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大六章 死神戦
第二百七十五話 暗闇の森《2》
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暗い森の中を警戒しながら探索を始めて少しするとソルテの探査に反応があった。
『ここの広さはわからないですけど、半径500m圏内の生き物の反応は複数ありますけど大きかったり、異様に速いのは見つからないです』
「なるほど、だとすると難易度はそこまで高くないと考えるべきか?いや、襲い方と言って強敵ではないわけではないし…やっぱり適当に一度は戦ってみるべきか」
周囲の魔物の情報を聞いたナギはブツブツと独り言を漏らしながら想定できる状況を考えていた。
それでも情報が少ない事もあり調べるための戦闘は必要だと判断した。だからと言って無作為に考えなしに戦いを挑むような性格でもなく、魔物の現在地を聞いた上で近い順に気づかれないように観察することにした。
「骨の化物?」
『化物て…いえ、間違ってはいないんですけど』
反応の先にいたのは全身が骨の蛇のようななら打を持つ異形だった。あまりにも不気味なその姿にナギは化け物と素直な感想を言った。
素直すぎる発言に少し困ったようなソルテだったが、目の前の化物を見ては否定することもできなかった。
「あれと戦うのか…」
『え、もしかして苦手ですか?』
「苦手ってわけではないんだけどな。単純に動く骨って、なんか気持ち悪いだろ?原理がわからなくて」
『あぁ~そういう理由ですか、ならアンデットは魔力で死体を動かしているようなものだと考えればいいんですよ』
「…なるほど、つまりは操り人形のようなものという事だな。だったら理解できるし、素材も気になっていたことだし戦ってみるか!」
アンデットについての説明を聞いて納得できるとナギは気にすることがなくなったと判断したようで、楽しそうに笑みを浮かべると念のために最初に装備しておいた双剣を抜いて一気に襲い掛かった。
すると骨の大蛇は気が付いたようで顔部分をナギへと向けて口を開いた。
その動きに何かを感じたのかナギは空歩を使用して大きく跳び退いた。
次の瞬間にはナギのいた場所に大量の骨が矢のように放たれた。骨の大蛇はそれだけではなく避けたナギを負うように頭を動かし、それに合わせて骨の矢も後を追うように向かってきた。
「ちっ!」
今までになかった厄介な攻撃にナギは思わず舌打ちしてしまった。
しかし回避の動きには無駄はなく追ってくる攻撃に対しても上に行って、進行方向とは逆に行ったりしてすぐに追いかけることができないようにして時間を稼いだ。
何故ならゲームの経験の少ないナギでも大技は長時間は使用してこないとは知っていたからだ。
そして予想通り矢の濁流のような攻撃は開始から20秒ほどで止んで骨の大蛇は口を閉じた。
「さて、次はこっちから行くか」『ファイヤーエンチャント』
念のために火の付与を使用したナギは赤くなった双剣を手に骨の大蛇目掛けて走り出した。
もちろん大技が出せなくなったとは言っても骨の大蛇も無抵抗なはずがなく、その長大な体を振り回して弾き飛ばそうとした。
だがでたらめに動いているように見えたとしても生物の構造である限り動させない部位は存在して、動きにもどうしても法則のようなものができていてナギは的確にそれを見抜いた。
「どんなに狙って暴れてもな。パニックになったわけでないのなら、体を支えている場所は動けないよな?」
答えを求めてはいないがどこか確かめるように話しながらナギは暴れる体の隙間を縫って進んでいき、地面に接して動いていないちょうど長い胴体の中央付近を狙って双剣を振るった。
ガキン‼
しかし刃は通らず金属同士が打ち合ったような音と共に弾かれてしまった。
小さな傷は付いているがダメージとしては1㎜も減っていない。そのことを頭上のHPを見て確認したナギは特に悔しがることもなく距離を取って別の方法を考えることにした。
「さて、なんというか想像以上に硬かったな。この感じだと刃物は聞かないと思った方がよさそうだけど、見た感じ魔術系には弱いように感じるな。あとはゴーレムなんかと同じで打撃系に弱いことを祈って殴る蹴るでやってみるか!」
『結局はいつも通り力業なんですね…』
「戦いってのはそういうもんだ!」
呆れたようなソルテの言葉に対してナギは獰猛な笑みを浮かべて答えて走り出した。
もはや武器は役に立たないと判断して仕舞って手甲と脚甲へと火の付与を発動した。他にも打撃系統の武器は持ってはいるのだが、スキルがないので威力が武器だよりで微妙だった。
だが格闘ならばスキルも持っているので十分に威力が期待できるという意味もあったのだが、最も大きな理由は未知のフィールドでの戦闘でテンションが爆上がりしていただけなのだ。
目の前の未知の相手との戦いが楽しく、この後に待っているであろう未知のフィールドでも探索もすべてがナギを楽しませていた。
それだけにこうしてい戦っている間にもテンションは徐々に上がってきていた。
「ハハハハハッ‼もっと楽しもう!」
『これは…しばらく待った方がよさそうですね。幸いにも敵は硬いみたいですし、発散するにはちょうど言相手のはずです』
笑いながら戦いだしたナギを見たソルテは今までにも戦闘中にテンションが異常に高まることがあったので対応に慣れていた。
それに今回は短時間で倒されて消化不良を起こすような弱い相手と言う事もなく、むしろ時間のかかりそうな耐久値の高い相手なので倒したころには落ち着いているという確信もあっての判断だった。なので落ち着くのは倒した後だからこそ、戦闘中はやることもないのでソルテはゆっくり待つことにしたのだ。
『ここの広さはわからないですけど、半径500m圏内の生き物の反応は複数ありますけど大きかったり、異様に速いのは見つからないです』
「なるほど、だとすると難易度はそこまで高くないと考えるべきか?いや、襲い方と言って強敵ではないわけではないし…やっぱり適当に一度は戦ってみるべきか」
周囲の魔物の情報を聞いたナギはブツブツと独り言を漏らしながら想定できる状況を考えていた。
それでも情報が少ない事もあり調べるための戦闘は必要だと判断した。だからと言って無作為に考えなしに戦いを挑むような性格でもなく、魔物の現在地を聞いた上で近い順に気づかれないように観察することにした。
「骨の化物?」
『化物て…いえ、間違ってはいないんですけど』
反応の先にいたのは全身が骨の蛇のようななら打を持つ異形だった。あまりにも不気味なその姿にナギは化け物と素直な感想を言った。
素直すぎる発言に少し困ったようなソルテだったが、目の前の化物を見ては否定することもできなかった。
「あれと戦うのか…」
『え、もしかして苦手ですか?』
「苦手ってわけではないんだけどな。単純に動く骨って、なんか気持ち悪いだろ?原理がわからなくて」
『あぁ~そういう理由ですか、ならアンデットは魔力で死体を動かしているようなものだと考えればいいんですよ』
「…なるほど、つまりは操り人形のようなものという事だな。だったら理解できるし、素材も気になっていたことだし戦ってみるか!」
アンデットについての説明を聞いて納得できるとナギは気にすることがなくなったと判断したようで、楽しそうに笑みを浮かべると念のために最初に装備しておいた双剣を抜いて一気に襲い掛かった。
すると骨の大蛇は気が付いたようで顔部分をナギへと向けて口を開いた。
その動きに何かを感じたのかナギは空歩を使用して大きく跳び退いた。
次の瞬間にはナギのいた場所に大量の骨が矢のように放たれた。骨の大蛇はそれだけではなく避けたナギを負うように頭を動かし、それに合わせて骨の矢も後を追うように向かってきた。
「ちっ!」
今までになかった厄介な攻撃にナギは思わず舌打ちしてしまった。
しかし回避の動きには無駄はなく追ってくる攻撃に対しても上に行って、進行方向とは逆に行ったりしてすぐに追いかけることができないようにして時間を稼いだ。
何故ならゲームの経験の少ないナギでも大技は長時間は使用してこないとは知っていたからだ。
そして予想通り矢の濁流のような攻撃は開始から20秒ほどで止んで骨の大蛇は口を閉じた。
「さて、次はこっちから行くか」『ファイヤーエンチャント』
念のために火の付与を使用したナギは赤くなった双剣を手に骨の大蛇目掛けて走り出した。
もちろん大技が出せなくなったとは言っても骨の大蛇も無抵抗なはずがなく、その長大な体を振り回して弾き飛ばそうとした。
だがでたらめに動いているように見えたとしても生物の構造である限り動させない部位は存在して、動きにもどうしても法則のようなものができていてナギは的確にそれを見抜いた。
「どんなに狙って暴れてもな。パニックになったわけでないのなら、体を支えている場所は動けないよな?」
答えを求めてはいないがどこか確かめるように話しながらナギは暴れる体の隙間を縫って進んでいき、地面に接して動いていないちょうど長い胴体の中央付近を狙って双剣を振るった。
ガキン‼
しかし刃は通らず金属同士が打ち合ったような音と共に弾かれてしまった。
小さな傷は付いているがダメージとしては1㎜も減っていない。そのことを頭上のHPを見て確認したナギは特に悔しがることもなく距離を取って別の方法を考えることにした。
「さて、なんというか想像以上に硬かったな。この感じだと刃物は聞かないと思った方がよさそうだけど、見た感じ魔術系には弱いように感じるな。あとはゴーレムなんかと同じで打撃系に弱いことを祈って殴る蹴るでやってみるか!」
『結局はいつも通り力業なんですね…』
「戦いってのはそういうもんだ!」
呆れたようなソルテの言葉に対してナギは獰猛な笑みを浮かべて答えて走り出した。
もはや武器は役に立たないと判断して仕舞って手甲と脚甲へと火の付与を発動した。他にも打撃系統の武器は持ってはいるのだが、スキルがないので威力が武器だよりで微妙だった。
だが格闘ならばスキルも持っているので十分に威力が期待できるという意味もあったのだが、最も大きな理由は未知のフィールドでの戦闘でテンションが爆上がりしていただけなのだ。
目の前の未知の相手との戦いが楽しく、この後に待っているであろう未知のフィールドでも探索もすべてがナギを楽しませていた。
それだけにこうしてい戦っている間にもテンションは徐々に上がってきていた。
「ハハハハハッ‼もっと楽しもう!」
『これは…しばらく待った方がよさそうですね。幸いにも敵は硬いみたいですし、発散するにはちょうど言相手のはずです』
笑いながら戦いだしたナギを見たソルテは今までにも戦闘中にテンションが異常に高まることがあったので対応に慣れていた。
それに今回は短時間で倒されて消化不良を起こすような弱い相手と言う事もなく、むしろ時間のかかりそうな耐久値の高い相手なので倒したころには落ち着いているという確信もあっての判断だった。なので落ち着くのは倒した後だからこそ、戦闘中はやることもないのでソルテはゆっくり待つことにしたのだ。
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