捨てられ探索師は美少女を拾いました~全てのスキルを最高レベルで使い放題!2人で楽しく旅していきますのでどうぞお構いなく!~

ごまふきん

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5.代償効果

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ふいに足音がしてコールスは振り返った。



 アナスタシアがこちらに駆けてくるのが見えた。




 慌てて少女に駆け寄る。




 勢いあまって抱きかかえるようになってしまう。





「大丈夫でした!?」





 と息せき切ってアナスタシアは聞いてきた。その勢いにコールスの方がおされそうになる。





「え、えぇ、もちろん!……あなたのおかげで助かりました!」





 コールスの答えに、少女は心底ほっとしたような表情をした。





「よかったぁ~!……ごめんなさい、私の大声のせいであなたを危険な目に遭わせてしまってたから……」





「いや、まぁ無理もないですよ。確かに、いきなりレベル99って出たら誰でもびっくりします」





 そう言いながら、コールスは自分のステータス画面を開いた。





「こうなったのには訳があって。ついさっき、トラップに引っかかってスキルが1回しか使えないようになったんです。それが原因なんじゃないかなって……」





 すると、アナスタシアは途端に目を輝かせた!





「あぁ!それなら分かります!それは“代償効果”ってやつです!」





「代償効果?」





 コールスは首を傾げた。初めて聞く言葉だ。





「はい。何らかの理由でスキルや魔術に不具合が起こったとき、それを埋め合わせるようにスキルや魔術が変化するんです」





「埋め合わせる、ですか?」





「本来、制限なく使えるスキルが1回しか使えないとなったら、それは“マイナス”ってことですよね。だから、その代わりに”プラス“になる効果がスキルに加わるんです」





「……それが、僕の場合はスキルレベルの上昇、ということですか?」





 アナスタシアは頷いた。





「その通りです!あ~、なんだか仲間を見つけたみたいで嬉しい!」





「仲間?」





「はい。実は私も呪いのせいで、“自分では自分のスキルを使えない”んです」





「え、あれだけスキルを持っているのに?」





 コールスが驚くと、アナスタシアは眉を下げて苦笑した。





「そう、ものすごい”マイナス“でしょう?でも、だからこそ、ものすごい”プラス“を得られたんです」





「なるほど。それが、スキルの転写と無限複製……でも、どうしてこんなことを知ってるんですか?」



 

 アナスタシアは小さく首を振った。





「知ってるってほどではないんですけどね。私もアルクが大雑把に話していたことしか知りませんから」





「アルク?」





「あぁ、ごめんなさい、アルクマール=ムルガルのことです」





「アルクマール?」





 コールスは心底驚いた。





 なぜなら、魔術師アルクマール=ムルガルは500年前の人物だから。





 そんな歴史上の人物と知り合いだなんて!





(この子は一体、何者なんだ?)





 そう思ったとき、





 ブオオオオオオオオ!!!





 再び、凶暴な声が聞こえてきた。





「またか……」





 血の匂いは、新たなモンスターを呼ぶ。全く、際限がない。





(とりあえず、話はあとにしよう)





「アナスタシアさん、また力を貸してもらえませんか?」





 コールスがそういうと、アナスタシアは琥珀色の瞳を細めて頷いた。





「もちろん!あ、あと、言いにくいと思うから、私のことはナーシャって呼んでくれたら……それと、もっとフランクに話してくれたらうれしいかなって」





「あ、わかりまし、じゃなくて、わかったよ、ナーシャ!」

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