【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「恋人」

「朝食づくり」*優月

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「優月、冷蔵庫から卵出して、そこのボールに割って?」
「うん」

 言われて、冷蔵庫を開ける。

「いくつ?」
「3こ」

「ん」

 3個出して、台に置く。こんこん、と叩いて、卵を割る。


「優月、片手で割れる?」
「出来るよー」

 くす、と笑いながら、片手で割って見せる。

「上手」

 ふ、と笑まれて、頭を撫でられて。
 ――――……別に大した事してないのに、何だかすごく嬉しくて、くすぐったい。

「玲央も出来る?」
「ん」

「やって?」
「待って」

 魚を焼くグリルに、鮭を入れて火をつけてから、玲央が隣に立った。
 わくわく見てると、綺麗な手が、容易く割る。


 ……今自分がやった事なんだけど。


「なんか玲央がやると、すごいカッコイイのは、何で?」

 思ったままにそう言ってしまうと。殻を捨ててから、玲央がオレを見て、ぷ、と笑った。

「カッコよかった?」
「うん。手が大きいからかなあー。すごい簡単にやってるように見えるし」

「……まあ、オレも、優月が嬉しそうに割ってるの、可愛いと思ってたけど」

 クスクス笑いながら、玲央が菜箸で卵を軽く解きほぐしている。



 オレ達が、今何をしているかと言うと。
 約束してた、朝食づくり。



 今日は、ちゃんと、一緒に起こしてくれた。

 ものすごくぐっすり寝てたら。
 なんか、フワフワ気持ちよくて。ん、と声が出て、自分のその声に、ふと目が覚めた。
 何だろ。動けない……息が……。

 ふ、と声を出したら。そっとそれが離れて。
 その瞬間に、玲央にキスされてたんだと知った。

「おはよ、優月」
「……うん。おはよ」

 ……朝からこんなキスで起こされるのかー……ドキドキドキドキ。弾んでる心臓に、ただただ玲央を見上げてると。

「結構呼んだんだけど起きなかったから、実力行使」

 クス、と笑って、軽くキスされた。

「だるかったら、優月はもう少しゆっくりしててもいいけど、どうする?」
「……一緒にご飯つくるから、起きる」

 そう言ったら、優しく笑う玲央に、腕を引かれて起こされた。
 一緒にシャワーを浴びて、髪乾かして服を着て、今、一緒にキッチン。


「ごめんね、いつも、起こしてもらって」
「――――……」

 なんだかすごくそう思って言ったら、玲央は、ふ、とオレを見下ろして。
 身をかがめると、ちゅ、とキスしてきた。


「オレと居ると、夜疲れるだろ。――――……謝んなくていいよ」

 くす、と笑って、くしゃくしゃと頭を撫でてくる。

 夜、疲れ――――……。
 理解すると同時に、夜のことが一気によみがえってきそうになって、顔に熱が一気に集まる。


「あー…… ごめん」

 謝りながらも玲央はぷっと吹きだして、クックッと笑いながら、オレを胸に押し付けてくる。後頭部をよしよしされるけど。玲央が笑ってるのが、揺れで伝わってくるし。


「……笑いすぎ」

 むむ、とむくれてると、ナデナデしながら、玲央が離れた。

「ごめんって。――――…… あ、優月、出し巻き作る?」
「……玲央、上手でしょ?」
「ん」
「見たい」
「良いよ。ほんとはもっと卵いっぱい使った方がいいんだけど……まあいっか」

 いくつか調味料と水を足して、玲央が焼き始めるのを、隣で観察。


 ――――……カッコイイなあ。玲央。

 ……いっぱい習った習い事のひとつとか言ってたけど。
 ほんとなんでもできる人な気が。


 焼き始めると、すごく良い匂いが漂いはじめる。


「あ。優月、鮭ひっくり返して」
「うん」

 玲央の隣に行って、グリルを開けて鮭をひっくり返す。


「優月、みそ汁食べる?」
「うん。お豆腐昨日買ったよね。それでいい?」

「わかめ、そこに入ってる」
「豆腐とわかめなの?」

「あとネギ入れて。 嫌?」

「一番大好きー」

 言って、ふふ、と笑うと。
 玲央も、クスクス笑ってて。




 なんか。結構今まで朝ごはんも作ってきたけど。
 ――――……玲央とだと、幸せ過ぎて。

 朝から楽しいなあ~なんてウキウキしながら。
 玲央の隣で、水を入れた鍋を火にかけた。










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