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大六章 死神戦
第二百八十八話 骸の城《10》
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館で初めて部屋へと入ったナギは最初に本棚に入っている本の内容を確認することにした。
AOではこの世界独特の文字が使われていたが、認識すると登録している言語になるようになっているので古代文字や暗号以外ならすべての書物が読めるようになっている。
最初にナギが手に取ったのは一際分厚い本を選んだ。
「さて、ここでは本らしい本がなかったから楽しみだな」
元から本を読むことの嫌いではなかったナギはAOでの本の数が少ない事を残念に思っていたので、こうしてしっかりとしたレトロな雰囲気な革張りの本などテンションが上がっていた。
そして取り出した本のタイトルには『死霊の旅する現世』と書かれていた。
「ふむ、つまりは浮遊霊に関しての本ってことか?」
少し本のタイトルに首をかしげながらもナギは本を開いて内容を確認してみた。
しばらく集中して読むことに集中していたが半分近くまで進むと本を閉じてしまった。
「これ、死ぬほどつまらないな。まさか他のも似たようなレベル…とか?……なんて地獄だよ」
最初の楽しそうな様子から一転して一冊目の内容が予想以上に退屈だったようで、半分も読むとナギは飽きてしまっていた。それで本棚を見ると山ほどに本が残っていて内容が似たような物である可能性にナギは辟易としていた。
だからと言っても調べないわけにもいかないので面白くなさそうだと思いながらも確認していった。
しばらくして本棚の半分以上の本を読破した。
「……詰まんない。しかも不思議な文言もないし、試しに逆さまに読んでも何もないしな」
『他に何か気になるようなものはないんですか?』
「他にか…なにかあったか」
ソルテに言われてナギはこの部屋の中に他に見落としたものが無いか必死に目を走らせて確認した。
ただ一度見た限りでは調度品や壁に天井を見てもとくに変わったところはなく、本にしても内容が微妙なことを除けばいたって代わり映えのしない物だった。
なにか魔力を流せば反応するかと思って机や花瓶に椅子、床や壁にすら魔力を流して試してみたが特に変化はなかった。
「やっぱり、この部屋は外れだったってことかな?」
『そうなんですかね。でしたら、向かいの部屋に行ってみますか?』
「そうだな…そうしてみるか」
こうして何も見つからない部屋にいても時間の無駄でしかないのでナギはソルテの意見を聞いて部屋を出ることにした。本を読んでいる間一応部屋に罠が無いか確認させていた鎧達も、動き出した自分たちの主人であるナギに続いて部屋を出た。
出た先の通路は何も変わりはなく果てしなく続いていて、奥には暗闇しか見えなかった。
それなりの時間を過ごしたナギは何も怖がることなく向かいの部屋へと普通に入った。
部屋の中は先ほどまで居た部屋と大した違いはなく、どこか書斎のような雰囲気の上品な空気の溢れる部屋だった。
最初に部屋に入ったナギが確認したのは、この部屋でも本棚に入っている本だった。
「……どうやら全く違う本が入っているようだな」
『何が入っているんですか?』
「簡単に言えば向こうは趣味の本で、こっちは専門的な哲学書って感じか」
そう言ってナギは手近な一冊を手に取って広げた。
題名は『魂魄と肉体』となっていて内容は魂と肉体の関係性や相互補完や変異など専門的な文言が数々並んでいて、軽く覗き込んだソルテはあまりの内容の難しさに数秒でギブアップした。
反対にナギは興味深そうに真剣な表情で口元に薄っすらと笑みを浮かべながら読んでいた。
それからも一冊に先ほどの部屋で読んでいた時の倍近く時間を掛けてしっかりと読み込んで、一段分の本を読み切るとナギはソファーに座って息を吐きだした。
「ふぅ……これはなかなかに面白いじゃないか!」
『そんなにですか?』
「あぁ!魂や肉体、それにアンデットに闇属性に関する詳しい本がいっぱいだ‼中には鍛冶にも通じる物もあるし、これは楽しくなってきたな‼」
もはや当初の目的など忘れているナギは目先の新たな知識に目を輝かせていた。
こうなっては止められないと理解したソルテは諦め、部屋の中で他に何かないかふわふわと飛んで確認することにしたのだった。
その間にもナギは本棚の本を読み進めて部屋に来てから1時間が経つ時には本棚の半分を読み切っていた。
「…さすがに疲れるなぁ~!でも、面白くてやめられない‼」
これだけの間に数十冊をも読んだのにナギの意欲は少しも衰えていなかった。
そして次の本を取ろうとした瞬間、急にナギの体から急激に魔力が吸い出され出した。
「⁉」
慌てて手を放そうとしたナギだが不思議とどんなに力を入れても離れることができず、魔力の座れる勢いは弱まることはなかった。
そして少しするとこの感覚にナギは既視感を覚え口元に笑みを浮かべた。
「なるほど、だったら受けて立つ‼」
この現象の理由に検討のついたナギは好戦的な笑みを浮かべると自ら魔力を流し込んだ。
掴んでいた本は最初こそ他のと見分けのつかない普通の外観だったが、魔力を吸い込むようになってからは漆黒の不気味な本へと変わっていた。
その変化を目にしながらより笑みを深めたナギは手に力を入れて魔力を送った。
AOではこの世界独特の文字が使われていたが、認識すると登録している言語になるようになっているので古代文字や暗号以外ならすべての書物が読めるようになっている。
最初にナギが手に取ったのは一際分厚い本を選んだ。
「さて、ここでは本らしい本がなかったから楽しみだな」
元から本を読むことの嫌いではなかったナギはAOでの本の数が少ない事を残念に思っていたので、こうしてしっかりとしたレトロな雰囲気な革張りの本などテンションが上がっていた。
そして取り出した本のタイトルには『死霊の旅する現世』と書かれていた。
「ふむ、つまりは浮遊霊に関しての本ってことか?」
少し本のタイトルに首をかしげながらもナギは本を開いて内容を確認してみた。
しばらく集中して読むことに集中していたが半分近くまで進むと本を閉じてしまった。
「これ、死ぬほどつまらないな。まさか他のも似たようなレベル…とか?……なんて地獄だよ」
最初の楽しそうな様子から一転して一冊目の内容が予想以上に退屈だったようで、半分も読むとナギは飽きてしまっていた。それで本棚を見ると山ほどに本が残っていて内容が似たような物である可能性にナギは辟易としていた。
だからと言っても調べないわけにもいかないので面白くなさそうだと思いながらも確認していった。
しばらくして本棚の半分以上の本を読破した。
「……詰まんない。しかも不思議な文言もないし、試しに逆さまに読んでも何もないしな」
『他に何か気になるようなものはないんですか?』
「他にか…なにかあったか」
ソルテに言われてナギはこの部屋の中に他に見落としたものが無いか必死に目を走らせて確認した。
ただ一度見た限りでは調度品や壁に天井を見てもとくに変わったところはなく、本にしても内容が微妙なことを除けばいたって代わり映えのしない物だった。
なにか魔力を流せば反応するかと思って机や花瓶に椅子、床や壁にすら魔力を流して試してみたが特に変化はなかった。
「やっぱり、この部屋は外れだったってことかな?」
『そうなんですかね。でしたら、向かいの部屋に行ってみますか?』
「そうだな…そうしてみるか」
こうして何も見つからない部屋にいても時間の無駄でしかないのでナギはソルテの意見を聞いて部屋を出ることにした。本を読んでいる間一応部屋に罠が無いか確認させていた鎧達も、動き出した自分たちの主人であるナギに続いて部屋を出た。
出た先の通路は何も変わりはなく果てしなく続いていて、奥には暗闇しか見えなかった。
それなりの時間を過ごしたナギは何も怖がることなく向かいの部屋へと普通に入った。
部屋の中は先ほどまで居た部屋と大した違いはなく、どこか書斎のような雰囲気の上品な空気の溢れる部屋だった。
最初に部屋に入ったナギが確認したのは、この部屋でも本棚に入っている本だった。
「……どうやら全く違う本が入っているようだな」
『何が入っているんですか?』
「簡単に言えば向こうは趣味の本で、こっちは専門的な哲学書って感じか」
そう言ってナギは手近な一冊を手に取って広げた。
題名は『魂魄と肉体』となっていて内容は魂と肉体の関係性や相互補完や変異など専門的な文言が数々並んでいて、軽く覗き込んだソルテはあまりの内容の難しさに数秒でギブアップした。
反対にナギは興味深そうに真剣な表情で口元に薄っすらと笑みを浮かべながら読んでいた。
それからも一冊に先ほどの部屋で読んでいた時の倍近く時間を掛けてしっかりと読み込んで、一段分の本を読み切るとナギはソファーに座って息を吐きだした。
「ふぅ……これはなかなかに面白いじゃないか!」
『そんなにですか?』
「あぁ!魂や肉体、それにアンデットに闇属性に関する詳しい本がいっぱいだ‼中には鍛冶にも通じる物もあるし、これは楽しくなってきたな‼」
もはや当初の目的など忘れているナギは目先の新たな知識に目を輝かせていた。
こうなっては止められないと理解したソルテは諦め、部屋の中で他に何かないかふわふわと飛んで確認することにしたのだった。
その間にもナギは本棚の本を読み進めて部屋に来てから1時間が経つ時には本棚の半分を読み切っていた。
「…さすがに疲れるなぁ~!でも、面白くてやめられない‼」
これだけの間に数十冊をも読んだのにナギの意欲は少しも衰えていなかった。
そして次の本を取ろうとした瞬間、急にナギの体から急激に魔力が吸い出され出した。
「⁉」
慌てて手を放そうとしたナギだが不思議とどんなに力を入れても離れることができず、魔力の座れる勢いは弱まることはなかった。
そして少しするとこの感覚にナギは既視感を覚え口元に笑みを浮かべた。
「なるほど、だったら受けて立つ‼」
この現象の理由に検討のついたナギは好戦的な笑みを浮かべると自ら魔力を流し込んだ。
掴んでいた本は最初こそ他のと見分けのつかない普通の外観だったが、魔力を吸い込むようになってからは漆黒の不気味な本へと変わっていた。
その変化を目にしながらより笑みを深めたナギは手に力を入れて魔力を送った。
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