ち腐れだとは思いますけど…』
「確かに悪くはないんだけど…まぁいいか、望みすぎても意味はないしな。あんま期待しすぎないうちに他の二つも鑑定済ませるか!」
一つ目で微妙な結果だったのでナギは他の二つも期待できないと判断したようで、残りの二つを一気に鑑定してしまう事にしたのだった。
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黒獅子槍 品質 良 ランク 4
耐久値 72/72 攻撃力 86
効果:剛力・貫通力強化:中
備考:特殊な加工の末に生み出された漆黒の槍。素材となった獅子の力が宿り所有者の力を2倍にする。
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毒短剣 品質 良 ランク 3
耐久値 30/30 攻撃力 25
効果:毒付与《弱毒:麻痺毒》
備考:特殊な加工の末に生み出された紫色の短剣。魔力を流すと刃から毒を生み出す力を持ち、弱毒と麻痺毒を選択して使う事ができる。
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「おぉ~!この二つは思いのほかあたりだな‼個人的には毒の短剣が最高だな」
表示された二つの鑑定結果にナギは嬉しそうにして、特に奇異に言っている紫色の毒短剣を手に持った。
その反応にソルテは少し不気味そうに顔を引きつらせていた。
『よりによってそっちですか?』
「強敵を相手にするときは毒ほど役立つものはないんだから当たり前だろ。あとは面倒な奴に絡まれたときには麻痺させて逃げられるしな!」
『あ、そっちがメインですね…わかりました』
最後の理由の方が表情が明るかったナギを見て本音を理解したソルテは必要以上に質問することをやめた。今までの経験からこんな表情の時のナギは危ないことを考えているとわかっていたからだ。
そして目的通りの確認は終えたのだが面白くなってきたのかナギは追加でも他に気になっていた武器の鑑定を始めてしまい、なんだか表情が怪しくなってきたのを確認したソルテは少しの間逃げるように距離を取るのだった。
応援ありがとうございます!
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